田代 裕 著 あすなろ書房
いつものように 堺市立 西図書館で借りました。
ゴッホが語るゴッホの生涯とあるように
一人称の形で物語が進みます。
読んでいて、辛いものがありましたねぇ~。
ゴッホの父は牧師でゴッホも牧師になるべく
修業するのですが、過激・過剰に布教し周りから
疎まれることもあったようです。

(激情家だったからこそ、数々の名作が)
ゴッホは人との距離を取るのがあまり上手くなかったよう。
ゴーガンはアルルで2か月をゴッホと共に暮らしますが、
妻に宛てた手紙では
『アルルの2か月は百年ほどに思われた』
と 言っています。
(ゴッホはゴーガンがアルルに来てくれるのを待ちに待って
いたのですが・・・。)

(最後には、精神的な病も・・・。)
この画家の一生は、哀しみに彩られながら炎と燃えた37年間でした。
ゴッホは常に逆境にありながらも、孤独と不安と貧しさに
耐えぬき、愛するテオに支えられて描き続け、あれほど
多くの名作を残し、テオの腕の中で果てていきました。
また、人気も描いた絵の価格も、今では群を抜いて世界一高い
ゴッホの生涯は筆舌に尽くしがたいほど、厳しく哀しい
ものだったのです。

(燃えるようなひまわり)
前述と重なりますが、ゴッホは生まれつき孤独への恐れが
人一倍強かったようです。
それだけに、いつも不安におののく自分に歯ぎしりします。
母への手紙に『ほんとうの生活ができないから絵を描いているのです。』
と書いています。
だから、ゴッホが描いた名作の数々は、画家としての才能から生まれた
ものというよりも、『ほんとうの生活』から疎外されたところからくる
孤独感の産物なのだと言えます。
負のエネルギーに裏打ちされた努力のたまものなのです。
(ほんとうの生活とは、普通に結婚して子どもを授かり
平凡な家庭生活を営むことだったような・・・。)

(絵に対する理想も高く。)
読後、2~3日は心が重く、頭のどこかでゴッホの生涯を
反芻していました。
テオの最後にも同情を禁じえません。
これからは、ゴッホの作品はその生涯も含めて
鑑賞したいと思っています。
(画像はネットからお借りしたものもあります。)