大分大学時代の7年間は、基本的に1年生向けの科目を担当していました。その頃から強く思っていたことですが、再び昨年から1年生向けの科目を担当するようになり、その思いがさらに強まりました。
それは、社会思想史に弱い学生があまりに多いということです。これで、どうやって法律学の勉強を続けていけるのか、と心配になります。
私自身は、学部1年生であった時に教養科目として履修しました。その教科書を現在でも所持しています。学生時代には何度も読み返していました。法律学に取り組む学生については必修にしてもよいでしょう。いや、社会科学全般に取り組むならば、社会思想史は必須です。この分野に関する知識(さらに言えば見識)があるかないかで、理論の深みなども違ってくるほどです。
以前にも何度か書いていますが、私は、神奈川県立多摩高等学校を卒業しました。現在はどうか知りませんが、当時、この高校では、文系・理系を問わず、社会科の全分野(地理、日本史、世界史、倫理、政治・経済)と理科の全分野(物理、科学、生物、地学)は必修でした。私は理科で非常に苦労しましたが、こと社会科に関する限り、全分野を勉強したことはよかったと感じています。
現在の高校では、社会科は完全に選択制を採っているといいます。そのような馬鹿なことをいつまで続けるつもりかと思います。小学校でダンス(それもヒップホップか何か)を必修化するというのですが、「何を考えているのか?」と言いたくなります。歴史的背景などを知らないのでしょうか。経済こそ、小学校から必修とすべきでしょう。そうすれば、数学の勉強も楽になります。身も蓋もない話ですが、金の計算こそ、算数や数学に興味を持たせるのに適切なものではないかと思うのです。いや、そればかりでなく、経済を学ばせることこそ、社会全体を学ばせることにつながります。