先週の土曜日、ミャンマー語のレッスンが終わったあと、先生は息子さんと上野公園に行くというので、私もご一緒しました。
数日前に降った雨で、残念ながら桜を少し散ってしまっていましたが、不忍池の遊歩道にはたくさんの花見客が出ていました。
昨年の12月に来日したばかりの19歳のミャンマー青年にとって、見るものすべてが珍しい様子。桜だけではなくて、屋台も、人込みも。
先生(母親)のほうは、よく立ち止まっては、息子に写真をとることを要求します。
「お母さんはほんとうに写真が好きなんだから」
そのたびに息子さんは面倒くさそうにスマホのカメラを向けます。
ところで、親子がもっとも感動していたのは、トイレの行列でした。女性用だけでなく男性用も満員で、トイレの外に行列が長く伸び、人々は静に順番が来るのを待っていました。
「ミャンマーでは考えられない。日本はすごいです!」
先生には娘さんもいて、今年大学に入学するんだとか。入学祝いに腕時計(ベイビーG)を買いに行くというので、そこで別れました。
実家に帰って、上野公園の話をすると、ふだん外出するのをおっくうがっている90歳の叔母が、めずらしく桜が見たいと言います。
それで翌日の日曜日、一緒に住んでいる83歳の母は謡の稽古に行って不在の間、叔母だけを車に乗せて、都内の桜の名所を回りました。
桜の随一の名所、千鳥ヶ淵に向かう途中、
「東京駅が新しくなったでしょう」
「駅はどうかわからないけど、丸ビルは立派になったね」
「ちょっと見てみたいわ」
それで、丸の内を回り、神田のニコライ堂とか、東大の赤門とか、叔母が昔よく知っていた町を回り、千鳥ヶ淵から靖国神社、靖国通りと桜並木を見物しました。
「もうこれが見納めかもしれないわ」
「何言ってるんだよ。来年も見られるよ」
叔母は最近、めっきり足腰が衰え、体の調子がよっぽどよくないと、車での外出も嫌がります。今回のように、自分から出かけたいと言うのはめずらしい。でも2時間ほどのドライブですっかり疲れ、その日は夕食も摂らずに寝室に入ってしまいました。
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