韓国で「尿素水」が不足し、大変な騒ぎになっています。
聞きなれない言葉なので、辞書(三省堂国語)で調べてみましたが、載っていない。
なんでも、ディーゼルエンジンから出る排ガスを浄化するのに欠かせないものなんだそうです。
韓国のトラックやバスはディーゼル車比率が高く、尿素水の在庫は1か月分しかない。このままの状態が続くと、一か月後には韓国の物流・交通がマヒするおそれがあるとのことです。
では、韓国でなぜ尿素水が不足したかというと、最大の輸入先である中国が、尿素の輸出を制限したから。
中国が輸出を制限したのは、中国の尿素生産が減少したから。
中国が減産したのは、尿素生産の原料となる石炭が不足したから。
石炭が不足したのは、オーストラリアからの石炭を禁輸にしたから。
オーストラリアからの石炭を禁輸したのは、オーストラリアが反中姿勢を強めたから。
特に、新型コロナウイルスの感染拡大が広がった昨年4月、オーストラリア政府が中国に対し、「ウイルス発生源の国際調査」を求めたことが大きい。
特に、新型コロナウイルスの感染拡大が広がった昨年4月、オーストラリア政府が中国に対し、「ウイルス発生源の国際調査」を求めたことが大きい。
つまり、韓国の尿素水不足の原因は、新型コロナウイルスだったのです。
このニュースを聞いて、「風が吹けば桶屋がもうかる」という日本の慣用句が思い浮かびました。
風が吹けば桶屋がもうかる:一つのできごとが、めぐりめぐって思いがけないところに影響をおよぼすことのたとえ。
大風が吹くと砂ぼこりが立つ。
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それが目に入って盲人がふえる。
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盲人で三味線を習う人が多くなる。
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三味線の皮が不足するので猫がたくさん殺される。
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猫が減ると鼠がふえる。
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鼠がふえると桶をかじる。
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桶の注文がふえて桶屋がもうかる。
という話から。(三省堂国語辞典第7版)
私の伯母は、私が子供のころに同居していて、家で週二回小唄を教えていたので、三味線の音に親しんでいました。でも、20年以上の間、盲人の弟子は一人も入門しませんでした。
また、三味線には猫の皮が使われますが、猫の皮は破れやすくて高いので、お稽古用には「犬の皮」が張られた三味線を使っていました。
また、私の家では猫を飼っていましたが、飼い始めてから10歳で死ぬまで、鼠を捕まえたのはたった1回だけでした。
さらにわが家で使っていた桶はプラスチック製でした(笑。
韓国には「風が吹けば桶屋がもうかる」にぴったりの表現はありません。今回の事態に直面し、韓国の新聞記事では「ナビ効果」などと言っています。たとえば11日付中央日報(リンク)。
ナビは蝶のこと。英語のbutterfly effectで、日本ではバタフライ効果といいます。
気象学者のエドワード・ローレンツが、1972年に行った講演「ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきは、テキサスで竜巻を引き起こすか?」に由来する言葉で、「予測不可能性」を意味するんだそうです。
ところで、日本では「尿素水不足」は話題になっていません。それは、日本は尿素を国内で生産し、中国からの輸入は少ないので、中国の減産による影響を受けないからです。
一方、韓国もかつて国内で尿素を作っていましたが、コストが高いので、2004年までにすべての企業が撤退。全量を輸入に頼り、しかも輸入先が中国一辺倒だったのです。
中国の輸出制限は、日本の「フッ化水素、フッ化ポリイミド、レジスト」の輸出管理厳格化と似ていますが、韓国は日本に対してはあれほど反発したのに、中国に対しては大した抗議はしていない。文大統領の、「親中」姿勢の表れでしょう。
「戦略物資」の全量輸入と、一国への偏重の危険性は、あらかじめ予測可能です。いわば、起こるべくして起こった結果です。
こう考えると、今回の事態に、「予測不可能性」を意味する「ナビ効果」という表現を使うのは適切ではないでしょう。
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