最近、個人売買やヤフオク等で車両を購入されている方が多い様に思います。また、ショップ購入でも、保証無のケースもありました。中古車の場合、1990年代の車両のタマ数が多いと思いますが、1990年式だと単純に30年は経っていますので、整備状況により、程度がピンキリです。
個人売買購入で、コンディションレベルチェックパックでお預かりです。最終型ですが、2006年1月製造なので、14年は経っています。外装を外して点検から始めます。
Vブースト部のメッキカバーですが、ニーグリッププレートを取り付けた場合や、取付ボルトが純正でない場合は、形状が違うので、取付部が割れることが多いです。Vブーストジョイント部のゴムですが、バンドにストッパーが無いので、締めすぎるとはみ出して切れている場合が多いです。
クーラントは、エンジンオイル混入や漏れ等は無さそうです。
ウォーターポンプ下側や、クラッチカバー下側からオイルが滲んでいるようです。純正の油圧チェック用の箇所に油圧か油温のセンサーを取り付けて外した形跡があります。純正のキャップに戻した方が良いと思います。
エアクリーナーは、K&N製でした。ダイヤフラムも回転や作動不良は無いので平気そうです。
クラッチホースのホルダーが上下反対です。アクセルワイヤーの通し位置もおかしいので修正します。
バッテリー周辺の取付けがおかしいので修正します。液式バッテリーですが、ブリーザーパイプが無く、ガソリンタンクのブリーザーパイプで穴が塞がっていました。
希硫酸がフレームにかかって腐食しています。とりあえずブリーザーホースを仮付けしました。リアバンクのプラグコード差し込み口が腐食していたので、修正しました。
スパークプラグは、NGK製JR8Cでした。1番&2番気筒は普通に焼けていますが、3番は少し黒く、4番はカブっていました。オーナーから4番がカブって3気筒になると聞いていましたので、点火火花と圧縮圧力を見てみました。点火火花も4気筒とも規定値の6mm以上飛ぶので問題無いと思います。一応4番のイグニッションコイルとキャップの抵抗値を点検しましたが規定値内でした。
冷間時ですので、温間時ほど正確ではないですが、1番&2番の組より、3番&4番の方が圧縮が低いようです。温間時は、密閉が上がるので全体的に上がると思います。一応、標準圧縮圧力値は12.0kg/cm2-400rpmで、圧縮圧力限度は、10.0kg/cm2-400rpmです。気筒間差は、1.0kg/cm2です。
エンジン始動前の油面と始動後の油面です。
液式バッテリーなので、電圧は低めです。容量は大丈夫そうです。
エンジン始動前と始動後(ヘッドライト消灯時)の電圧です。充電系は平気そうです。
ガソリンタンクは、少錆び有ます。
前後タイヤは、ダンロップ製で溝はまだありますが、2014年製なので、固くなっています。交換した方が良いと思います。
リアサスは、後期型の専用オーリンズですが、部分的にピロボール部のゴムワッシャーが無いです。また、右側のオフセットワッシャー(カラー)が無いので、傷要注意です。
キャリパーとパッドは、特に問題は無いと思います。
エア圧は、0.5でした。一応、標準が0.4で1.0までは調整範囲ですが、エア圧を上げると車高が上がります。タンデムや、荷物を載せた場合、リアはイニシャルで1Gの車高調整を行いますが、フロントはエア圧で車高調整になります。エア圧を上げると車高も上がりますが、エアサス併用っぽくなります。
ダストシールが社外品でしたので、触りませんでしたが、オーナーがオイルシールは交換されたそうです。
交換されているようですが、エンジン側の熱が掛かるので、クラッチ側は劣化が早いです。リアブレーキのリザーブタンクですが、キャップが割れているので、交換した方が良いです。フルード漏れの原因になります。
最終チェックと試乗です。点火と圧縮は問題無さそうですので、4番気筒の不調はキャブレターを分解してみないとわかりません。今回は、点検のみですので作業は行っておりません。油面は、見てみましたが、規定値でした。最終型は、ニードルやジェット類が薄めですが、実油面は、少し高めになっています。とりあえず納車になり、後の作業は、オーナーが作業されるそうです。いずれにしても4番はガソリンが出過ぎているので、メインエア系統とメインジェット系統の点検が必要かと思います。
2020.06.26 作業担当 ヤダ(矢田)