光化門と金大中事件

　タクシーで光化門前のロータリーを通ると，やけに見晴らしがいい。

　そのはずです。光化門の移転工事が始まって以来，工事現場を取り囲んでいた高い遮蔽物がなくなっていて，世宗大路から何にも遮られずに景福宮が見える。

　ところで，そもそもこの移転工事，なんのためにしているんだろう。

　日帝時代，王宮であった景福宮の敷地内にギリシャ神殿風の壮大な総督府を建てるのに邪魔になった光化門を，日本当局が取り壊そうとした。すると，韓国人だけでなく柳宗悦などの日本の文化人からも反対の声があがり,保存運動のかいあって，門そのものは別の所に移築されました。しかし，今度は朝鮮戦争勃発により，焼失。

　つまり，最近まであった光化門は往年の門ではなく，朴正煕大統領が７２年に復元したレプリカです。そして，扁額のクァンファムンの文字（ハングル）も，朴大統領の筆になるもの。

　当初，日帝によって移動させられる前の位置に再建しようとしたが，すでにあった世宗大路の正面に来るように調節したため，景福宮の建物の正面からはずれてしまっていた。それが，金泳三大統領による総督府取り壊しで目立ってしまい，今回，正確に朝鮮時代の位置に戻そうしているのだそうです。

　でも，移転決定は２００６年末。なんでこの時期にお金を使ってそんなことをするのか。

　憶測はさまざまですが，盧武鉉大統領が朴正煕憎しのあまり，衝動的に取り壊しを決定したという噂がもっぱらです。

　そして，ついこの間の金大中事件の調査結果発表。

　金大中氏の拉致が，組織ぐるみだったことが明らかになった。これもすでに調査はずいぶん前に終わっていたものを，最近になって発表した。

　もし，ハンナラ党の大統領候補が朴槿恵になっていたとしたら，きっと大打撃を与えることができたでしょう。お父さんの犯した犯罪のせいで，日本政府に対し屈辱的にも謝罪をしなければならない…。

　しかし，幸か不幸かハンナラ党の競選（党内選挙）で，李明博氏が辛勝。ハンナラ党潰しの切り札が空振りに終わって，ウリ党側はがっかりしているかも。