犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

2017-03-07 23:44:56 | 飲む
 私が通うバーには、私と同じ単身赴任者が多い。

「犬鍋さん、もう一軒、いい飲み屋があるんですよ」

「どんなところですか」

「おばちゃんが一人でやっているんですが、そのおばちゃんが面白い人なんです。アメリカ帰りで、英語も達者」

「へえ」

「ただ、毎月最後の金曜日は英語デ-で、日本語を使うと罰金をとられます」

「そりゃ困るな」

「でも、あのおばちゃん、韓国語もできるようなことを言ってましたよ」

「そうですか、今度行ってみます」

 この話を聞いたのは昨年末。数日後、早速行ってみると、あいにくその日は忘年会で貸し切りで入れなかった。

 初めて行ったのは2月でした。

「あら、〇〇さんの紹介ですか。うれしいわ」

「英語が達者なんだそうですね」

「ええ、アメリカ人と結婚していたから。別れちゃったけど」

「韓国語もできるとか」

「アンニョンハセヨ! ハハハ。今勉強中なのよ。実は私韓国人でね、だから韓国語も少しはできなくちゃと思って」

 とにかく明るいアジュンマです。

 なんでも、生まれてからずっと自分が日本人だと思っていたのに、高校生の時、パスポートを作ろうとしたら、自分が在日韓国人だったことを知ったそうです。

「でも、その時はカミングアウトできなかったわ。それで、高校からアメリカに留学したの。アメリカは移民の国でしょう。だから隠すこともなかったけど」

(同じような話を聞いたことがあるなあ)

 韓国に駐在していたとき、SORAという名前のバーに通っていた時期がありました。そこでアルバイトとして働いていたアガシが在日韓国人。延世大学の語学堂に留学中の女の子でした。やはり、高校時代にパスポートをとろうとして自分が在日韓国人であることを知り、親と大喧嘩したけれど、大学に入って、自分のアイデンティティーを探るために韓国留学を思い立った…。

「そのあとアメリカ人と結婚してね、子どももできたけど、別れちゃった。今は息子も大きくなって、ときどきこのお店を手伝いに来てくれるのよ」

「あの、英語デーのときは、英語じゃなくて韓国語でしゃべってもいいですか」

「もちろんよ。またぜひ来てね」

 このお店の名前は絆(きずな)

 何か意味深長ですが、今度、店の名前の由来を聞いてみようと思います。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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国籍 (スンドゥブ)
2017-03-09 10:16:28

おはようございます。

面白そうな場所を見つけていいですね。
でも、なんで自分の子供に国籍を教えないのでしょうね?
不思議な感じがします。
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なんで… (犬鍋)
2017-03-09 21:55:29
当事者にしかわからない理由があるのだと思います。
返信する

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