国際交流基金は、6月30日、「2018年度 海外日本語教育機関調査」を発表しました(リンク)。
同じ調査結果について、昨年10月に速報値がプレスリリースされましたが、その8か月後にやっと調査の詳細が公表されたわけです。2018年度の調査が2020年に発表されるというのは、時間がかかりすぎていると思いますが、新型コロナの影響で予定より遅れたのかもしれません。
当ブログでは、昨年12月に紹介したことがあります(リンク)が、あらためて各国の人口10万人あたりの日本語学習者数をかかげます。
同じ調査結果について、昨年10月に速報値がプレスリリースされましたが、その8か月後にやっと調査の詳細が公表されたわけです。2018年度の調査が2020年に発表されるというのは、時間がかかりすぎていると思いますが、新型コロナの影響で予定より遅れたのかもしれません。
当ブログでは、昨年12月に紹介したことがあります(リンク)が、あらためて各国の人口10万人あたりの日本語学習者数をかかげます。
国 | 10万人当 | 順位 |
オーストラリア | 1708 | 1 |
韓国 | 1041 | 2 |
台湾 | 721 | 3 |
シンガポール | 326 | 4 |
インドネシア | 299 | 5 |
タイ | 280 | 6 |
ベトナム | 203 | 7 |
マレーシア | 139 | 8 |
中国 | 75 | 9 |
ミャンマー | 69 | 10 |
米国 | 54 | 11 |
フィリピン | 51 | 12 |
フランス | 38 | 13 |
英国 | 32 | 14 |
ネパール | 20 | 15 |
ブラジル | 14 | 16 |
1位から5位は、オーストラリア、韓国、台湾、シンガポール、インドネシアです。
調査には、教育機関別の生徒数も載っています。
教育機関は、初等教育(小学校)、中等教育(中学校、高校)、高等教育(大学)、学校外(日本語学校)に分けられています。
10万人当たりの学習者数が多い5か国について、内訳を見ると、1位のオーストラリアは、初等教育がもっとも多く、64%。
以下、
韓国:中等教育(77%)
台湾:高等教育(41%)
シンガポール:学校外(52%)
インドネシア:中等教育(92%)
となっていて、どのような教育段階で日本語を学んでいるかは、国によって異なります。
日本語学校(学校外)で学ぶ生徒の比率が高い国を見てみると、こんな感じ。
国 | 順位 | 比率 |
ネパール | 1 | 96% |
ミャンマー | 2 | 95% |
ベトナム | 3 | 66% |
ブラジル | 4 | 62% |
シンガポール | 5 | 52% |
フィリピン | 6 | 49% |
上位6位のうち、東南アジアが5か国。
教育機関数を2015年と比較すると、ベトナム273%増、ミャンマー211%増、フィリピン50%増、ネパール19%増、ブラジル8%増、シンガポール36%減。ベトナム、ミャンマーは日本語学校設立ラッシュです。
一方、ネパールとベトナムは、近年、日本への留学生が急増しています。ただ、この2か国からの留学生は、本当の目的は日本語の学習ではなく、就労と言われています。留学ビザをもらえば、週28時間のアルバイトができるのです。
現地には悪質な斡旋業者がいて、「日本に留学すればアルバイトで月20万から30万円稼げる」などと言って勧誘し、それを信じて100万円以上の借金をして来日する留学生が多いのだということです。
留学生たちは、借金を返すため、法律で認められてる週28時間という制限を越えていくつものアルバイトを掛け持ち、学校では授業中に寝ているので、日本語力は上がらない。日本語力が上がらなければ、時給のよい仕事に就けないし、上級学校(専門学校、大学)にも進めない。
一方、日本の専門学校、大学は、少子化のあおりで生徒集めに苦労している。そこで日本語学校と結託して、日本語のできない学生も受け入れ、留学生から授業料を受け取ることで延命している。留学生は、専門学校や大学での授業には出ず(出ても日本語力がないので授業についていけない)、アルバイトに精を出す…。
悪循環ですね。
こうして、現地斡旋業者、日本の一部の日本語学校、専門学校、大学がよってたかって留学生を食い物にしているのです。
また、よく聞くのは、日本語学校の日本語教師の待遇が悪いということ。教師の3分の2が非常勤講師で、平均時給は2000円に満たないそうです。
儲けているのは経営者。政府の「留学生30万人計画」を追い風に、日本語学校は急増しましたが、経営者には中国人や韓国人も多いというから複雑です。
ただ、ネパールやべとナムの場合、現地で聞かされる誘い文句がが嘘だということが、SNSなどを通じて現地にも伝わるようになったので、このようなケースは少なくなっていくでしょう。
今、新型コロナが日本語学校を直撃しています。良心的な経営を行っている学校にとっては気の毒なことですが、留学生を食い物にしている悪徳学校は、これを機に淘汰されてほしいです。
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