ガラスの紹介も、いつのまにか30回目になりました。
わざわざブログにのせるのも憚られるようなガラス器がほとんどでしたので、30回記念にあたり少しマシな品を出します(^.^)
糸ガラスの枕屏風です。
元々の品を切ってバラバラにして(その方が儲かる)売られていた物です。が、悲しいかな、財布の関係で、そのうちの2枚しか買えませんでした。自分で蝶番を取り付けて屏風にし、ボロボロの枠をカシューで黒に塗って何とか様になりました。
木枠の上側、下側には溝がきってあるので、これに上、下一段ずつ加わっていたと思われます。したがって、元々は三段の屏風だったのでしょう。
高 19.5㎝、幅(全開) 89.3㎝。明治時代。
ガラス部の大さ:縦 10.8㎝、横 40.8㎝。
内海の風景が描かれています。
拡大すると
縦方向、横方向に、糸のように細いガラスが張ってあることが分かります。
糸ガラスの直径は、約 0.7㎜。
内側に縦方向、外側に横方向に、細いガラス棒がぎっしりと木枠に差し込まれています。縦480本、横140本程です。
当然、そのうちの何本かは折れて歯抜けになっています(^^;
絵は、外側に描いてあります。
内側から見ると、微小なガラス格子を通し、おだやかな風景が浮かび上がります。
明治になって、ガラスが一般に使えるようになり、ガラス細加工技術も向上すると、いろいろな物に応用されるようになりました。今回の屏風では、極細のガラス棒を組み合わせてキャンバスとしています。そこへ絵を描くは、日本ならではのセンスではないでしょうか。
透明な板ガラスに絵を描く、いわゆるガラス絵は、ヨーロッパや中国では昔から、日本では幕末からあります。しかし、ガラスを通して観る絵は妙になまなましく、ガラス素材を生かした意味がほとんど感じられません。
一方、今回の品では、極細格子を通して、描かれた絵がぼんやりと浮かび上がり、幽玄の世界が広がります。
故玩館の窓際、テーブルの置いてみました。ふと気が付くと、窓の下には瀬戸内の海が広がっているような錯覚を覚えます(岐阜は海なし県です^.^)