韓国起源説という言葉がウィキペディアの項目になっていて、長大な説明があることを最近発見し、びっくりしました。
この記事の執筆者もご苦労なことですが、韓国もすごい。いやはやいろいろな主張をしているものです。この中には、すでに聞いたことのあるのも多いけれど、初耳のものもある。最近になっていちだんとヒートアップしているようですね。
韓国出張時、事務所の書架を見ていて懐かしい思いにとらわれました。私が韓国関係の仕事をするようになって最初の数年間は、韓国ものの本を手当たり次第に読みました。その中にはずっと手元に置いておきたいと思う本もいくつかありましたが、大半を韓国に置き土産として残してきました。
「醜い韓国人」というベストセラーが出て、それに対抗して韓国人、在日韓国人が何冊も「醜い日本人」的な本を出したり。
金容雲氏もそんな一人でした。
金容雲は在日韓国人の数学者。韓国に帰って大学の教授になりました。彼が1983年に出版した『韓国人と日本人』(サイマル出版会)は、韓国の日本の文化比較を論じたもので、当時、類書が少なかったためもあり、そこそこ売れたようです。
その中にこんな一節がある。
「現在、のこっている史書に記録されている韓国古代の武士の呼称は、扶余や高句麗の「上戸」、または新羅の「花郎」(貴族武士)など、漢字であらわされている。しかし漢字名ではなく、共通した韓国独自の表現があったはずだ。ちょうど「武士」にたいする「サムライ」のようにである。
韓国語で戦うということを「サウル」といい、男を「アビ」という。「戦う男」を韓国語でじかに表現すると、「サウルアビ」になる。飛躍がすぎると叱られるのを覚悟で、アマチュア式思考でいうと、日本の「サムライ」と、韓国の「サウルアビ」と、なにかつながりがありそうに考えられる。」
さむらいの起源が韓国語だというのは、金容雲がこの本で言い出したことなんですね。まえがきによれば、氏は81年に韓国語で『日本人と韓国人-刀と筆の文化』(プリキップンナム出版社)という本を出しているそうなので、もしかしたらそちらが初出かもしれません。
韓国で本を出す場合、「飛躍がすぎると叱られるのを覚悟で、アマチュア式思考でいうと」なんている弁解めいた枕詞を書くはずがないから、もっと断言調で書かれていたことでしょう。
いずれにせよ、サムライ韓国語起源説は韓国で定着し、その後映画にもなりました。この説になんら学問的裏付けがないことは、著者自身が「アマチュア式思考」と言っていることからもわかります。
金容雲はこの著書の後にも、日本文化論を何冊か出していますが、どれを読んでも「韓国文化は日本に優越する」という基調で書かれており、また数学者とは思えない非論理的な決めつけが多いので、いつしか新刊が出ても買わなくなりました。
数年前には、『日本語の正体-倭の大王は百済語で話す』(三五館)という本を出したそうです。私は読んでおらず、その本を批判・検証しているHP(→リンク)をざっと読んだだけですが、相変わらずですね。
今や日本では顧みる人のいない江上波夫の「騎馬民族征服王朝説」が議論の土台になっているらしい。騎馬民族説は韓国では人気があり、ほぼ定説扱いされているから始末が悪い。困ったものです。
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