「また戦雲が湧きだしてくる 恐ろしくて眠れない」
石垣島に住む山里節子さんが冒頭で歌う映画「戦雲(いくさふむ)」を観てきた。
昨年、6年ぶりに作った三上智恵監督渾身のドキュメンタリーだ。
米軍と自衛隊による南西諸島の軍事要塞化についての情報は5年ほど前に
小西誠さん(あの60年代反戦自衛官だった)のブログやSNSを見たのが初めてだった。
今、日本で、
人間の命を潰す計画が、注意しないとスルーしそうなレベルの報道で、
しかし、確実に進められている。
ヤギが草を食み、海でカジキが撥ねる平和な日常の小さな島々で。
そのことをこの映画「戦雲」は一つ一つ、シビアに映像で確認していく。
与那国島(台湾から110㎞、日本の最西端の島)
2016年自衛隊基地誘致、当初圧倒的に反対だった島民は次第に容認と諦めに…。
その後、島民の誰も知らないまま、突然防衛省がミサイル部隊配備を発表。
与那国町長が「町長権限で認めた」と。
これには自衛隊駐屯容認派の町民も憤る。
配備当初自衛隊の経済効果を期待した人たちも多かったが、
7年後の今も生活は苦しく、島は疲弊している。
宮古島(沖縄本島と石垣島の間に位置する宮古諸島の中心島)
2017年ミサイル基地工事着工、反対の声虚しく2019年基地駐屯地完成、
2021年、ミサイル、火薬を保管する弾薬庫を備える保良訓練場完成。
サトウキビ畑の道路を通る工事トラックの前でののんびり牛歩、
訓練場入り口での座り込みなどできる限りの抵抗をするもミサイルは運び込まれた。
カメラを向けると警察は乱暴しないという話を信じて、もみくちゃにされながらも泣きながら携帯で撮影を続ける12歳の少女……。
石垣島(八重山諸島の中心島。西表島、与那国島を含む)
ミサイル基地が作られる計画、
それに対する若者を中心にして14,000筆も集めた住民投票実施要請、
石垣市議会による投票条例案の握り潰し、その後、市条例から住民投票条文を削除。
2019年、基地建設着工。
戦後本島で米軍に土地を奪われ移住した人たちが石ころだらけ、
マラリアが蔓延する土地を豊かな農地に作り上げた誇りを持つ島民の一人は、
「若者と仕事を作って一緒に協調して暮らせる静かな環境を渡したい」
と反対運動を続ける。
⤴ネットから借りました。
与那国島のハーレー(舟漕ぎレース)、圧巻だった。
自衛隊員も漕ぎ手として参加し、練習当初は「自衛隊さん」としか呼ばれなかったが、
ずっと一緒に練習する中で一人の人間として
名前を呼んでもらえるようになったと感激する自衛隊員、
本州から来て「与那国島、だーい好き!!」と叫ぶ自衛隊員の小さな男の子、
一年半後にはこの島を離れるという。
平和な日常と豊かな海山に包まれた人々の暮らしの中に一人の人間として入ったことは
自衛隊員の心にどのように収まるのだろう……。
有事にはこの島の人々は九州のどこかに避難させられ、島は無人になるという。
自衛隊は「島と島民を守る」と言って配備されたはずだが、
現実は島民を騙して追い出すことになっている。
ハーレーの他にも、映画では宮古島のマストリャー(エイサーに似た踊り)、
石垣島の八重山民謡「ゆんた」やトウバラーマ(即興的抒情詩の唄)など、
滔々と歴史の時を経て島の人々が紡いできた歌や踊りが登場する。
この豊かさが戦で二度と帰らぬものとならないように、
絶対に、戦争を始めてはならない。
そのために今、私たちができることをしないと。