点検と合わせ、色々とご相談を受けます。年式や走行距離、それに伴う各部劣化も個体差があるので、一概には言えませんが、当然純正でも劣化による不具合は発生しますが、社外部品の方が不具合が発生する率が高いように思います。汎用品で元々車体に合っていなかったり、取り付け具合が良くなかったり、耐久性がなかったりで、一部部品に不具合が発生すると周りに不具合が波及していきます。ある程度は、定期点検整備で防げたり、延命できたりするので、機械物は、性能維持に整備は重要です。オーナーの場合は、整備ができなくても、掃除を行えば、目でみて手で触って不具合を発見したり、乗っていて何かおかしいと感じたら、不具合があるので、お近くのヤマハショップに相談した方が良いです。健康と同じですが、早期発見、早期整備の方が維持費が安くすみます。人間と違い、機械の場合は、ほぼ100%原因が有り、原因が判れば、大体の場合は、部品交換で直せる場合が多いですが、最悪の場合は、車体交換になります。
コンディションレベルチェックパックでお預かりです。点検から始めます。kerkerのスリップオンは、自作のバッフルが入っているので、わりと静かでした。
フロントタイヤは純正サイズですが、台湾製のメーカーかと思います。リアはワンサイズ太いタイヤでHレンジでした。こちらも台湾製のメーカーかと思います。フロントとは、違うメーカーです。
エンジン始動前と始動後のオイルレベルです。
後でお話を伺うとハンドルを交換されたそうでした。ホースやワイヤーの取り回しがよくないです。また、新車時の部品のようで、劣化が見られます。アクセルのカラーが社外品らしく、動きが良くなかったです。
1番気筒のキャブレターでドレンボルトのOリングが劣化し、ガソリンが漏れていました。また、ダイヤフラムは、2番と3番が回転していました。
クーラントは、エンジンオイル混入は見られませんでしたが、ウォーターポンプの排出口からは、エンジンオイルが滲んでいました。
サーモスタットのケースのフタから、クーラントが滲んだ跡がありました。気温の低い際にOリング部に劣化があると漏れやすいですが、気温が高くなるとOリングの収縮具合が変わってくるので、気温が高い間は、漏れ無いかもしれません。
スイングアームが、ロイヤルスター加工品、リアサスが汎用品でした。オイルの漏れは無いようです。
前後キャリパーですが、パッドの残量はありますが、右フロントキャリパーのパッド押え板が逆で、しかも変形していました。正常に装着されていないと、パッドが動くので、ブレーキをかけた際に、パッド裏板(鉄)がアルミ製のキャリパーに当たり、打音がし、打痕が残ります。
リアキャリパーですが、パッド押え板が、前後及び上下逆でした。ガソリンタンクは、サビ等見られなかったので、平気そうですが、ガソリンフィルターが社外品で、容量の小さいものが付いていました。
社外品のバックステップで、ボルトがなくなっている上にネジ山も無かったので、ボルト&ナットで修正しました。また、リンクの位置と角度を修正しました。エアクリーナーは、ヤマハ純正でしたが、劣化しているので、要交換です。
前後ヘッドカバーガスケットから滲みがあります。
フロントフォークオイル交換時期不明ですが、ダストシールにヒビと劣化があり、外すと戻らなくなりそうなので、オイルシールは見ていませんが、水が入っていると錆びていそうです。現時点でのオイル漏れは無いです。純正のトップキャップは、エア加圧式ですが、通常のバルブですので、点検は必要です。一度外して清掃しましたが、すぐに漏れるようだとバルブを変えた方が良いです。
バッテリーについては、電圧、容量とも平気そうです。
エンジン始動前と始動後(ヘッドライト消灯時)の電圧です。充電系は平気そうです。
写真を忘れましたが、イグニッションコイルは、1次抵抗値を調べたうえで、ダイレクトイグニッション化されたそうです。ただ、防水性は無いので、プラグは、NGK製JR8Cでしたが錆びていました。また、DIは固定されていないので、接続部(プラグの先端)が摩耗しそうです。今回、別メニューで、フロント周りのガタについて点検しました。ステムベアリングは、劣化があるので、交換をお勧めします。ただ、全体的に劣化はあるものの、走行時にガタが出るような部分はありませんでした。
車体増し締めを行っている際に気付いたのですが、リアサスの取付部のサイズが合っていないか摩耗しているようで、かなりガタ(手で動くぐらい)があり、路面の凹凸があった際に、ガタを感じます。また、スイングアームやドライブシャフト、リアサスの部品や取付に問題がありそうで、一旦、全て純正に戻した方が良いかと思います。フロントタイヤが路面の凹凸を拾うと車体としてつながってるので、リアサスも関係し、さらにリアタイヤが連続して路面の凹凸を通過するので、かなり車体に振動が来ます。また、リアサス自体の動きも固いので、より増幅され、シートも純正では無く、社外品で固定されておらずガタがあり、トップカバーあたりまで、共振する場合もあります。一度、車体周りの再整備と純正戻しを行った方が、問題が解決できると思いました。
クラッチフルードは、交換されたようですが、エンジン側とつながっており、熱が掛かりやすいので、劣化が早いです。フロントブレーキフルードは、交換時期不明で、量が少し少ないです。
リアブレーキフルードは、交換時期不明で劣化しています。今回交換した部品類です。
ギアオイルは交換されたようですが、ガスケットを再使用されたようでにじみがあることとスイングアームとギアケースの接続部で、ギアオイルが漏れてきているので、ギアケースの破損が無いのであれば、ドライブシャフトがうまく刺さっておらず、ドライブシャフト接続部からギアオイルが漏れている可能性が大きいです。ギアケースの脱着を行う場合、通常であれば、ギアケース側にドライブシャフトを装着(オイルシール有)してからドライブシャフトとギアケースをアッセンブリとしてスイングアームを通し、エンジン側のユニバーサルジョイント部に差しこみますが、たまにエンジン側にドライブシャフトを差し込み、その後ギアケースを装着してある事例を見ますが、この方法だとドライブシャフトがギアケース側にうまく入らず、また、オイルシールの装着がうまくいかなかった場合は、オイル漏れしていることがあります。組み立て手順は、重要です。
最終チェックと試乗です。路面が綺麗であればよいのですが、凹凸や段差があるとサスかかる荷重に変化があるのでガタが出ます。新品部品は、廃番になってるものが多いので、中古で良いので、早めに必要部品を集めて車体の整備をお勧めします。一旦納車になりました。
2022.02.09 作業担当 ヤダ(矢田)