あっという間にもう6月、1年の半分が過ぎそうな勢いですね・・・(汗)
5月は、当たり(好みにハマる本)が多かった印象です。
5月の読書メーター
読んだ本の数:25冊
読んだページ数:3354ページ
ナイス数:250ナイス
永遠の詩 (全8巻)1 金子みすゞ
★4 このシリーズの詩集2冊目。金子みすゞの名前は、「こだまでしょうか」で広まる前から知ってはいたけど、ちゃんと読んだことはなかった。テレビで「大漁」を紹介してたのを見て、目から鱗の驚きを覚えて、興味が出た。 作品はどれも、言葉がきれいで優しくて、「大漁」と同じ、誰も気に留めない小さな存在への共感や慈しみに満ちている。「自分」と「世界」の対比ではなく、全てが同列で、フラットな視点。まさに「みんな違って、みんないい」。でも説教くさくない。本当に彼女にとって世界は、こう見えていただけのことなんだろうな。
好きな作品メモ→
【大漁】朝焼小焼だ 大漁だ。 大羽鰮の 大漁だ。 浜はまつりの ようだけど 海のなかでは 何万の 鰮のとむらい するだろう。
【木】お花が散って 実が熟れて、 その実が落ちて 葉が落ちて、 それから芽が出て 花が咲く。 そうして何べん まわったら、 この木は御用が すむかしら。
【蜂と神さま】蜂はお花のなかに、 お花はお庭のなかに、 お庭は土塀のなかに、 土塀は町のなかに、 町は日本のなかに、 日本は世界のなかに、 世界は神さまのなかに。 そうして、そうして、神さまは、 小ちゃな蜂のなかに。
【浜の石】(略) 浜辺の石は偉い石、 皆して海をかかえてる。
【薔薇の根】はじめて咲いた薔薇は、 紅い大きな薔薇だ。 土のなかで根がおもう。 「うれしいな、 うれしいな。」 (略) 三年めにゃ、七つ、 紅い大きな薔薇だ。 土のなかで根がおもう。 「はじめの花は なぜ咲かぬ。」
【さびしいとき】(略) 私がさびしいときに、 仏さまはさびしいの。
【積もった雪】上の雪 さむかろな。 つめたい月がさしていて。 下の雪 おもかろな。 何百人ものせていて。 中の雪 さみしかろな。 空も地面もみえないで。
【鶴】お宮の池の 丹頂の鶴よ。 おまえが見れば、 世界じゅうのものは、 何もかも、網の目が ついていよう。(略)
**思いもよらないものに心を寄せて、同じ視点になって気持ちを語る。イワシから見たら、木の根から見たら、積もった雪から見たら、檻のなかの鶴から見たら…? 金子みすゞって凄い。
読了日:05月02日 著者:金子 みすゞ
先生、モモンガの風呂に入ってください!: 鳥取環境大学の森の人間動物行動学
★4 「はじめに」からもう。「先生、要りますか」と、でっかいカミキリムシや蛇を、臆することなく捕まえては(蛇は腕に巻いて!)持ち込む学生達。楽しそうな学校だな(笑)。私が学生なら、ここに入学したいなぁ。でも蛇はともかく虫がダメだから、無理かな(^-^;)
本編は、「忽然と姿を消した幻のカエル」(コウモリの冬眠調査で出会った様々な洞窟の生き物について)、「イワガニはなぜ頻繁に脱皮するのか」(磯の動物を調べる授業にて)、「ヒキガエルのオタマジャクシを食べる芦津のアカハライモリ」(山で暮らすイモリの生態)、「下から私をにらみつけた母モモンガの話」、「先生、モモンガの里に「ももんがの湯」ができました!」、「ほーっ、これがモモンガですか!」(芦津の森のモモンガ研究と、モモンガをシンボルにした地域活性化&森の保全活動)。
後半のモモンガ関係では、学生だけじゃなく、地域住民ともタッグを組んで、森の環境保全に取り組む研究まで! 可愛いモモンガの住む森、素敵だなぁ。「モモンガの森の水」はいいと思います! 木彫りのモモンガも可愛い!
読了日:05月03日 著者:小林 朋道
妖怪アパートの幽雅な人々 妖アパミニガイド (YA!ENTERTAINMENT)
★3.5 返却期限ギリギリセーフ。薄くてイラストが多くて文章少なめだから、すぐ読めて良かった(笑)。妖アパを一通り読んでる人向け、ファンブックって感じ。未読の方は、ネタバレあるので要注意かと。 アパート内部の見取り図や立体再現、各キャラ設定や夕士による人物評、本編後の様子など。妖アパを出た人や居着いた人etc.…、後日談が、喜ばしかったり、ちょっとしんみりしたり。シリーズのファンなら、軽い延長戦って感じで楽しめる。
読了日:05月04日 著者:香月 日輪
Happy Box
★4 名前に「幸」の字を持つ作家5人による、「幸せ」をテーマにしたアンソロジー。伊坂さん目当てで読んだけど、他もなかなかだった。
【Weather/伊坂幸太郎】大友の友人・清水は、女性関係が派手だったが、ついに結婚することに。他の女性の影を疑う新婦から、披露宴までの間スパイを頼まれた大友は…。**爽やかな小品。伊坂さんにしては分かりやすい展開だったかも。
【天使/山本幸久】掏摸師として生きてきた77歳の福子。ショッピングモールで、親子連れから逆に掏られそうになり…。**福子のキャラが痛快。希望は残る。
【ふりだしにすすむ/中山智幸】「ぼくね、きみの生まれ変わり」。カフェで一人、「ついてない」と凹んでいたりりこに、満面の笑みで話し掛けてきた老人は…。**老人がかわいらしい。好きな話。
【ハッピーエンドの掟/真梨幸子】昭和46年、アイコはホステスの母と二人暮らし。小さなボロアパートだけど、部屋の中は、カラーテレビなどの贅沢品でいっぱい。ママと二人、今の暮らしが好きだけど…。**ラスト、そう来るか。
【幸せな死神/小路幸也】バーのカウンターで隣に座ったイケメンは、自分は「死神」だと言い…。**『死神の精度』の伊坂さんに、あえてぶつけるチャレンジ! どうしても伊坂さんの死神と比べてしまったけど、この死神もなかなかどうして!素敵だった。
【ちょっとネタバレ?辛口感想】後味の悪いのを入れるのは、どうなんだろう? 本のタイトルから、ハッピーエンドを連想しちゃうので、ラストにブラックな展開を持って来られると、ちょっと裏切られた感はある。「幸せ」というテーマをどう料理するかは人それぞれだと思うし、そこに異論はないんだけど…。他のアンソロジーなら全く気にならない面白い展開だったし。「Happy」を全面に主張するこの本にあえてブラック入れる必要があったのかな、という気がした。
読了日:05月09日 著者:伊坂 幸太郎,小路 幸也,山本 幸久,真梨 幸子,中山 智幸
高原のフーダニット
★4 火村シリーズ新刊。中編2本と、漱石の『夢十夜』に倣ったショートショート『ミステリ夢十夜』。
【オノコロ島ラプソディ】金貸しをしていた男が殺された。有力な容疑者2人にはアリバイがある。片や証言者が元刑事、片やその日知り合ったばかりの利害関係のない男とドライブ。いずれも若干の空白の時間があるが、犯行現場まで行くのは不可能…。**ご本人も書いている通り、ふざけたミステリ(笑)。ドタバタを狙ったけど、羽目を外しきれなかったそう。バカミスっぽくなっちゃってるけど、それまでの有栖の単独行動での道程は楽しい。
【ミステリ夢十夜】「こんな夢を見た」で始まる、有栖の見た夢10本。コンパクトな謎解きや、シュール寄りや。火村や刑事達お馴染みのメンバーが、夢ならではの荒唐無稽な状況で行動していて、面白かった。
【高原のフーダニット】火村のもとに、以前事件で関わった双子の兄から電話がかかる。「弟を殺してしまった」「明日には自首する」…。翌日、警察から事件の一報が。その話は驚くものだった。**王道の犯人探し。火村が真相に至る場面と、後の行動が唐突な気がした。犯人は推測できてたけど、被害者の行動が説明できなかったってこと?
読了日:05月10日 著者:有栖川 有栖
アタシがマツコ・デラックス!
★3.5 マツコさんの文章が読んでみたいと思って、図書館ですぐ借りられたのがこれだけだった。約11年前とあって、とんがった所がある文章だけど、自虐と小気味よい毒がミックスされてて、嫌じゃなかった。エッセイが好きで色々読んでるけど、著者によっては、考え方が合わないと、「それはおかしいだろ?」と反感を覚えることもある。マツコさんの文章は、「そういう考え方もあるかもね」と受け入れやすい感じ。最近の本も読んでみたいな。 ところでこの頃のマツコさんの写真、たまにカンニング竹山さんの女装に見えます(笑)。
読了日:05月10日 著者:マツコデラックス
ねこのごんごん (こどものともコレクション2009)
★4 昔読んだ絵本、図書館で発見!《お腹を空かせ、ある家に迷い込んだ子猫。先住猫のちょんに、ごんごんと名付けて貰い、その家で飼われることに。ちょんに猫の心得を教わりながら、成長していく…》
ごんごんが何か失敗する度、それはこうするんだと説明し、「何ごとも自分で覚えるが肝心、わかったか」と教えを説くちょん。 最初から説明せず、実体験を通じて覚えていく方が、身につくんだよね。(*^^*) ちょんが素晴らしい先生っぷり。分からないことに出くわしても、ちょんから教わったスピリットで乗り越えるごんごん。素敵だなぁ。
読了日:05月12日 著者:大道 あや
アライバル
★5 言葉のない絵本(イラストで語られる小説=“グラフィック・ノヴェル”)。 サイレント映画を1本観終わったような、深く温かい余韻に浸った。 「移民」をテーマにしていて、人物は実在するようなリアルさだけど、彼等を取り巻く世界は非現実的で、恐ろしい怪物や奇妙な生き物でいっぱい。この世界観が素敵過ぎる。何故か一人に一匹、変な生き物が一緒に付き添ってる(いない人もいる?)のも好き。愛おしくなってくる。沢山の雲のコマだけで、長い時間の経過を思わせたり、表現もいちいち上手くて心憎い。持て囃されてるのも納得でした。
読了日:05月13日 著者:ショーン・タン
煩悩短編小説
★3.5 108字×108篇の、超ショートショート集。右ページはせきしろ、左ページはバッファロー吾郎A(木村)の作品。愚にもつかない話ばかりだけど、クスリと笑ったり、ちょっといい話的なオチだったり、気楽に楽しめた。布団の中で、眠くなるまで読むのにピッタリ。どのページで止めても大丈夫。軽いショートショートが好きならオススメ。
読了日:05月15日 著者:せきしろ,バッファロー吾郎A
みすゞさんぽ―金子みすゞ詩集
★4 先に読んだ『永遠の詩』と被ってる作品は別にして、お初の作品では、「雀のかあさん」と「みんなを好きに」が好き。特に雀のは泣きそうになった。世の中のありとあらゆるものに向けられた、優しい眼差し。「何といういたわりと友愛!」(ナウシカの大婆様のセリフ…f^^;)。みんなにこんな風なものの見方ができたら、世界は平和なのになぁ。 三瓶さんの粘土細工もかわいかった。
お気に入りメモ→
【雀のかあさん】子供が子雀つかまえた。 その子のかあさん笑ってた。 雀のかあさんそれみてた。 お屋根で鳴かずにそれ見てた。
【みんなを好きに】私は好きになりたいな、何でもかんでもみいんな。 葱も、トマトも、おさかなも、残らず好きになりたいな。 うちのおかずは、みいんな、母さまがおつくりなったもの。 私は好きになりたいな、誰でもかれでもみいんな。 お医者さんでも、烏でも、残らず好きになりたいな。 世界のものはみィんな、神さまがおつくりになったもの。
読了日:05月15日 著者:金子 みすゞ,三瓶 李恵
今更ながらの、金子みすゞリスペクトです(笑)。
詩には苦手意識があったのですが、みすゞさんの詩は、言葉が易しくて、スッと頭に入ってくる感じでした。
久々の★5つが出ました! 『アライバル』
言葉が一切無いので、絵を見てじっくりとストーリーを追います。
本当に、上質なサイレント映画を1本観た感じ!
これは一読の価値ありですっ!