犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

悲運のトリスタグラム

2021-12-14 23:59:01 | 韓国雑学
 韓国では、10月に盧泰愚(ノ・テウ)氏、11月に全斗煥(チョン・ドゥファン)氏と、大統領経験者が相次いで亡くなりました。

 どちらも軍人出身で、特に全斗煥のほうは、光州事件で民主化運動を弾圧し、多数の犠牲者を出したことで、韓国民の厳しい評価を受けています。

 一方、次期大統領候補の尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏と李在明(イ・ジェミョン)氏は、ともに全斗煥に対する評価を巡って、批判されているのです。

 まず野党の尹錫悦候補は、全斗煥が亡くなる前の10月19日、「全斗煥元大統領が誤った部分はあるものの、軍事クーデターと5・18を除けば政治はしっかりやったと言う人たちが多い」と発言したことが国民の怒りを買い、2日後に謝罪しました。

 一方、与党の李在明候補は、12月11日、「すべての政治家は功過(=功罪)が共存する。全斗煥大統領にも功過が共存する。全体的にみれば、全斗煥が三低好況をうまく活かして、経済が破綻しないように、経済がまともに動いていけるようにしたのは成果と言える」と発言して、批判を受けています。

 どちらの発言も、とりたてて問題視するような内容とは思えませんが、「白黒論理」の韓国社会では、悪い奴は全否定しなければならないようです。

 ところで、この陰でとばっちりを受けたがいます。

 尹錫悦候補の愛犬、トリです。(リンク

 尹候補は、有権者に親しみをもってもらおうという意図からでしょうか、今年の7月に愛犬トリを主人公にしたインスタグラムを開設し、韓国の一部の愛犬家たちからトリスタグラムの愛称で、親しまれてきました。

 ところが、尹候補が全斗煥大統領について「失言」をして、「国民に謝罪しろ!」という非難の声が高まった翌日、トリにリンゴをやる写真がトリスタグラムに載ったのです。



 すると今度はその写真について、「国民をバカにするな」という非難が殺到しました。

 実は、リンゴは韓国語でサグァ(사과)といいますが、これが謝罪と同音異義語なのです(漢字表記は謝過)。

 つまり、「犬にリンゴをやる」写真は、「謝罪は犬に食わせろ」という意味なのではないか、さらには「国民を犬に見立てているのか」という疑念を生み、「国民をバカにするな」という批判につながったわけです。

 なお、韓国語で犬の子どもを意味するケーセッキは、相手に対する最大級の罵倒語です(リンク)。

 なんともバカバカしいあげ足取りですが、トリスタグラムは即日閉鎖されてしまいました。開設からわずか3か月後のことです。

 これには失望した愛犬家も多かったのではないでしょうか。

 かわいそうなトリ…


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