今回の韓国出張は、1泊2日という最短のスケジュールでした。
「犬鍋さん、今晩、ムービーデーなんですけど、いっしょに行きませんか」
「ああ、昔やってましたが、復活したんですか」
私が駐在中も、事務所の社員がみんなで映画を見に行くというイベントがあって、「力道山」という映画を見たことを覚えています(リンク)。
「で、何を見るんですか?」
「君の名は、です。犬鍋さんはもう見ましたか」
「いえ、娘たちは見たっていってますけど」
「じゃ、ぜひいっしょに行きましょう」
韓国出張に来て、映画を見るとは思いませんでした。
仕事が終わって、事務所から徒歩15分ぐらいの「ピカデリー」という映画館で、開始時間は7時半。
早く会社を出た社員もいて、上映10分前に映画館で待ち合わせました。入口でお決まりのポップコーンやコーラを買います。ポップコーンの箱は巨大で、樽のようです。
「犬鍋さん、記念写真をとりましょう」
「いいけど、映画、始まっちゃうよ」
「大丈夫です。最初は広告ですから」
結局、入場したのは10分ぐらい過ぎてから。それでも広告が終わっていませんでしたから、たぶん15分ぐらいやっていたんじゃないでしょうか。
少し前のムービーデーは、韓国映画で、日本人駐在員はぜんぜんわからなかったということで、今回は日本映画(吹き替えではなく韓国語字幕)にしたとのこと。
アニメ映画「君の名は」は、日本でもヒットしましたが、韓国でも記録的なヒットだそうです。メンバーがスマホでその場で確認したところによると、2週間で270万人を上回るんだとか。
今回の「ムービーデー」に参加した社員の中には、2回目という人もいました。
中身はご存じの方が多いと思いますが、高校生の男女が時を越えて入れ代わり、過去を書き換えて、大惨事を未然に防ぐという物語。二つの世界を行き来するという点で、村上春樹の『1Q89』を思い出しました。
単純な恋物語なのじゃないかと思っていましたが、ストーリーも複雑で、集中していないとよくわからなくなる。駐在員は、最近トイレが近いといって、二度も中座していたので、後で話しを聞いてみると肝心な部分を見逃していたらしい。
日本の作品らしく、さまざまな伏線や暗示があって、細部まで正確に理解するのは、一回では無理かも。この作品にとりわけ「リピーター」が多いのは、こうした理由もあるのかもしれません。
後でネットを調べるとこんな記事がありました。
1月13日 中央日報/韓国経済新聞(リンク)
日本映画・ドラマに熱狂…時ならぬ「日流」ブーム
会社員キム・スビンさん(29)は来月、生涯初めて東京を旅行する計画だ。新海誠監督の新作アニメーション映画『君の名は。』に登場する場所を行ってみたいという。この作品は都市の少年・瀧と田舎の少女・三葉の体が入れ替わって生じる出来事を描いている。東京信濃町駅から見えるドコモタワーと歩道橋、須賀神社前の階段、四ツ谷駅前広場、新宿警察署裏交差点など有名観光地ではないが映画の中で重要な役割をする場所を見て回る計画だ。
ハナツアーは映画の人気を受け、三葉が暮らす仮想の村・糸守のモチーフになった岐阜県を訪問する『君の名は。聖地巡礼』商品を出した。
少女像設置問題などで韓日関係が急速に冷え込む中、日本文化コンテンツに対する関心はいつよりも高まっている。アニメだけでなく関連小説も人気だ。放送界と映画界で日本ドラマ・映画のリメークが活発になっている。文化評論家のチョン・ドクヒョン氏は「以前は韓日関係のために日本コンテンツの消費を否定的に見たり、一部のマニアの専有物と認識する傾向が強かったが、今は軍国主義的な要素がない作品なら開かれた姿勢で受け入れる消費文化が強まっている」と説明した。
12日の映画振興委員会映画館入場券統合電算網によると、『君の名は。』は公開8日目で累積観客数が162万8061人となった。ハリウッド新作の攻勢の中でも8日連続で1位を維持した。教保文庫では新海監督の原作小説『君の名は。』(デウォンシーアイ)が週間(4-10日)ベストセラー総合4位、映画で扱われなかったストーリーが入った番外編『君の名は。Another Side:Earthbound』(デウォンシーアイ)が総合9位になった。それぞれ8階段、28階段も順位が上昇した。
(中略)
しばらく停滞していた「日流」がまた文化市場の主流に浮上する理由は何か。文化評論家のキム・ホンシク氏は「従来の枠から抜け出して大衆性を確保しようと試みた結果」と分析した。『君の名は。』は「少年と少女の恋愛が世界の運命を左右する問題に直結する」という日本特有の「セカイ系」文化が込められている。ややマニア的な設定にも東日本大震災の傷を癒やすという点で普遍性を加えた。
新海監督はインタビューで「震災で苦痛を感じている人たちに癒やしを、恋愛をためらう若者に応援を送りたかった」と語った。(後略)
ヒットしたのは、たんに作品がすぐれていたからじゃないかと。
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後半、トイレに行きたくなりましたが、我慢して最後まで観たので、内容は理解できました。彼女の方が3歳年上なんですね。
でも、そんなに感動を呼ぶようなものでもないかなと思いました。
そーゆー話ではなかったと思いますが。
よくできた作品だとは思いました。