ハワイ

　アメリカで初めての黒人大統領，オバマ大統領の演説によれば，オバマ氏はハワイで生まれ，一時，インドネシアでも暮らしたそうですね。

　ちょっと調べてみたところ，オバマ氏は１９６１年生まれ。

　なんと，私と同い年だ！

　父親はケニヤからの留学生，母親は白人。６４年に両親が離婚後，６７年に母親の再婚相手のインドネシア人とともにインドネシアへ。７１年までインドネシアの学校に通い，その後ハワイに戻る。７９年よりアメリカ本土で大学に進学…

　ハワイとインドネシアがオバマ氏の故郷といえるでしょう。オバマ氏はハワイについてどう思っていたのか。

　ハワイはもちろんハワイ人の土地でしたが，１９世紀末にアメリカによって併合されました。

　アメリカはすでにして，侵略国家。インディアンの土地だった新大陸を侵略したヨーロッパ人がそのまま居座り，「独立」した国です。アメリカは，インディアンを追って西へ西へと領土を広げ，西海岸にたどり着いて「フロンティア」が消滅したあと，侵略の矛先を太平洋へ伸ばしました。

　もともとハワイには独自の王国がありましたが，１７７８年に，キャプテンクックが来島。

　その後，ヨーロッパ人がもたらした銃器を利用して，カメハメハ大王がハワイを統一しました。

　ヨーロッパ人は銃器だけでなく，各種の病原菌をももたらした。その結果，クックが来たときにハワイ人は３０万人いたのに，１８５０年ごろには７万人に激減。

　１８９５年には王国滅亡，９８年にアメリカが併合しました。

　勢いに乗ったアメリカは，米西戦争の結果，スペインを破り，「独立」を支援すると見せかけて，フィリピンも征服。ちょうど日本が韓半島に勢力を伸ばしていたときですね。

　こうなると，東アジアの覇権をめぐって日米が激突するのは時間の問題でした。日本が満州を併合したとき，アメリカは自分のことは棚に上げて日本を非難。太平洋戦争の引き金になりました。

　その間，アメリカは支配していたハワイを要塞化。日本による真珠湾攻撃が，太平洋戦争の幕を開けたのはご存じの通り。

　太平洋戦争後，世界の多くの国々が独立を果たすなか，ハワイは引き続きアメリカ領土に留め置かれ，１９５９年，アメリカの５０番目の州となり，いまもアメリカの一部であり続けています。

　ハワイ人は，土地を奪われ，命を奪われ，言語を奪われた。ハワイ語を母語にする人は約５００人。１９８０年の調査でハワイ語を理解する人は２０００人だそうです。

　幼い頃のオバマ氏は，そのようなハワイとハワイ人の歴史をどのような思いで学んだのでしょうか。