犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

韓国便り~中華・日式・バー

2009-04-30 22:13:43 | 韓国便り(帰任以後)
 四日目の昼は,中華料理。

「嫌ですか?」

 中国出身の出張者に聞くと,

「いいですよ。中華料理とは認められませんがね」

 われわれが頼んだのはメッコムチャジャンミョン(辛いチャジャンミョン)。普通のチャジャンミョンに唐辛子を入れて炒めたもの。

 3人前が一枚の大皿に盛られてきました。黒いジャン(味噌餡)は,刻み入れられたネギと豚肉とともに炒められ,麺と満遍なく混ざった状態で出てきます。

 所々に輪切りにされた青唐辛子が見えます。唐辛子だけつまんで食べてみましたが,飛び上がるほど辛い,というわけではない。私も含め,3人とも辛いものには強いほうだったので,唐辛子を気にせず食べました。

 半分ほど食べたころ,店のアジョシが通りがかったついでに,

「足りなければここにご飯を入れて混ぜて食べてもおいしいよ」

とアドバイスしてくれましたが遠慮しておきました。韓国人は本当に混ぜるのが好きです。

 夜は,このところ定番となっているイルシク(日式)の店でモドゥムフェ(刺身三点盛り合わせ)。

 酒は清河ではなく,オシプセジュ(五十歳酒)にしました。ペクセジュ(百歳酒)という韓方薬(×漢方薬)入りの酒とソジュを薬罐で混合して飲む,体にいいのか悪いのかわからない酒です。

 百歳酒は「飲めば百歳まで生きられる」そうです。
(トングル・チョ~クチョ~ク・パルミョンソラド…)

 五十歳酒は,「五十歳まで生きられる」のではなく,「あと五十年生きられる」ということですので,五十歳を越えた方は五十歳酒にして飲んだほうが長生きできます。

 また,薬罐は韓国語でチュジョンジャと言い,酒煎子と書きますが,五十歳酒と関連があるのかどうか不明です(間違いなく無いでしょう)。

 二次会は,同行していた若い韓国人職員を連れて,漢南洞のバーにご機嫌伺い。

犬鍋「アンニョンハセヨ。この前の酒,残ってますか?」

ママ「あら,犬鍋さんが帰ったあと,残ったお二人が全部飲んで帰られたわ」

犬「アイゴ。それをあてにしてたのに。そういえば,最近,日本人女性の二人連れが来ませんでしたか?」

マ「ああ,いらっしゃいましたよ」

犬「ネットで知り合った人でね」

マ「犬鍋さんのことだとピンと来ました。UNビレッジにお住まいだそうで。あまりたくさんは話せなかったけど」

 連れの韓国人職員も,ここでは顔馴染です。

犬「こいつ,最近,結婚話があってね」

マ「あら,あの大邱の彼女?」

職員「いえ,彼女とは別れました」

 ママはとにかく記憶力が良い。

マ「あっ,これ使っていただいてるのね」

 帰国直前にママからもらった金豚のストラップ。私の携帯についていたのを目ざとく見つけます。

マ「こちらのはマンネ(末っ子)からもらったやつでしょう?」

(ほんとに良く覚えているなあ!)

 金の豚は韓国では縁起物とされ,金持ちになれるらしい。今のところ,その兆候はありませんが。

 ほかのお客さんが帰り,もう一人のアガシも合流。2週間前に入ったというアガシは,日本語を勉強中だそうで,日本語会話ノートのような小冊子を持ち歩いている。パラパラとめくると,基本的な挨拶と単語が並んでいる。

「ここに恋人っいう言葉があるけどね,今は使わないよ。この前,娘に,『お前,恋人いるのか?』と聞いたら,吹き出されちゃった」

「えっ? じゃ,なんていうの」

 ママが10年前に日本で身につけた日本語も,今となっては古いらしい。

「彼氏か彼女。カレシは尻上り調で言わないといけない」

 いろいろな話をするうちに,時計は12時を回ります。空いた小瓶のハイネケンが6本。1本1万ウォンがこのタイプのバーの相場です。次の日の仕事もあるし,われわれは6万ウォンを払って店をあとにしました。

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