非常に重い蒔絵の箱です。
上面に6個の細長い穴があいています。
横に把手がついています。それを引っ張ると・・・
中からいろいろなものが出てきました。
どうやらパーツのようです。
蝶のような二枚の板(右上)に、家紋が描かれた薄板(右下)を差し込むと・・・
このような物が出来上がりました。
上側に突起が4個、下側には6個出ています。
下側の6個の突起は、最初の箱の穴にピタリと嵌まりました。
残る2枚の板は、一枚は突起があり、もう一枚には溝が彫られています。
突起を差し込み、ギュッとずらすと・・
一枚の板になりました。
裏側には、4個の溝がきられています。
この板をかぶせ、溝と突起を合わせ差し込めば、
頑丈な見台のできあがり。
残ったこの木は?
見台の下に差し込み、補強して完成。
お客さんの方から見ると、こんな具合になります。
見台、51.0x31.4㎝、台部、38.7x30.0x15.7㎝、高 47.8㎝。
重さは5㎏あります。先回の組立式観世譜面台の10倍、先々回の観世正式見台の20倍もの重さです。
浄瑠璃では、この見台をそのまま舞台で使用するので、豪華な蒔絵が施されているのですね。
正面には、松竹梅。
側面は・・
松に
梅。
浄瑠璃見台には、左右に大きなタフタのような房が下がっていて、いかにもっていう感じの品が多いですが、今回の品は何もなし。ならば、能に転用してもよいでしょう。
ということで、謡曲を習い始めてから10年間程、家ではこの見台で練習をしました。
それからずっとしまいっぱなしになっていました。
今回、久しぶりのお披露目。せっかくですから、謡いをひとくさり。
『卒塔婆小町』をしみじみと。
この曲は素人が謡うようなものではありません。ベテラン能楽師が、経験と研鑽をつんだはてに上演がゆるされる、位の高い難曲です。
卒塔婆に腰を掛ける年齢になった遅生、家で秘かに、小野小町の老境に浸ってみるは赦される!?(^.^)
また、能用とか浄瑠璃用とか、用途によって違うのですね。
そして、このように豪華なものもあるんですね。
見台も、いろいろあるようですから、それらを集めても、一つのジャンルになりそうですね(^_^)
見台コレクターという人も登場してくるかもしれませんね(^-^*)
ま、ほとんど売れることはないですが、見栄えが良いですから雰囲気盛り上げのため(^^;
こんな所にも松竹梅。よほどの定番なのですね。
見台は穴場コレクションかもしれませんね。
でも、私はこれでもう打ち止めです(^.^)
テレビでも、遠目には本を置く台としか見えないけど、こんなに手をかけて作られているのですね。
横から見れば松の老木みたいな形、どこまでも手と意匠を尽くして、伝統芸能の格式を高めているのでしょうね。
テレビでも台がアップされることがないけど、カメラさんも知らないのかも、と思ってしまいました。
すべての台がこの様に美しいものではないのでしょうね。
そういう目でTV番組を見るのも面白いです。
ただ、もう造り手がいないそうですから、この先どうなってしまうのでしょうか。
伝統芸能に似つかわしい素敵な見台なんですね
工芸品の素晴らしさに興味深々です。
しかし、浄瑠璃見台についていえば、今はもう作られたおらず、もっぱら戦前までに作られた品が使われています。補充がきかないのです。この先どうなるのでしょうか。