犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

ゲテモノ

2023-05-23 23:01:17 | 言葉

写真:新宿上海小吃の蠍(さそり)のから揚げ

 リモートワーク勤務の社員が多いため、会社に行っても人はまばらです。顔を合わすのは数か月に1回、などという人も珍しくない。

「犬鍋さん、久しぶりです」

「ほんとうに!」


「相変わらず、ゲテモノ食べてますか」


「なにそれ? それが挨拶がわり?」


 私は「ゲテモノ好き」として知られているようです。

 この社員は日系ブラジル人で、数年前、何回かいっしょにブラジル出張をしたことがあります。

 そのときは、豚の内臓と豆を煮込んだフェイジョアーダ(これはブラジルではゲテモノではない)とか、ピラニアのスープなどを食べました。

「そうだね、最近だと、鹿肉を食べたよ」

「それはゲテモノじゃなくてジビエですね」


「あとはバロット」


「なんですか、それ」


「中身がある程度育ったゆで卵」


「うわっ、それは無理です。どこの料理ですか」


「フィリピン料理。でも、いろんなところで食べるんじゃない」


 そばにいた中国人社員に聞いてみました。

「ああ、中国にもありますよ。私は食べませんが」

 ほかに、ベトナムやエチオピアにもあると聞きました。

「ところでゲテモノって、漢字があるんですか」

 中国人は漢字があると覚えやすいようです。

「さあ、漢字で書いたの、見たことないなあ」

 家に帰った後、調べてみました。

げてもの
①〔「ゲテモノ」とも書く〕〔俗〕ふつうの人のいやがる、変わったもの。「げてもの食い」 
②【下手物】〔古風〕あまり手のこんでいない、ふだん使う(工芸)品。(←→上手(じょうて)物)

 語源は「下手物」から来たかもしれませんが、ふつう漢字では書かないようです。

「下手物」などと書いてあったら、「へたもの」と読みたくなりますね。

 「下手/上手」は、「へた/じょうず」が最も一般的と思いますが、それ以外にもここにあるように「げて/じょうて」、さらに「しもて/かみて」(見物席の向かって右を上手、左を下手というんだそうです)というのもあります。

 「上手」は「うわて」と読むと、風上、川上を表します。反対語は「下手(しもて)」

 相撲用語の「上手」(うわて)は、相手の腕の外側からさした形で、反対語は下手(したて)

 「上手(うわて)に出る」といえば、相手より上位である態度で臨むこと。「下手(したて)に出る」は、逆にへりくだること。

 「下手人(げしゅにん)」は人を殺した犯人(古風)。「上手人」という言葉はないですね。

 日本語の漢字の読み方は難しい。

 中国語や韓国語は、漢字の読み方は一字一音が原則です。

 なので、漢字をよく知る中国人にとっても、日本語の漢字の読み方は、日本語学習における難関になっています。

羊脳カレー

豚脳蛇蝎を喰らう


コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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あれから8年 (スンドゥブ)
2023-05-23 08:06:50
上海小吃、調べてみると営業してますね。
コロナ禍で一時は経営危機にも瀕したようです。
メニューに虫系も追加されていました。
「行って食べたことは後悔しないが、もう一度行くかどうかは微妙」てな感じかな。
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同じゲテモノ系はら (bosintang)
2023-05-28 21:52:33
高田馬場の米とサーカスのほうがいいかも。

オーソドックスな食事のほうが、もっといいかも。
返信する

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