遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

ガラス31 球体ガラス絵

2021年03月07日 | ガラス

先回のブログで、糸ガラスを使ったガラスの枕屏風を紹介しました。

極細のガラスを組み合わせて平面とし、そこへ絵を描いた一種のガラス絵です。しかし、これはあまりにも特殊な物です。

そこで、もう少し分かりやすいガラス絵がないか探しました。

それが今回の品です。

 

木の台の上に、ガラスの球が置かれ、内部に絵が描かれています。

 

台の上で、くるくると回ります。

中華料理によくある皿と同じです。

この品も中国製です。土産物に毛が生えたほどの品でしょう。

上品さに欠けるので、当然、故玩館では日陰者あつかいです(^^;

 

高 16.0㎝。

ガラス球:径 10.2㎝、重さ 1.6㎏。

 

 

ガラスの塊ですからずしッとくる重さです。

これに穴を開け、内部はきれいな球形にくりぬいてあります。

 

そこへ、鉤型の筆で絵を描いていくわけです。

 

中国には、鼻煙壷などにもガラス絵が多くあり、こういう技法はお手のものなのでしょう。

 

ガラス絵ですから、鑑賞者の向こう側から描くことになります。

したがって、描き順は普通に描く場合の逆になります。

こちらから見て、手前にある物から描いていきます。

この絵の場合、黒色の鯉が最初に描かれ、次に緋鯉、そして茶色の鯉となります。頭がごちゃごちゃしてきますね(^^;

一般的なガラス絵は、板ガラスに描かれていますが、その場合も一緒です。

ガラス絵は乱反射がガラスで抑えられるので、キャンバス上よりも色が冴えます。その結果、妙に生々しい感じがします。この品では、それがよくわかります。上品さにかけるのもそのためです。

染色工芸家、芹沢啓介は、ガラス絵も多く手がけています。凡百のガラス絵と異なり、落ち着いた色彩の作品です。さすがですね。

 

雅味には欠けていますが、こうやって重いガラス玉を手にすると、何だか世界を手に入れた気分になります。

中華思想もこれなら平和(^.^)

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする