2012年Jリーグディヴィジョン1・第34節が12月1日、全国各地で9試合行われました。既にサンフレッチェ広島のJ1初優勝が決まっておりますが、残留争い&AFCチャンピオンズリーグの出場権争いは最終節までもつれました。泣いても笑っても最終決戦、ACLの切符、残留決定、屈辱のJ2降格の行方は…?
セレッソ大阪2-2川崎フロンターレ@長居スタジアム
試合は前半17分、川崎は中村憲剛のミドルシュートが決まり1点を先制。34分には憲剛がFKを蹴るもGKにキャッチされて追加点ならず。後半に入り、セレッソは後半18分に南野拓実のクロスを横山知伸のヘディングシュートが決まり、1-1の同点に追い付きます。しかし後半39分、川崎はCKのこぼれ球を小林悠が押し込み2-1の勝ち越し。このまま試合が終わるかと思われた後半ロスタイム、右サイドの酒本憲幸のクロス→横山が右足で押し込んでゴール。セレッソが土壇場で引き分けに持ち込み、J1残留を決めました。
アルビレックス新潟4-1コンサドーレ札幌@東北電力スタジアム
新潟は前半8分、アラン・ミネイロが左サイドでロングボールを入れ、ゴール前にこぼれたボールを坪内秀介が右足シュートを決めて1点を先制すると、前半43分には右CKをブルーノ・ロペスが頭で合わせて2点目。後半8分に札幌の榊翔太に決められて1点を返されますが、後半26分にアランミネイロの豪快な右足ミドルシュートが直接決まり、札幌を突き放し、35分にはアランミネイロの折り返し→ロベスがこの試合2得点目となるヘディング弾で4点目。外国人コンビの活躍で札幌に快勝した新潟、最終戦を最高の形で勝利しました。
ヴィッセル神戸0-1サンフレッチェ広島@ホームズスタジアム神戸
神戸は前半12分に三原雅俊のシュートはGKにキャッチされ、前半19分には野沢拓也がFKを狙うも決まらず。広島は後半7分に佐藤寿人がペナルティエリア内で北本久仁衛に倒されれPKを獲得。神戸にとっては痛恨のファウル。このPKを森崎浩司がしっかり決めて広島1点先制。1点を追う神戸は後半25分に森岡亮太のシュートは広島GK・西川周作の好セーブに阻まれる。その後も同点に追い付けないまま無情のタイムアップ。大事な一戦に敗れた神戸、王者・広島の前に力尽きJ2降格決定です。
ジュビロ磐田2-1ガンバ大阪@ヤマハスタジアム
J1優勝1回、天皇杯2度の優勝を誇る「西の雄」ガンバ大阪、勝たなければ降格が決まる運命の一戦。当日はガンバの奇跡を信じるサポーターが大勢駆けつけました。サポーターのためにも絶対に負けられない戦いは、残酷な幕切れを迎えました。
試合は前半4分、磐田は駒野友一が右サイドを攻め上がり、山田大記のクロスをガンバGK・藤ヶ谷陽介がファンブル。DF・加地亮がクリアしようとするも、ゴール前に詰めた前田遼一が押し込んでゴール。ガンバ、立ち上がりから失点を喫してしまう。1点ビハインドの後半8分、倉田が右サイドからペナルティエリア内に進入。DF2人をかわし、最後は右足を振り抜いてゴール!1-1の振り出しに戻すが、残留するためにはあと1点取るしかない。
後半34分、倉田が左サイドでクロス→レアンドロが頭で合わせるもボールはバーを直撃。さらに36分、藤春廣輝のクロスを家長昭博が左足で狙うもDFに阻まれ、こぼれ球を佐々木勇人がいくもダメ。クリアボールを加地が拾ってクロス→遠藤保仁が頭で押し込んだが、オフサイドで逆転ならず。迎えた後半41分、磐田は右サイドでボールを繋ぐと、前田とのワンツーから抜け出した小林裕紀が右足シュートを決めて磐田が勝ち越し。この1点が決勝点となり、磐田が勝利。敗れたガンバ、初のJ2降格が決まりました。
J1残留争いは、アルビレックス新潟が圧勝で勝ち点40に伸ばしたのに対し、ヴィッセル神戸とガンバ大阪が敗戦。前節まで残留当落線上にいた15位だった神戸が勝ち点39で16位、ガンバが勝ち点38で17位に転落し、J2降格となりました。神戸は2006年以来2度目、ガンバは創設20年目で初めてのJ2陥落です。これにより関西のJ1のチームはセレッソ大阪のみとなってしまいました。
ガンバ大阪は西野朗氏が監督を務めていた時は、2005年にJ1を制し、2007年のナビスコ杯、2008年にはACLを制すれば、クラブワールドカップで3位入賞。毎年のように優勝争いの中にいました。今季は今野泰幸選手がFC東京から加入し、間違いなく優勝争いに入ってくるだろうと思われましたが、公式戦5連敗でセホーン監督が解任され、リーグ戦も開幕から5戦未勝利(1分け4敗)。「ミスターガンバ」こと松波正信氏が監督に就任し、レアンドロ選手や家長選手などが加入したのですが、悪い流れは最後まで変わりませんでした。得点数ではJ1トップの67得点だったのに対し、失点数はワースト2位の65失点。守備の拙さが降格に繋がったのではないかと思います。
J2降格を受け、金森喜久男球団社長は辞任を示唆。これに対し遠藤選手は残留を明言。今野選手は3度目のJ2落ちを経験。ザックJAPANの中心選手が、来年J2の舞台でプレーなんてなあ…。「強いガンバ」を取り戻すには、J2を圧倒的な強さで優勝するしかないでしょう。
その他の試合。
鹿島アントラーズ2-0柏レイソル@カシマサッカースタジアム
2年連続ACL出場のためにも負けられない柏と、今季限りで退任を発表したジョルジーニョ監督率いる鹿島の対戦は、前半41分にドゥトラのパスを受けた大迫勇也が左足シュートを決めて1点を先制。後半23分には、レナト→ジュニーニョ→最後は大迫がヘッドで2点目。大迫の2得点の活躍で鹿島が勝利。前年度覇者・柏は6位でシーズン終了。
横浜Fマリノス1-0サガン鳥栖@日産スタジアム
J1初年度ながら大健闘を見せているサガン鳥栖、横浜戦で勝利すればACL出場権を獲得できますが、立ち上がりからACL出場を諦めていない横浜に防戦一方の展開に。
横浜は前半18分に小野裕二が頭で合わせるが、ポストに直撃。26分には左CKを栗原勇蔵がドンピシャヘッドを放つが、鳥栖GK・赤星拓の好セーブに阻まれます。0-0で迎えた後半8分、横浜はゴールやや右寄りでのFKを中村俊輔が左足一閃。鮮やかなFK弾で1点を先制。鳥栖は後半12分に左サイドのロングスローから豊田陽平が飛び込むも、ヘディングシュートはバーの上。後半41分にはFKからトジンが合わせるも枠を捉えられず。試合は横浜が1点差を守り切り、4位に浮上しました。
浦和レッズ2-0名古屋グランパス@埼玉スタジアム2002
柏が敗れ、横浜が鳥栖に勝利。4位・名古屋と5位・浦和の直接対決に勝った方が年間3位となり、ACL出場権を獲得します。
名古屋は前半12分に玉田圭司が強烈な左足シュートを放つもバーの上。対する浦和は13分に平川忠亮が右サイドからシュートを打つも、GKにキャッチされます。迎えた23分、浦和は右サイド・平川クロス→柏木陽介がヘディングシュート。名古屋GK・楢崎正剛がセーブしきれず、ボールはそのままゴールへ吸い込まれました。浦和1点リードで迎えた後半14分、中央でのFKを槙野智章が右足で豪快に狙い、ボスとを叩いた後、ゴールネットを揺らし2点目。その後は名古屋の反撃を守り切り、2-0で勝利しました。
FC東京6-2ベガルタ仙台@味の素スタジアム
今季サンフレッチェと共に優勝争いを演じてきた仙台とFC東京の一戦は、FC東京が怒涛のゴールラッシュを見せました。
まず前半8分にルーカスが先制ゴールを決めると、17分にもルーカスが右足で流し込んで1点を追加。対する仙台は35分に赤嶺真吾のヘディング弾で1点を返します。後半に入ると、FC東京が猛攻を見せます。後半4分にCKからチャン・ヒョンス、さらに11分には渡邉千真が相手GKをかわして4点目。後半37分、途中出場のネマニャ・ヴチチェヴィッチが左足で5点目を奪うと、ロスタイムにはまたもやヴチチェヴィッチのダメ押し弾で6点目。攻撃陣が大爆発したFC東京が仙台に圧勝。ぼろ負けの仙台はクラブ最高の2位で2012年シーズンを終えました。
清水エスパルス0-0大宮アルディージャ@アウトソーシングスタジアム日本平
清水と大宮の一戦は、清水が14本のシュートを放ちながらもゴールネットを揺らす事が出来ず。お互い決め手を欠き、スコアレスドロー。一足先に残留を決めた大宮は11戦負け無しで締めくくりました。
というわけで、2012年のJリーグディビジョン1は全日程終了。サンフレッチェ広島が初の年間王者に輝き、ベガルタ仙台が2位。混戦の3位争いは、前節3位だったサガン鳥栖が敗れ、名古屋を下した浦和レッズが5位から3位浮上。これで来年のAFCチャンピオンズリーグは、広島、仙台、浦和の3チームの出場が決定しました。サガン鳥栖はJ1初年度で5位と大健闘。エース・豊田選手の活躍が無ければ、下位低迷でJ2へ逆戻りしていたでしょう。同じJ1昇格組のFC東京は10位、コンサドーレ札幌は4勝2分け28敗、勝ち点14の最下位でした。
今季は広島、仙台、鳥栖といった地方クラブ勢の躍進がある一方、ガンバ大阪や鹿島アントラーズの「古豪」が苦戦を強いられたシーズンとなりました。ガンバは開幕から躓き、最後まで立ち直れずJ2降格、過去7回の優勝を誇る鹿島は12勝10分け12敗・勝ち点46で11位と過去最低の成績を残しました。ジョルジーニョ監督は「家庭の事情」で退任するけど、成績不振の責任を取る形で辞めた感じが否めない。
個人成績では、佐藤寿人選手が22得点を挙げて初のJ1得点王。2009年にはJ2得点王のタイトルを獲っており、両リーグで得点王となったのは浦和と札幌で活躍したエメルソン選手以来2人目です。
リーグ戦は終了しましたが、12月6日からはFIFAクラブワールドカップが開幕し、サンフレッチェ広島が出場します。それにサッカー天皇杯もあり、15日に4回戦、23日に準々決勝、29日に準決勝、2013年1月1日に決勝戦が行われます。ACL出場4チーム目の争いも見逃せません。