遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

生活笑百智 『萬法秘術集』(2)

2021年03月25日 | 面白古文書

『萬法秘術集』の2回目です。

  鼡をきと庭に集る法                   
かにのはさミを烟(けむり)に焼バをのすから鼡あつ
まる事妙なり    きと=急度:必ず、確かに

    鼡を確実に庭に集める方法
蟹のハサミを焼いて煙を出せば、自然と集まる事、不思議だ。

 

  大風のふくを留る法
くろ犬の皮毛を焼て灰として風に随(したが)ふて
ちらせバ風やむなり          皮毛(ひもう):皮と毛

  大風が吹くのを止める方法
黒犬の皮毛を焼いて灰にして、風にのせて散らせば風は止む。

 

  人の顔白くする法
白瓜仁五兩白揚皮弐匁桃人四兩
右の品細末して食後に一さじツゝ
喰べし十日ニして手足いろ白石の如し
奇妙なり   両:重さの単位。約38.5g、10匁
 

                人の顔を白くする方法
白瓜仁5両 白揚皮2匁 桃人4両
これらの品を粉末にして、食後に一匙ずつ
食べるべし。10日で手足の色が石のように白くなる。
不思議だ。

 

   又方
冬瓜一ツを竹へらにて皮をさり切
へきて酒壱升五合と水壱升加いて煎ほし
粉をさり又煎つめて粉となし是を
ぬるへし色白くなりつや出る事妙なり

     別法
冬瓜一つを竹のヘラで皮を剥き、切り、
薄く削って、酒1升5合と水1升を加え、煮て、粉を取り、さらに煮つめて粉にして、これを塗る。色が白くなりツヤが出る事、不思議だ。

 

 

 人の形をかくして他人にミせぬ法
青犬か白犬のきもを取て通草桂に
和し丸薬として服すれバ別姿にかくるゝ
奇妙〳〵

  人の形を隠して他人に見せない方法
青犬か白犬のキモを取って、通草桂(アケビ)を加えて丸薬にして服用すれば、別の姿になって隠れることが出来る。不思議、不思議。

 

  寒中雪中にこゝへぬ法
胡椒を二ツ割ほうろくニて能いりこがし
紙にてきのぬけぬやうにほそにあてゝ
居バ少もこゝへす   ほぞ:  臍、へそ                            

    寒中、雪の中で凍えぬ方法
胡椒を二つに割り、焙烙でよく煎り燋がし、
紙できがぬけないようにして臍に当てて
いれば、少しも凍えない。

 

  聲かれて出さるに直に出る法
大根のしぼり汁の中へ生姜を加へ
能ませてのむべし即座に聲出る也

  声がかれて出ない時にすぐに出る方法
大根のしぼり汁の中へ生姜を加え、
よく混ぜて飲むとよい。即座に声が出る。

 

 夜ル何時ニても目のあく法
手の平に指ひニて大の字を三字書
舌ニて是をなめるへし後にこの歌を

三度『うちとけて若もまとろむ
事あらは引をどろかせ我枕神』とよむへし

  夜にいつでも目があく方法
手のひらに、指で大の字を3字書き、
舌で是をなめる。そしてこの歌を3回読みなさい。
『うちとけて 若もまどろむ事あらば
       引きおどろかせ 我が枕神』

 

   石に墨の付たるを即座ニ落る法
大根を小口切ニして石にすれバ墨をちる事妙也

   石に墨が付いたのを即座に落とす方法
大根を小さく切り、石に擦れば墨が落ちる事、不思議だ。

 

   庭石に苔を付やう
牛房(ごぼう)を小口切ニして石にすり後に苔を付れバみな付なり

        庭石に苔を付ける方法 
ゴボウを小さく切って、石に擦る。その後、苔が付く。

   六月土用ニ氷を出す法
つぼに水を入口を堅くして釜に入て
湯玉の上る迄煎て取上井戸の中へ
暫く入後ニ取上てミれバ氷となるなり

    六月土用に氷を作る方法
壺に水を入れ、口を堅くして釜に入れて、
湯玉ののぼるまで煎じて取り出し、井戸の中へ
しばらくの間入れ、その後に取り上げてみれば氷となる。

 

   物の香をさる法
飴を食して即座ニさる也砂糖を
食してもよし紙をなめてもおなじ

   物の香りをなくす方法
飴を食べれば即座になくなる。砂糖を
食べても良い。紙を舐めても同じ。

 

   玉子をおどらす法
玉子に小キあなおあけ汁を出し後へ
酢を入れ暫して皮をとれバ中に白き皮
あり是をめしつふニてくものせなに
付る也

  卵を踊らす方法
卵に小さな穴をあけ、汁を出し、その後
酢を入れ、しばらくして皮をとれば、中に白い皮
がある。これを飯粒で蜘蛛の背中に
付けるのだ。

 

   ひたへのはげたるを髪はやす法
蛇の脂を求め是を髪はやそうと
思ふはばにしてうとん粉を水にてこね
右のきぬにぬりこうやくとしてはれバ
かみはへる也

 剥げた額に髪をはやす方法
蛇の油を手に入れて、これを髪をはやそうと
思う巾にしてうどん粉を水でこね、
右の絹(意味?)に塗り、膏薬として貼れば
髪が生えてくる。

 

 

 

 

 

コメント (8)
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