遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

珍品!村瀬秋水、村瀬藤城『霊芝若松画織部手付四方皿』

2025年01月04日 | 文人書画

そこそこに時代のある箱です。

中に入っていたのは、織部焼の四方皿です。

 

縦 21.0㎝、横 22.5㎝、高 4.5㎝。重 1072g。幕末。

分厚い正方形の器体に耳(手)が付いています。

両隅に厚く織部釉が掛かっています。

左右の辺が歪んでいて、織部焼の作風(破調)をのぞかせています。

透明感に乏しく少し暗い緑釉は、江戸後期~明治にかけての織部焼の色調です。

鉄釉で松と霊芝が描かれています。

「秋水老人」「藤城」の銘も。

これは、美濃の文人、村瀬秋水、村瀬藤城兄弟の絵付けになる陶磁器と考えて良いでしょう(第三者が名前をかたって品を作るほどの有名人ではない(^^;)。

【村瀬藤城】(寛政三(1791)年ー嘉永六(1853)年)。儒学者、漢詩人。美濃の大庄屋(郡代)村瀬家当主。弟の秋水とともに、家業に従事。頼山陽の高弟として、全幅の信を得、山陽の死後、秘蔵されていた田能村竹田の名作『亦復一楽帖』(現、重文)を引き継いだ。他の弟、村瀬立斎は尾張藩医で、犬山藩校教授をつとめた。奇人、村瀬太乙は、従弟の子。

村瀬一族は、秋水の子、雪峡、藍水も含めて、多くの文人を輩出しています。その中で、中心となったのは、当主の藤城と弟の秋水でした。

今回の作品は、忙しい家業の合間に、二人が手すさびで作った品かも知れません。

村瀬藤城は漢詩人でしたが、秋水や太乙に較べて、残された品はわずかで、私はまだ作品を手にしたことがありません。

今回の織部皿は、その意味でも私には感慨深い品です(^.^)

 

 


コメント (8)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 故玩館ブログ、本年もよろしく | トップ | 古伊万里文字尽小皿 »
最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
酒田の人さんへ (遅生)
2025-01-06 10:05:56
陶磁器のこういう楽しみ方もあるのですね。
織部も、江戸時代後期以降は、雑器に多くありますから、気の利いた品を一つ手元に置いておくのも一興かと。
しかも、値段はお手ごろ(^.^)
返信する
遅生さんへ (酒田の人)
2025-01-05 22:45:27
これは故玩館に納まるべきクオリティの品ですよね~
織部釉の掛かった尾形乾山風とでも言うか、実に魅力的です。
いつか織部釉のかかった行燈皿を入手できればと思っています
返信する
ぽぽさんへ (遅生)
2025-01-04 19:38:13
骨董では、念ずると通ず、という諺がありますね。今回の品はその存在を知っていたわけではないので、特に念じませんでした。ところが、村瀬秋水に光をあてていた時、偶然に目の前に出てきました。ごく最近の事です。まだ半月にもなりません。不思議です。いつも貧乏神にとりつかれていますが、たまに幸福の女神が微笑むこともあるので病みつきになるのですね、骨董あそびに(^.^)
返信する
Unknown (ぽぽ)
2025-01-04 17:54:31
遅生さんへ
素晴らしい品ですね!
誰が造ったものか素性がはっきりしており時代もあるというのは、憧れます(^^)
作者の背景も知ることができると本当に面白さが倍ですね。
それにしてもよくこういったものを見つけられましたね。まさに掘り出しものではないでしょうか!?(^^)
返信する
Dr.Kさんへ (遅生)
2025-01-04 16:30:04
村瀬家は、酒造りも行っていたようです。美濃市のこの辺りは、かつて長良川の水運で栄えた所です。物流によって栄えたのですね。しかし、タダの豪商にとどまらず、文人一族として名を馳せたのはさすがだと思います。
しかし、このような品が存在するとは、思いもよりませんでした。手元に置いておけば、少し感化されるかも(^.^)
返信する
美恵子さんへ (遅生)
2025-01-04 16:23:44
時代がすっかり変わってしまいました。このような品には、今では、誰も目をとめることがないと思います。
おかげで、ビンボーコレクターにお鉢が回ってきました(^.^)
返信する
遅生さんへ (Dr.K)
2025-01-04 16:16:13
「村瀬藤城」は、美濃の大庄屋の村瀬家の当主だったのですね。また、「頼山陽の高弟として、全幅の信を得、山陽の死後、秘蔵されていた田能村竹田の名作『亦復一楽帖』を引き継いだ」人物なのですね。
『亦復一楽帖』は有名ですものね。それを引き継ぐということは、相当に信頼を得ていたという証拠ですね。
その辺の事情を知りますと、この『霊芝若松画織部手付四方皿』の貴重さが分かりますし、また、価値も高まりますね(^-^*)
返信する
Unknown (美恵子)
2025-01-04 14:19:36
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
なかなか趣のある品ですね。
その背景が分かる遅生さん凄いです。
返信する

コメントを投稿