私がこれまでかじったことのある外国語について、ずいぶん前に書いたことがあります。
私の語学遍歴
英語、フランス語、ロシア語、ドイツ語、韓国語、タイ語、インドネシア語…
上の文章を書いたのは2007年で、日本への帰任後、ここにミャンマー語が加わり、インドネシア語にも再チャレンジしました。
これらの中で、インドネシア語がもっとも学びやすい言語だった、というのが実感です。
そして今回、挑戦しようとしているフィリピン語。市販の学習書をめくってみた第一印象は、「学習しやすそうだな」というもの。
理由は、
1.(韓国語やロシア語やタイ語やミャンマー語と違い)文字が英語のアルファベット
2.言語の系統が、(あの易しい)インドネシア語と同じオーストロネシア語族
3.子音や母音の数が少なく、日本語と似ている
4.(タイ語やミャンマー語と違い)声調がない
などでした。
ところが…
学習書を読み進めるうち、これがとんでもない勘違いであることに気づかされました。
まず、語順。
世界の数千の言語を、主語(S)、動詞(V)、目的語(O)の語順によって分類すると、日本語のようなSOVが最も多くて、約50%。韓国語やミャンマー語がここに入ります。
つぎに英語のようなSVOが約40%。印欧語の多くや、中国語、インドネシア語などが含まれます。
そしてVSOが約10%。メジャーなところではアラビア語。そしてタガログ語(フィリピノ語)がここに含まれるのですね。
参考に、VOS、OVS、OSVはごく少数だそうです。
文の最初に述語(動詞)が来る言語というのは、私にとって初体験なので新鮮です。
そして、主語について、奇妙な記述があるのですね。
次は東外大のサイトです。
動詞文の補語
主語と述語で構成されている基本文で、述語の位置に動詞がくる文が動詞文です。フィリピノ語の動詞文は、動詞と1つ、または2つ以上の補語で構成されています。動詞における補語が1つのときは、これが自動的に主語になりますが、2つ以上のときは1つだけが主語になります。主語になる補語は ang句で表されます…
解説
補語とは動詞文に現れる名詞(句)で主語になれるものです。具体的には行為者を表す行為者補語、動作の対象となる物や人を表す目的補語、動作のなされる方向を表す方向補語、動作の行われる場所を表す場所補語、動作の恩恵を受ける人や物を表す恩恵補語、動作がなされる手段を表す道具補語、話題を表す話題補語、理由や原因を表す理由補語があります。これらの補語が基本文において主語にならないときは、次のように表されます。(以下略)
意味不明だ!
上の説明では、動詞文において、「補語」は「主語になれる」。補語には、行為者補語、目的補語、方向補語、場所補語、恩恵補語、道具補語、話題補語、理由補語などがあって、これがぜーんぶ「主語」になることができる!ということのようです。
主語とは補語に対する定義が、これまで学習してきた言語とはまったく異なるらしい。
「かなり手ごわそう」というのが、フィリピノ語に対する第二印象です。
プログラミング言語なら20ぐらいはざっと書けますし、必要が無くても新しい言語に触れてみますが、自然言語はなぜそういかないのか…。
これがどんなにすごいことなのか、一つもできない私には想像がつきませんが…。
新しい言語の習得は、だいたい要領がわかったこともあり、あまり苦になりません。
一方、必要も関心も薄れた言語の力を維持するのは、年齢的なこともあり、至難です。
韓国語は、習得した年齢が比較的若く(30代)、今も仕事で使う機会があるので、なんとか維持できています。