娘が一泊二日の短い韓国旅行に行ってきました。
行く前に、LINEでアドバイス。
「へぇ、仁川から電車があるんだ」
娘が韓国に住んでいたころは、まだ空港高速鉄道ができていませんでした。
「ソウル駅で4号線に乗り換えれば、二村洞(イーチョンドン)に行けるよ」
「交通カード買うんだよね」
「イルフェヨン(一回用=使い捨て)もあるよ。1500ウォンぐらい払って、カードを返却すると500ウォン戻る」
「そんなのがあるんだ。まあ、いいや。わからなければだれかに聞くから」
うちの4人の娘の中で、三女はもっとも韓国語がうまい。なんとかなるでしょう。
「韓国人の中には、知らないくせに自信もって教えてくれる人がいるから注意してね」
「ハハハ」
計画では、ソウル駅まで高速鉄道に乗り、ソウル駅で地下鉄に乗り換え、夜泊めてもらう知人の家の最寄り駅である三角地で、駅構内のコインロッカーに荷物を預け、身軽になって二村に行く。
ところが、三角地の構内にはコインロッカーがなかったため、また地下鉄に乗って二村に着いた。コインロッカーに荷物を入れ、さて出ようとしたら、出られない。
ソウル駅で買った一回用の切符は三角地までで、二村は乗り越しということのようです。昔の地下鉄は全路線、定額だったのですが、数年前から距離に比例するようになった。
乗り越し精算をしたくてもそれらしい機械はないし、駅員もいない。それで通り掛かりのアジョシ(お兄さん)に聞いたんだそうです。
韓国語で事情を説明し、三角地で降りる予定だったけれども、そのまま乗ってきたことを伝えました。
「三角地? それどこですか」
どうもソウルの人ではないらしく、地下鉄路線図を見せて説明。
「ぼくは一回用は使わないからなあ」
頼りない韓国人です。
結局、いろいろと調べてくれようとしたけれども、結論は、もう一度三角地に戻って下車し、切符を買い直すしかない、というものでした。
(そんなぁ、乗り越し精算できないはずがないのに)
内心そう思いつつ、せっかくのアドバイスを無にするのも悪いと思って、アドバイスにしたがい、三角地に戻ったそうです。
「そういうときは、改札のバーを乗り越えるかくぐるかするんだよ」
夜、LINEでその事件を聞いたとき、私が書いたコメントです。
苦労して二村にたどりついた娘は、昔住んでいたアパート(韓国ではマンションのことをアパートといいます)に行きました。昔よく遊んだ中庭は昔のまま。
すぐそばの肉屋に行ったら、昔と同じ夫婦がやっていた。
「昔、半島(パンド)アパートに住んでいて、よく買いに来たんですけど、覚えてますか」
最初はよくわからなかったらしいけれど、スマホに保存してあった昔の写真を見せたら、記憶が蘇ったらしい。
「ああ、あの4姉妹の。よく覚えてるよ。なつかしいねえ」
そしておばさんは近くの粉食家(プンシクチプ、韓国式の軽食を売る店)で、カルククス(韓国式うどん)を奢ってくれたんだとか。
そして、その日の夜は、昔の英語の家庭教師だったアメリカ人ご夫婦といっしょに、三角地近辺の焼き肉屋でカルビをごちそうになったとのこと。
夕食が終わると、今度はひとりで龍山(ヨンサン)のチムチルバンに行ったそうです。
「すごく大きくて、よかった。アカスリでは、アジュンマがしつこく高いコースを勧めてきたけど、断った」
三角地の豪華アパートに帰ったのは11時すぎ。すでにアメリカ人夫婦は寝ていたそうです。
予期しないハプニングもいろいろあったようですが、それもまた旅の楽しみの一つでしょう。
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