金炳憲(キム・ビョンホン)著『赤い水曜日- 30年間の慰安婦歪曲』の日本語翻訳版が、今月10日、文藝春秋より刊行されました。訳者は金光英実。
この本については、韓国で刊行された直後の2021年9月、韓国の大手書店、教保文庫のオンラインページにあった紹介文、目次、抜粋を、当ブログで翻訳・紹介したことがあります。
赤い水曜日
ところが、当該ページをもう一度見ようとしたら、「販売終了になりました」というメッセージが出てきました。
2021年8月に出た本が、もう販売終了?
不思議に思っていろいろ調べたら、どうもこの本は発禁(発売禁止)になったらしいのです。
本書で一章を設けて厳しく批判した保坂祐二世宗大学待遇教授が、当該部分について裁判所に名誉棄損、出版・販売禁止の仮処分を申請し、それが一部認められた、という記事が見つかりました。
保坂祐二氏は、韓国に帰化した元日本人で、「竹島(韓国名独島)は韓国領だ」とか、「日本政府、日本軍、朝鮮総督府が朝鮮人慰安婦を強制連行した」など、日韓で論争が続いている問題について、常に韓国側に立った発言をすることで知られています。
2022年1月26日付「メディア・ウォッチ」
裁判所、保坂祐二教授『赤い水曜日』の出版・販売禁止仮処分申請を一部認める
保坂教授が著者・出版社を相手どって起こした訴訟で5つの争点のうち3つで被申請人勝訴
保坂祐二世宗大学待遇教授が「日本軍慰安婦」問題の総合的分析を試みた『30年間の慰安婦歪曲-赤い水曜日』の著者金炳憲(キム・ビョンホン)国史教科書研究所所長(市民団体慰安婦法廃止国民行動代表)と出版社を相手どって出した仮処分申請を、裁判所が一部認めた。
ソウル中央地方裁判所民事合議50部(部長ソン・キョングン、シン・イルス、ウォン・ドヨン)は26日、保坂教授が金所長と出版社を相手どって出した出版禁止仮処分申請の一部を認めた。
これに先立って保坂教授は、金所長の著書『赤い水曜日』第12章の中には、
①「「保坂は慰安婦問題の歴史的真実を研究するため、相当な資料に基づいて数十年にわたり研究してきた学界の権威者」という主張をしたが、保坂は2018年頃から「日本軍慰安婦」関連の資料調査を開始したと判断される」、
②「今まで保坂が「日本軍慰安婦」問題に関する国際的学術誌に発表した論文があるかどうかは確認できない」、
③「保坂は「日本軍と雇用契約を結べば公娼で、抱主と雇用契約を結べば私娼」だと言った」、
④「保坂はいわゆる「日本軍慰安婦被害者」は、もっぱら「朝鮮女性をはじめとする被支配民族」と断じ、日本軍による日本軍慰安婦強制連行被害者を日本女性を除いた被支配民族女性に限定した」、
⑤「「日本軍慰安婦の収入は月1500円という話はどこにもない」と言った保坂は、そのような事実があるかどうかすら知らなかったことが明らかだ」
など、自身に関する虚偽事実が含まれているとし、『赤い水曜日』の出版および販売の禁止を求める仮処分申請を裁判所に出した。
これに対して裁判部は「申請人は日本軍慰安婦制度が公娼制ではなく、通常の形態の私娼とは別のものであることをはっきりと持続的に主張してきており、日本女性もまた強制連行された事実があることを明確にした」という趣旨で、③と④についてのみ保坂教授の主張を受け入れ、残りについては被申請人(著者及び出版社)の意見表明ないし客観的状況が記載された部分とみて、棄却する決定をした。
ただし裁判部は、被申請人が『赤い水曜日』と同じような内容の本を出版したり、書店で市販されている『赤い水曜日』の全量を、直ちに回収・廃棄すること、特に本書の第12章を、いかなる方法であれ広報したり、再版・出版・配布を禁止してほしいという保坂教授の間接強制要求は認めなかった。
この本については、韓国で刊行された直後の2021年9月、韓国の大手書店、教保文庫のオンラインページにあった紹介文、目次、抜粋を、当ブログで翻訳・紹介したことがあります。
赤い水曜日
ところが、当該ページをもう一度見ようとしたら、「販売終了になりました」というメッセージが出てきました。
2021年8月に出た本が、もう販売終了?
不思議に思っていろいろ調べたら、どうもこの本は発禁(発売禁止)になったらしいのです。
本書で一章を設けて厳しく批判した保坂祐二世宗大学待遇教授が、当該部分について裁判所に名誉棄損、出版・販売禁止の仮処分を申請し、それが一部認められた、という記事が見つかりました。
保坂祐二氏は、韓国に帰化した元日本人で、「竹島(韓国名独島)は韓国領だ」とか、「日本政府、日本軍、朝鮮総督府が朝鮮人慰安婦を強制連行した」など、日韓で論争が続いている問題について、常に韓国側に立った発言をすることで知られています。
2022年1月26日付「メディア・ウォッチ」
裁判所、保坂祐二教授『赤い水曜日』の出版・販売禁止仮処分申請を一部認める
保坂教授が著者・出版社を相手どって起こした訴訟で5つの争点のうち3つで被申請人勝訴
保坂祐二世宗大学待遇教授が「日本軍慰安婦」問題の総合的分析を試みた『30年間の慰安婦歪曲-赤い水曜日』の著者金炳憲(キム・ビョンホン)国史教科書研究所所長(市民団体慰安婦法廃止国民行動代表)と出版社を相手どって出した仮処分申請を、裁判所が一部認めた。
ソウル中央地方裁判所民事合議50部(部長ソン・キョングン、シン・イルス、ウォン・ドヨン)は26日、保坂教授が金所長と出版社を相手どって出した出版禁止仮処分申請の一部を認めた。
これに先立って保坂教授は、金所長の著書『赤い水曜日』第12章の中には、
①「「保坂は慰安婦問題の歴史的真実を研究するため、相当な資料に基づいて数十年にわたり研究してきた学界の権威者」という主張をしたが、保坂は2018年頃から「日本軍慰安婦」関連の資料調査を開始したと判断される」、
②「今まで保坂が「日本軍慰安婦」問題に関する国際的学術誌に発表した論文があるかどうかは確認できない」、
③「保坂は「日本軍と雇用契約を結べば公娼で、抱主と雇用契約を結べば私娼」だと言った」、
④「保坂はいわゆる「日本軍慰安婦被害者」は、もっぱら「朝鮮女性をはじめとする被支配民族」と断じ、日本軍による日本軍慰安婦強制連行被害者を日本女性を除いた被支配民族女性に限定した」、
⑤「「日本軍慰安婦の収入は月1500円という話はどこにもない」と言った保坂は、そのような事実があるかどうかすら知らなかったことが明らかだ」
など、自身に関する虚偽事実が含まれているとし、『赤い水曜日』の出版および販売の禁止を求める仮処分申請を裁判所に出した。
これに対して裁判部は「申請人は日本軍慰安婦制度が公娼制ではなく、通常の形態の私娼とは別のものであることをはっきりと持続的に主張してきており、日本女性もまた強制連行された事実があることを明確にした」という趣旨で、③と④についてのみ保坂教授の主張を受け入れ、残りについては被申請人(著者及び出版社)の意見表明ないし客観的状況が記載された部分とみて、棄却する決定をした。
ただし裁判部は、被申請人が『赤い水曜日』と同じような内容の本を出版したり、書店で市販されている『赤い水曜日』の全量を、直ちに回収・廃棄すること、特に本書の第12章を、いかなる方法であれ広報したり、再版・出版・配布を禁止してほしいという保坂教授の間接強制要求は認めなかった。
この決定により、『赤い水曜日』の韓国語版は、書店で販売できなくなったようです。
じゃあ、なんで日本語翻訳版の発売が可能なのか?
ためしに日本語版と先の新聞記事を対照してみると、裁判所が保坂氏の主張を認めたという③と④の、
「保坂は「日本軍と雇用契約を結べば公娼で、抱主と雇用契約を結べば私娼」だと言った」(③)
「保坂はいわゆる「日本軍慰安婦被害者」は、もっぱら「朝鮮女性をはじめとする被支配民族」と断じ、日本軍による日本軍慰安婦強制連行被害者を日本女性を除いた被支配民族女性に限定した」(④)
という文言は、日本語版からは削除されているようです。
本書の内容を一言でいえば、「元慰安婦の証言は「嘘」だらけ」ということで、日本ではすでに指摘されている事実です。
本当は、韓国の人たちにこそ読んでほしい内容なのに、上のような理由で発禁になり、韓国人が読めなくなってしまったというのが、実に残念です。
〈参考〉
柳錫春の発展社会学講義~『赤い水曜日』
じゃあ、なんで日本語翻訳版の発売が可能なのか?
ためしに日本語版と先の新聞記事を対照してみると、裁判所が保坂氏の主張を認めたという③と④の、
「保坂は「日本軍と雇用契約を結べば公娼で、抱主と雇用契約を結べば私娼」だと言った」(③)
「保坂はいわゆる「日本軍慰安婦被害者」は、もっぱら「朝鮮女性をはじめとする被支配民族」と断じ、日本軍による日本軍慰安婦強制連行被害者を日本女性を除いた被支配民族女性に限定した」(④)
という文言は、日本語版からは削除されているようです。
本書の内容を一言でいえば、「元慰安婦の証言は「嘘」だらけ」ということで、日本ではすでに指摘されている事実です。
本当は、韓国の人たちにこそ読んでほしい内容なのに、上のような理由で発禁になり、韓国人が読めなくなってしまったというのが、実に残念です。
〈参考〉
柳錫春の発展社会学講義~『赤い水曜日』
漢字表記が金光英美X→英実○、
韓国読みヨンシルとなります。
早速訂正します。