『ヘッドフォンおじさん』
唐突だが・・
読者の皆さんはレスポール派だろうか?
それともストラト派だろうか?
両方とも好きという人は意外に少ないようだ
私の知り合いでも完全に別れているのだ
ストラトが敬遠される理由の一つにアームがあげられる
最大の武器にして最大の難関・・
特に初心者から中級者ではこの調整に苦手意識を持っている人も多い
ストラトの神であるクラプトンはベタ付きでセッティングしている
ストラトに音の揺れを求めていない
クラプトンにとってはアームレスのギターという立ち位置
クラプトンがインタビューで答えている
「ストラトの演奏性が好きなんだ」
「音はレスポールが理想だよね」
クリーム期にレスポールの盗難に遭った
その時のショックとそれを超えるレスポールに出会えなかった
という理由でレスポールを使わなくなった
これは有名な話
同時期にジミヘンがストラトを使っていたという理由で
ストラトを使い始めたのも有名な話
クラプトンのストラトには仕掛けがある
電池入りなのだ
他の人がそれを真似れば邪道と言われるが・・
神の行動に文句を言う者はいない
『極める』とはそういう事
言動そのものが正義になるのだ
この時代は伝説のエピソードや逸話が多いのだ
そこには理由や思いがある
単なる思いつきでギターを手にする人は飽きてしまう
何となくで始めた人は何となくでギターをやめてしまう
良くない流れなのだ
苦労なく廉価のギターを手に入れて、飽きて売ってしまう
ギターはもっと重厚で深淵な趣味であるべきだと考えている
簡単に始められることに異論はないが・・
何と言うか・・
もっと奥深い何かがあるように感じる
ストラトのセッティングにはコツと理屈が必要
困った事にメンテの教科書はない
それなりにメンテ系の書籍はあるが・・
読んだけでマスター出来るほどギターのメンテは甘くない
弾き難いギターもメンテの達人が弄ると一気に弾き易いギターに変わる
行きつけの楽器店でかなり良いギターを買った若いお客さんがいる
かなりのお金持ちの子息ということらしい
最初の一本にカスタムショップ製のストラトを買った
その後、頑張って練習を続けていたようだ
飽きずにギターを続けていたことは賞賛に値する
それなりの思いがあったのだと思う
困った事に持ち込まれたギターがメチャクチャなのだ
塗装が云々という話ではない
ボディーは顔が映り込むほどに磨かれていた
酷いのは状態・・
ネックは酷く反り、サドルの弦高はバラバラ、
当然ながらオクターブも合っていない
ペグに対する弦の巻き方や巻き数もバラバラ
それなりに自分で頑張ってメンテした痕が窺い知れる
何でもかんでも他力本願の人よりは100倍マシだが・・
何せアプローチが間違っているのだ
方向性は間違っていない
意欲もあるのだ
実はこういう空回り的な人は潜在的に多いという
良い演奏の前提には『良い状態』がセットになっている
私の知り合いに個性的なセッティングをしているじさんがいる
12フレットの弦高は3㎜超え!
フロントピックアップは潜るほど下げ
リアピックアップは弦に触れるほど上げている
まぁ、素人さんの趣味に決まりはないが・・
これは悪い見本なのだ
困ったことにこういう人もネットを介してブログなどを公開したりする
まぁ、それを読んで影響を受けるような人は微小だと思うが・・
宜しくない
ネットは便利な情報箱だが・・
有用な情報と誤報が入り交じっているのも事実
意識的に間違った情報を発信する人は論外として
それに気づかずに発信している人は困りもの
悪意はないのだ
私の個人的な印象としては約3割くらいが微妙な情報だと感じる
脱線してしまった・・
ストラトのアーム調整は恐れることはない
適正に調整してあるストラトのアームは狂わない
私のストラトは何度もアームを動かしても手を離す
だけで元の状態に戻る
ナットの馴染み(滑り)やペグの弦の巻き数
ボディ裏のスプリングの調整
ブリッジのエッジ部分の面取りなど
数えあげればキリがないが・・・
これらが、絶妙に合致した時に最高のバランスが生まれる
以前は音程を下げた後に意識的にアームアップをさせて
音程を意図的戻していた
そんな職人的なお約束の作業が必須だった
プロでも色々な儀式や作法を実施している人も多い
ケースへギターを入れる際にも拘る人もいる
「意図的にアームアップさせた状態でバネを休ませるの」
ギターのスプリングに金属疲労があるかは知らないが・・
アームレスのギターよりも面倒臭い部分が多いのも事実
苦労した分だけ楽しみも多い
他愛ないフレーズの末尾の音を揺らすだけでも絵になる
フロイドのギルモアも手癖のようにコードを揺らす
それだけでプログレになるのだ(笑)
リッチーブラックモアは指でのビブラートが苦手だったらしい
その代用としてアームを多用していたという
そんなハードな使い方で何本もアームを折ってしまった
そんなこんなで生まれたのが極太アームのリッチー仕様
ギターの仕様は実践から生まれているのだ
ギルモアのアーム棒は異常に短い
普通の人には使い難い
しかしながら、ギルモアのコピーをするならば必須のアイテム
単に普通のアーム棒をカットすれば良いのではない
絶妙な角度調整が成されている
そういう細かい部分が素敵なのだ
ギターのパーツやスペックについて熟考してみると楽しい
そこには必ず理由が存在する
私はクリップチューナーを多用する
演奏中にもチューニングの狂いをチェックしているのだ
アームの使用でチューニングが狂う場合、即座にメンテに入る
ナットのグリスアップやバネの調整など
考えられる部分をすべてチェックする
それでも解決しない場合には弦の劣化などを疑う
まぁ、普通の人はそこまでストイックにアームを追い込まない
結果として日本で5本の指に入るくらい
狂わないアームセットが生まれた(笑)
自画自賛だと笑う人もいると思うが・・
ギターのメンテは確信と自信なのだ
自信無さげに調整しても良いメンテは出来ない
メチャクチャな状態に疲弊している方はプロにセットアップを依頼
してみては如何だろうか?
フルコースがおすすめ
お客さんの要望を具現化できるショップはプロ
それを実践できないショップは中途半端なお店だといえる
困ったことにそういうお店もチラホラ・・
私には三人の助っ人がいる
電気のプロ、セットアップのプロ、売り買いのプロ
困りごとで相談先を変えているのだ
ギターライフは人間同士のお付き合い
私はそう考えているのだ
数十円安く買うことにあまり大きな意味を感じない
楽器には幸せを感じたい
私の知り合いに安ければ良いというおじさんがいるのだ
それはそれで間違ってはいないが・・・
一日中、暇な時間があると欲しい製品の底値チェックばかりしているという
そこから生まれるものは何だろ?
ここ最近は私は色々な事を感じ、考えているのだ
”ギターを楽しむって何だろう?”
完璧にセットアップされたアームの動きをご確認いただきたい
結局のところ、廉価のギターではこういう部分が疎かなのだ
それなりに値段が高いギターそれなりの理由がある
パーツの精度や組み込みもそんな一つ
欧米のギターには雑な部分も多いが・・
音に関する部分にだけは妥協がない
潔いほどに完璧なのだ
欧米の人にとっては塗装やケースなどは論外なのだろうか?
楽器の本質とは何か?
を教えてくれる
またしてもダラダラと長話をしてしまったが・・😋