犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

バンコク便り~あん

2016-02-22 23:10:14 | バンコク便り

 タイ出張です。

 朝、家を出るのが少し遅くなり、思っていたよりも1本遅い「はるか」に乗りました。

 関西空港に着いたのは、出発の1時間半前。

 タイ空港の搭乗手続の列はそれほど長くありませんでした。ところが保安検査が大混雑。出発ロビーにうねうねと長い列が伸びています。並んでいるのは日本人より外国人のほうが多い。春節が終わったというのに…。

 出国審査を抜けたのは、なんと出発の10分前。私が乗る便のプラカードをもった係員が待ち構えています。

「急いでください。もうすぐ出発です」

 免税店でたばこを買うこともできず、出発直前の飛行機に走り込みました。

 関西空港の場合、2時間以上前に空港にいくのが安全のようです。

 6時間の空の旅、本を読んだり映画を見たりしてすごします。

 最初に見た映画が「トムヤムクン2」。タイのアクション映画です。

 第一作は、10年くらい前にタイに出張したときに現地でDVDを買い、韓国で見た記憶があります。その第二作。字幕は英語のうえ、字がとても小さいので、途中で文字を追うのをやめました。アクションものですから、意味がわからなくてもだいたいのストーリーはわかります。第一作同様、楽しめました。

 2本目は、「あん」という邦画。昨年公開された作品のようです。

 どら焼屋に、おばあさん(樹木希林)がやってきて、アルバイトとして雇ってくれという。主人は断るが、二度目に来たときにおばあさんがもってきたあんこが絶品で、雇うことにする。おばあさんは、あん作り50年のベテラン。あんの味がかわって、店は大繁盛。ところが、ある噂が広がって、客足はぱったりととだえる…。

 実はおばあさんはハンセン病(癩病)で、ながらく施設に閉じ込められ、施設内でお菓子作りをしていた。施設の外への外出が許可されるようになって、どら焼屋を訪れたのだった…。

 おばあさんが店をやめたあと、店の主人が施設を訪れる場面があります。施設の名前は「全生園」。これを見たとき、20年以上前のことが思い出されました。

 実は、私が20代のときに勤めていた会社にソフトボール部があって、一年に一回、業界の健保主催の大会がありました。その会場になっていたのが全生園のグラウンド。当時は、全生園が結核患者の施設だと思っていたのですが、ハンセン病の施設だったのですね。

 映画の登場人物は少なくて、どら焼屋の主人と、客としてよく来る女子中学生。それにおばあさんの3人が主要登場人物。主人は過去に傷害事件を起こして刑務所に入っていたことがある。出所後、義理のある人からどら焼屋を任され、甘い物が嫌いなのに、仕方なく店をやっている。中学生は学校で孤立し、高校進学の気もなく、友だちは一羽のカナリヤだけ。

 やがておばあさんは亡くなり、施設を訪れた二人は、おばあさんの書いた手紙を読む。そして元気をもらい、前向きに生きていこうと心に決める…、というようなストーリーです。

 癩病患者に対する社会的差別という思いテーマを扱いながら、さわやかに仕上がっている佳作でした。

 私
は、映画はほとんど飛行機の中でしか見ないのですが、いい作品に当たることが多いです。


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