源氏物語盆シリーズです。
今回は、源氏物語第44帖『竹河』です。
21.3 x 21.7㎝、高 2.2㎝。明治ー戦前。
沈金技法で、和歌と水辺の竹が刻まれています。
竹川の
はし
うち
出し
ひとふしに
ふかき 底は
こころの しり
きや
「竹河の橋うち出し一節に 深きこころの底は知りきや」
源氏物語第44帖は、 髭黒関白を亡くした後の玉鬘とその子供たちをめぐるお話しです。
玉鬘の二人の娘は美しく、特に姉、大君は評判の器量良しでした。源氏の子、薫や夕霧の子、蔵人の少将は、大君に思いを寄せていました。
薫は、三男藤侍従を訪れ、玉鬘邸で、夜、酒を飲み、琴を弾き、歌を謡います。歌は、催馬楽の竹河です。蔵人の少将も一緒です。しかし、皆の注目は、薫に集まりました。
先に帰った薫は、翌日、藤侍従に手紙を届けます。そこに添えられていたのが次の和歌です。
「竹河の橋うち出し一節に 深きこころの底は知りきや」
(昨夜、竹河を謡いましたが、その一節に込められた、私の深い心の内をわかってくださったでしょうか)
手紙は藤侍従宛ですが、この歌の相手は明らかに違いますね。
私の心をわかって欲しいのは、玉鬘、それとも大君でしょうか。
源氏絵「竹河」、22.2x25.9㎝、江戸時代中期。
これは、「竹河」の源氏絵ですが、先ほどの竹河の歌よりも少し後のお話しです。薫と藤侍従が冷泉院邸を訪れた時に、庭の藤を愛でている場面です。一方、先ほどの和歌の場面に相当する源氏絵は、室内で、数人の男たちが酒盛りをしている所です。同じ帖でも、複数の源氏絵が存在します。
この絵で、川べりに竹が描かれているのは、竹河を意識しているからでしょうか。
竹河の歌の場面の源氏絵が載っている江戸の源氏物語版本もどこかにあったと思うのですが、見あたりません。いつもの事です。捜しておきます(^^;
沢山ありますと、それを探し出してくるのも大変ですね(^_^)
同じ帖の中に複数の源氏絵が登場してくるケースが多いのですか、、?
一方、絵師が描いたカラーの源氏絵もあります。古くは絵と詞とで絵巻になっていたのですが、江戸中期以降は絵だけの物がほとんどです。ブログで紹介しているのこれです。