縮緬細工の背守り(1)
今回は、再び、かわいい小物です。
縮緬細工とは、着物に用いられるちりめんの布を使って作られた色々な細工物のことです。江戸時代後期から明治、大正にかけて、盛んに作られました。押絵にも、ちりめんを用いたものが多くみられます。
太平洋戦争を機に、縮緬細工はすたれてしまいましたが、近年、その良さが見直され、女性の間で、縮緬細工作りを楽しむ人が増えています。
故玩館には、古い縮緬細工が50点ほどあります。
そのうち、8割が背守りと思われる品です。
5~6cmの物が多く、大きくても10cm位までです。
また、後ろに紐がついていて、掛けられるようになっているのも特徴です。
上が女の子、下が男の子でしょうか。とてもかわいいですね。
このような小物は、ボール紙を芯にして、縮緬の布を組み合わせて作られている物が多いのですが、綿入れの物、芯のない物などもあります。
上の2つは、貝(ハマグリ)を母胎にした品で、平面的な物が多い縮緬細工の中では、かなり珍しい品だと思います。顔は、細筆で描かれ、頭の毛は黒糸です。作った女性の人柄がしのばれるような独特の表情がおもしろい。
こういった品は、ひとつ、またひとつと求めていくのが楽しいですね。古い着物を扱う露店の片隅に忘れたように置かれているのを見つけたらしめたものです。値段もほどほど。早い者勝ち。