犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

韓国語における「伝統」の用法

2006-04-18 10:16:13 | 言葉
 伝統(ジョントン)という言葉も,韓国では好まれます。
 あと「元祖」もね。サムゲタン屋さんなんか,元祖だらけ。「元祖」の意味がわかってないようで。

 伝統もちょっと違うんだよなあ。

 伝統というから,「50年かな」,「100年かな」と思うと

「開業10年,伝統の店」

とかいって,がくっとさせられる。

 一般に,韓国の飲食店は興亡が激しい。
 「以前行ったあの店,おいしかったよなあ」と思って,お客さんを連れて行くと,つぶれていたり,代が替わっていたりして恥をかいたことが,一度や二度ではない。

 不思議なのは,「流行っている店ほどよくつぶれる」ということです。

本で読んだんですが,韓国において職業の貴賤は厳然と存在する。中でも飲食店のステータスは低い。主人は,内心こんな恥ずかしい仕事,早く足を洗いたいと思っている。息子にはぜったい継がせたくない。大学に入れて,もっとステータスの高い仕事に就いてほしい。
 で,店の評判が高まり,お客さんがたくさん来て,お金がある程度たまると,さっさと職業替えをして,たとえば不動産屋の主人におさまる。

 だから日本で「早稲田大学出身の息子が,お父さんのラーメン屋を継ぐ」なんてことは,信じられない話なんですね。

 というわけで,韓国では飲食店を10年続けると「伝統の店」になれます。


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