犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

色の名前

2010-12-01 23:25:09 | 言葉
 最近読んだ『ことばと思考』(今井むつみ,岩波新書)によると,言語によって色の数はずいぶん違うということです。

 日本語は,基本的な色として,11色を区別しているとのこと。しかし,11色を区別する言語は日本語や英語など少数派で,ある研究では世界の119言語を分析した結果,10色以上が11言語,9~10色が8言語,8~9色が6言語,7~8色が14言語,6~7色が34言語,4~6が26言語,3~4が24言語,そしてパプアニューギニアのダニ族の言語では,なんと2色しか色の名前がないというから驚きです。

 本には,日本人が区別する11色が何色なのか書いてありませんでしたが,ネットで調べてみると,

白 黒 赤 青 黄 緑 灰色 茶色 桃色(ピンク) 橙色(オレンジ色) 紫 

らしい。

 このうち灰色,茶色,桃色,橙色は,色の名前ではない別の言葉に「色」をつけて表現した言葉ですね。すべて漢字表記されているけれど,音読みは「灰色」のみ。あとは大和言葉です。

 ところで,韓国語は,日本人が緑で一括している色を,チョロクセクとヨンドゥセクという別の色として認識しているんだそうです。

 韓国語の色の名前を見てみると,固有語系と漢語系があるようです。

 白,黒,赤,青,黄,紫は固有語。

 灰色は日本語と同じ「灰色」でこれを韓国音読みして「フェセク」,茶色は「褐色(カルセク)」,緑は「草緑色(チョロクセク)」と「軟豆色(ヨンドゥセク)」,ピンクは「粉紅色(プノンセク)」,橙色は「朱黄色(チュファンセク)」と,漢語が多い。

参考にタイ語は

スィーカーオ(白)
スィーダム(黒)
スィーデーン(赤)
スィーナムグゥン(青)
スィールアン(黄色)
スィーキィアオ(緑)
スィームゥアン(紫)
スィーチョンプー(ピンク)
スィーナムターン(茶色)
スィータウ(灰色)
スィーソム(橙色)

 共通についているスィーは「色」。タイ語は修飾語が語の後ろにくるので,日本語とは逆になります。

 このうち,灰色はそのまま「灰の色」,オレンジ色も「オレンジの色」。ピンクはチョンプーという果物があるのですが,別にピンク色ではないし,スペルも微妙に違うので,関係ないかもしれません。青が「水銀の色」というのは??です。

 面白いのが茶色。これは直訳すると砂糖の色。ブラウンシュガーの色ですね。日本だと砂糖は白いイメージがありますが,昔は精製されていない茶色の砂糖が普通だったんでしょう。

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