隻眼の面は聖者
この面は、私がもっている面のうちで、一番奇妙なシロモノです。右目がつぶれている。
誰が、何のために作り、どこに保管されていたのでしょうか。
紐穴があいているので、実際に顔に付けて使われていた物でしょう。胡粉はまだ大分残っています。形や大きさからして、祭礼で使われた可能性が高い。
他の祭礼の面(先回の面)と較べてみると、その特異さがきわだちます。
何かで読んだ記憶がかすかにあります。中世の日本では、障害をもった人間は異能者であり、時には、聖者として敬われていたと。
朝鮮半島にも、そのような面を祀る風習があったそうです。
実は、私も隻眼。だから、この面には思い入れがつよい。けれども、聖者には遠くおよびません。