12月。イエス様の降臨を待ち望むアドヴェントの季節がやってきました。昨年と一昨年はクリスマスに絡めて絵本を取り上げてきましたが、今年は読み物主体の本をご紹介します。
今日お届けする本は、レギーネ・シントラーによる『シモンとクリスマスねこ』という児童書です。
クリスマスが待ち遠しい少年シモンのために、眠る前にお父さんが毎日紡ぎ出してくれたお話、という設定でストーリーは展開します。大学で実践神学の講師も務めるシントラーは、クリスマスを心待ちにする子供の気持ちを巧みにとらえて、暖かな世界を繰り広げてくれています。クリスマスをカウントダウンする24の話の中から、今日は一つをピックアップしてみましょう。
* * *
アドヴェントの時季に聖ニコラウスがある学校のクラスに子供達へのプレゼントのかごを届けてくれました。しかし待ちきれない子供達は、先生が教室に来る前にかごをひっくり返してしまいます。クラスに来て様子を見た先生は、悲しい顔をしながらもかごの中に入っていた聖ニコラウスからの手紙を読んでくれました。『このかごのなかにある、きみたちへのとっておきのおくりものは、なんといっても魔法のクルミだ。そのクルミは、もらった人をだれでもしあわせにする、ふしぎなクルミなのだ。それは三つのオレンジにかこまれて、いちばん上においてある。目じるしは、その下にあるハートの形の白い砂糖菓子のついた、はちみつケーキだ』。でも、後の祭りです。かごの中身はごちゃごちゃになり、はちみつケーキの上の白い砂糖菓子は粉々に砕けてしまっていました。
それでも先生は、子供達一人一人に一つずつクルミを手渡しました。子供達は自分が貰ったクルミが魔法のクルミか考えて、内心ドキドキ。すると、いつもは無口な女の子が先生の方に来て、クルミを差し出して言いました。「たぶんわたしのクルミが魔法のクルミです。だから、わたしのクルミを先生にあげたいんです。先生には、しあわせになってもらいたいから」。みんなしーんとして、次の瞬間 一斉に先生に駆け寄って我も我もとクルミを先生の机に置きました。先生はニッコリ。ある子が「でも、だれが魔法のクルミをもっていたのかなぁ?」と呟きました。先生は生徒達一人一人にクルミを返し、「あなたたちがだれかにクルミをプレゼントしたときに、だれが魔法のクルミをもっていたかがわかるでしょう」と言いました。
翌日先生は尋ねました。「だれのクルミが魔法のクルミでしたか?」子供達は「ぼく!」「わたし!」と口々に叫びました。子供達は帰宅するとすぐに自分のクルミをプレゼントし、その人を幸せにしました。そして貰った人の顔を見て、自分も幸せになったのです。先生は「聖ニコラウスは、魔法のクルミばかりもってきてくれたのかもしれませんね」と言いました。「もしそのクルミのひとつひとつが、クリスマスがくるまでに、つぎからつぎへと、手わたされていったら、クリスマスの日には、街じゅうの人がしあわせになるでしょうね」。それを聞いて、クラスのみんなは拍手しました。
* * *
今日ご紹介するクリスマスアルバムは、カントリー寄りのCCM(コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック)の女性コーラスグループであるPoint of Graceの『Tennessee Christmas: A Holiday Collection』。躍動感にあふれつつもどこか素朴さを残す讃美の歌声は、やんちゃな子供達によるハートウォーミングな話にピッタリです。
今日お届けする本は、レギーネ・シントラーによる『シモンとクリスマスねこ』という児童書です。
クリスマスが待ち遠しい少年シモンのために、眠る前にお父さんが毎日紡ぎ出してくれたお話、という設定でストーリーは展開します。大学で実践神学の講師も務めるシントラーは、クリスマスを心待ちにする子供の気持ちを巧みにとらえて、暖かな世界を繰り広げてくれています。クリスマスをカウントダウンする24の話の中から、今日は一つをピックアップしてみましょう。
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アドヴェントの時季に聖ニコラウスがある学校のクラスに子供達へのプレゼントのかごを届けてくれました。しかし待ちきれない子供達は、先生が教室に来る前にかごをひっくり返してしまいます。クラスに来て様子を見た先生は、悲しい顔をしながらもかごの中に入っていた聖ニコラウスからの手紙を読んでくれました。『このかごのなかにある、きみたちへのとっておきのおくりものは、なんといっても魔法のクルミだ。そのクルミは、もらった人をだれでもしあわせにする、ふしぎなクルミなのだ。それは三つのオレンジにかこまれて、いちばん上においてある。目じるしは、その下にあるハートの形の白い砂糖菓子のついた、はちみつケーキだ』。でも、後の祭りです。かごの中身はごちゃごちゃになり、はちみつケーキの上の白い砂糖菓子は粉々に砕けてしまっていました。
それでも先生は、子供達一人一人に一つずつクルミを手渡しました。子供達は自分が貰ったクルミが魔法のクルミか考えて、内心ドキドキ。すると、いつもは無口な女の子が先生の方に来て、クルミを差し出して言いました。「たぶんわたしのクルミが魔法のクルミです。だから、わたしのクルミを先生にあげたいんです。先生には、しあわせになってもらいたいから」。みんなしーんとして、次の瞬間 一斉に先生に駆け寄って我も我もとクルミを先生の机に置きました。先生はニッコリ。ある子が「でも、だれが魔法のクルミをもっていたのかなぁ?」と呟きました。先生は生徒達一人一人にクルミを返し、「あなたたちがだれかにクルミをプレゼントしたときに、だれが魔法のクルミをもっていたかがわかるでしょう」と言いました。
翌日先生は尋ねました。「だれのクルミが魔法のクルミでしたか?」子供達は「ぼく!」「わたし!」と口々に叫びました。子供達は帰宅するとすぐに自分のクルミをプレゼントし、その人を幸せにしました。そして貰った人の顔を見て、自分も幸せになったのです。先生は「聖ニコラウスは、魔法のクルミばかりもってきてくれたのかもしれませんね」と言いました。「もしそのクルミのひとつひとつが、クリスマスがくるまでに、つぎからつぎへと、手わたされていったら、クリスマスの日には、街じゅうの人がしあわせになるでしょうね」。それを聞いて、クラスのみんなは拍手しました。
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今日ご紹介するクリスマスアルバムは、カントリー寄りのCCM(コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック)の女性コーラスグループであるPoint of Graceの『Tennessee Christmas: A Holiday Collection』。躍動感にあふれつつもどこか素朴さを残す讃美の歌声は、やんちゃな子供達によるハートウォーミングな話にピッタリです。