犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

食のタブー

2009-11-14 23:11:26 | 食べる
 「タブー」というのは,ポリネシア語の「タプ」が語源だそうです。

 「タ」は「徴(しるし)をつける」,「プ」は「明確に,強く」,つまりタプとは,他の一般的な事物とは異なったものとして「はっきりと徴をつける」という意味です。

 大航海時代の海の探検家,キャプテン・クックが1780年代半ば,ポリネシアでの「航海日誌」の中で使い,それが世界中に広まったとされます。

 ちなみに,クック船長のパトロンが,サンドイッチ伯爵。無類のギャンブル(カード)好きで,食事時間も惜しんでカードに興じ,遊びを中断せずに食べられる「サンドイッチ」の発明者として後世にその名を残しているとのこと。

 さて,世の中には「食べ物」と「食べ物じゃないもの」の二種類がある。

 しかし,この区別は,「食べられる物」と「食べられない物」の区別とは一致しない。

 「食べられるもの」でありながら,「食べ物」とはされないものが,「食のタブー」です。

 タブーは文化によって違います。「人間の死体」とか,「排泄物」のように,ほぼ人類に普遍的なタブーもあり,「馬」,「クジラ」,「犬」のように,ある文化圏では立派な食べ物でありながら,ほかの文化圏では「タブー」になるものもあります。

 有名なのが,宗教の戒律によって食べることを禁じられている場合。

 ユダヤ教徒は,「ひずめが割れていて反芻する動物」以外は食べてはいけないことになっており,イスラム教徒はを食べることをコーランが禁じています。ヒンズー教徒はを神聖な動物と見なして食べず,仏教やジャイナ教はあらゆる殺生を禁じるので,僧侶は肉食をしません。

 知り合いの元インドネシア駐在員は,任期中に日本人の妻と離婚して,インドネシア人女性(イスラム教徒)と結婚。イスラム教に改宗しました。以後,豚肉を食べられなくなったのですが,彼によれば,

「それと知っていて食べるのはいけないが,知らないで食べるのはいい」

ということで,結婚後,「それと知らずに豚肉を食べちゃう」ケースが増えたそうです。

 日本や,欧米各国では,「」がタブーになっていますが,これは宗教で禁じられているわけじゃなく,ペットとして飼うことが多いので,犬が家族または友達扱いされているからでしょう。

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