いろいろ調べていたところ、
「放送大学を卒業・修了された同窓会会員の皆様へのアンケート調査結果2010.03」というものを見つけた!
全96ページの大作である。調査サンプル数は3,465件であり、とても個人ではできない調査である。アンケートに答えた学部生の35%が60歳代というのも凄いが、60歳から80歳以上までで6割を超ええしまうのも放送大学ならではだろう。
性別でいうと、学部生が男性42.1%に対し、大学院生は男性68.4%と逆転する。院生修了者は男性が多いということとなる。
学部生は「退職者」が最も多く、大学院生は「教員」が一番多い。
入学した動機について、学部生・大学院生ともに、「教養を高めるため・生涯学習のため」と答えたものが多いが、これはひとつにまとめていい質問だろうか?「教養を高めるため」と「生涯学習のため」に分別すべきではないか?私個人的にはそう思えて仕方がない。
例えば、内閣府政府広報室が発表した「生涯学習に関する世論調査(H17年)」だと『生涯学習をしている理由』として「趣味を豊かにするため」「他の人との親睦を深めたり、友人を得るため」「健康・体力づくりのため」「自由時間を有効に活用するため」
「教養を高めるため」「興味があったため」「老後の人生を有意義にするため」「家庭・日常生活や地域をよりよくするため」
「現在の仕事や将来の就職・転職に役立てるため」「高度な知識を身につけるため」「社会の進歩に遅れないよう、世の中のことを知るため」「その他」「特に理由はない、わからない」となっている。
すなわち、その他のアンケート項目である「職場でのキャリアアップのため」「再学習(学び直し)のため」「友人作りのため」も生涯学習なのである。一方的に「教養を高めるため」とごっちゃにされるのはありえんだろう。特に「再学習のため」って、それこそ「生涯学習」じゃないのか?
グレーな「教養を高めるため・生涯学習のため」を除けば、ダントツに「学位取得のため」が多い。やはり、学位は学びのモチベーションとして非常に魅力的であり、効果的なのであろう。
卒業・修了して進学等につながった方も多い。学部生の、なんと、11.9%が「大学院への進学に繋がった」と答えている!大学院生に至っては31.6%が「大学院への進学に繋がった」と答えている。もし、学部生の回答に「大学院の科目履修生が含まれず」、大学院生の回答に「既に修了した放送大学大学院が含まれてない」とすれば、これは、驚きの調査結果といえる。なんせ、放送大学の学部卒業生の1割が修士課程に進学し、大学院修了者の3割が博士課程に進学するのだから。直感的に、何かがおかしいと感じている。
メリットの有無について、大学院生は100%メリットがあったそうです(笑)
にもかかわらず、「周囲の人からの評価は低かった」と思う人が2人(1.7%)、「周囲の人は、特に関心がなかった」と思う人が28人(23.9%)いたようです・・・
加えて、「伝統ある大学と比較した際の周囲の社会的評価」については、53.0%に上る62人が「社会的評価は低いと感じている」そうです。
本当に、100%の大学院生にメリットがあったといえるのだろうか・・・無論、これも質問のトリック。メリットの有無を図る質問に、一般的なカルチャースクールでも得られる程度の満足度でも「メリットあり」となるキラークエスチョンを入れてしまった。
質問自体「自分へのメリット」とされ、内容は「教養を高めることができ、さらなる学習へと繋がった」という、どんなセミナー、講習会、カルチャースクール、茶話会、勉強会であろうと、自分の投下した時間やお金を「無駄だった」と認めたくないがために、○してしまうチェック項目。
本当なら「放送大学大学院を修了して得ることのできたメリットを具体的に記入ください」として、空欄なら「メリットなし」とすべきであろう。
とはいえ、これだけの調査はそうそうないものなので、貴重なデータというべきであろう。