写真:光合成をつかさどる葉緑体
小学校高学年(5年生?)の「理科」の時間、何かの葉っぱに、帯状にアルミホイルを巻いて日光に当て、葉っぱをヨウ素液に浸すと、光の当たっていた部分が紫色になる、というような実験をしました。
一方、 授業では、「植物の葉は、太陽光を受けると、空気中から取り入れた二酸化炭素と、根から吸い上げた水を使って、デンプンと酸素を作る。それを光合成という」ということを暗記しました。
実験と、光合成の定義の間の関係は、小学生の頭ではよくわかりませんでした。
中学校の「科学」では、元素や原子・分子という概念を学び、光合成を「化学式」で学び直しました。
小さいころは、ばくぜんと、植物は根から取り入れた養分で育つのだろうと思っていましたが、実は、植物中に蓄積される栄養(炭水化物)は、根から取り入れたものではなく、空気中の二酸化炭素(と水)から作られる、というのは意外な事実でした。
また、食物連鎖という概念も習いました。草食動物(羊など)が植物を食べ、その草食動物を肉食動物(オオカミなど)が食べる、というやつですね。
人間が生きていくためには、呼吸をして、食べ物を食べなければならない。
呼吸に必要な酸素は、植物が光合成によって作る。
食べ物には、植物(野菜、穀物など)と動物(牛肉、豚肉、鶏肉…)がある。
植物から得られる栄養は、当然、植物が光合成で作ったものである。
一方、動物は植物を食べて育っているので、動物の肉に含まれる栄養もまた、元をたどれば植物が光合成で作った栄養に由来する。
つまり、呼吸も、栄養摂取も、植物の光合成のおかげということです。
それだけでなく、人間を含む動物が呼吸によって排出する二酸化炭素は、植物によって、酸素と炭水化物にしてもらえる。空気の浄化もしてくれるわけです。
そして、植物は「光合成」を、太陽光を浴びることによって行う。ということは、人間がこの世で生きていけるのは、お日さまのおかげだ、ということになります。
19世紀に、この生命の根本原理を明らかにした植物学者は、きっと感動に打ち震えたことでしょう。
でも、現代の人間は呼吸と食べ物だけで生きているわけではない。
文化的生活を送るために、電気製品を使ったり、車に乗ったりする。
電気は、近年では、水力、原子力もありますが、現時点では火力発電が主流。火力発電は石炭、石油などいわゆる「化石燃料」を原料にします。
石炭は、「地質時代の植物が地中にうずもれ、変質してできた岩石」(三省堂国語辞典)。
石油は、「地中からわき出る、黒くてどろどろしたあぶら。〔もとは動物プランクトンの死骸〕〕(同)
つまり、石炭は植物由来、石油は動物由来(元をたどれば植物)。
なんと、石炭・石油も植物が行う「光合成」があったからこそ、地中に蓄積されたのでした。
われわれが生きていられるのは、植物のおかげ、光合成のおかげであり、それは「太陽の恵み」ということになります。
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