北朝鮮の金正男が暗殺されたという一報に接したのは、新大阪の飲み屋でした。
「金正男が殺されたらしいよ。これって大事件じゃないの?」
妻からのラインです。
早速スマホで検索してみました。KBSがニュースを伝えたけれども真偽不明という段階。
「今、金正男が殺されたっていうニュースが流れてますよ」
カウンター席にいた客に話しかけました。
「キム・ジョンウンですか? それは大変だ」
「いえ、ジョンウンじゃなくてジョンナムのほう」
「ジョンナム?」
「金正恩の腹違いのお兄さんの、金正男です」
コリア情勢については疎いらしく、ピンときていない様子。
「前に、偽パスポートをもってディズニーランドに行こうとしたけど、入国を拒否されたっていう事件があったじゃないですか」
「ああ、そんなことありましたね」
翌日、ニュースをチェックすると、本当に殺害されていました。
犯人は若い女性で、殺害方法は「毒針」らしい。
村上春樹のベストセラー、1Q84に、針で急所をついて即死させる女の殺し屋が出てきます。彼女の場合、児童虐待を繰り返す男に「仕置き」をするという大義があり、針による殺害は何の証拠も残らない「完全犯罪」でした。
北朝鮮によるテロは、ラングーン廟爆破テロ(全斗煥大統領爆殺未遂)、大韓航空機爆破テロ(真由美事件)などが思い浮かびます。いずれも犯人が逮捕され、北朝鮮の評判が失墜しました。
今回の事件も空港で公然と殺害するという大胆というか、おおざっぱなやり方なので、いずれ犯人も逮捕されるでしょう。
でも、金正恩は、本当に国益のことを考えているんでしょうかね。1980年代のテロもそうでしたが、韓国の大統領選挙前で一気に北への警戒感が高まり、民主派陣営(金泳三、金大中)が優勢だったのに、軍人出身の盧泰愚が当選しちゃった。
今回も4月に大統領選があると予測され、現在は「親北」のムンジェインが優勢ですが、ミサイル発射とか、今回のテロで、「やっぱり北は恐い」というイメージが韓国に広がるのは避けられない。潘基文の落馬(=不出馬)で候補者不在の保守派が勢いを取り戻すかもしれません。
北朝鮮は情報鎖国をしているので、世界の常識が通用しないようです。
1Q84は、オーウェルの『1984』を意識して書かれたといわれますが、その『1984』は独裁共産国家ソ連をモデルにしている。ソ連は疾うに崩壊しましたが、ソ連にまさる独裁神権国家の北朝鮮は21世紀まで生き延びてしまった。
「1Q84」の世界には月が二つ浮かんでいましたが、北朝鮮には、金日成、金正日、金正恩という太陽が三つ浮かんでいるのかもしれません。
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一冊3千円以上した、文庫本の出る前のでっかいヤツだったのに、、、
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/26557.html
確かに、これは左派にとっては逆風になりかねませんね。
私も、ある韓国人に『拝啓、韓国大統領殿』という本を貸して、彼の退職で返してもらえなかったことがあります。田中明の、今となっては貴重な本だったのに。
捕まった男性がどんな証言をするか楽しみです。