ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

大東文化大学法学部「税法」・「税法B」第2回小課題

2017年12月16日 08時11分03秒 | 受験・学校

 先程、DB PORTALにもあげましたが、こちらにも掲載しておきます。

 ●最三小判昭和50年5月27日民集29巻5号641頁を読み、設問に答えなさい。

 設問1 この判決は、譲渡所得への課税をどのように説明しているか。

 設問2 この判決は、所得税法第33条第1項にいう「資産の譲渡」の意味をどのように説明しているか。

 設問3 この判決は、財産分与による資産の譲渡についてどのように説明しているか。

 設問4 離婚の際に、慰謝料として資産を譲渡する場合、財産分与として資産を譲渡する場合とに分け、それぞれについて資産の譲渡者に譲渡所得課税が行われるべきであるかについて論じなさい(あなた自身のこの判決に対する評価を必ず記すこと)。必要な場合には家族法(親族法・相続法)の教科書等を参照すること。

 字数:全体として2000字以上(字数制限なし。なお、個々の設問については設定しません)。なお、参考文献も明記してください(字数には入れません)。

 提出日:2018年1月15日の講義時(それより前の場合は2号館9階のメールボックスに入れてください)。DB PORTALのレポート提出機能を使用する場合には同日の11時までとします。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

行政法1A・行政法1B(大東文化大学)、行政法1(国学院大学)で扱った判決(1)

2017年12月16日 00時00分00秒 | 法律学

 タイトルに示した講義で扱った判決を、ここに掲載しておきます。今日は第1弾です。

 

 ●最三小決昭和55年9月22日刑集34巻5号272頁

 事案:警察官が、飲酒運転の多発地帯である場所で交通違反取締りを目的とする自動車検問を行った。X運転の車は、外観からは不審な点が存在しなかったが、警察官の合図に従い停車した。警察官はXに運転免許証の提示を求めた際、酒の臭いを感じたので降車を求め、派出所で飲酒検知を行ったところ、酒気帯び運転の事実が確認された。Xは自動車検問が何の法的根拠もなく行われたなどとして争ったが、第一審および第二審は、自動車検問の法的根拠を警察法第2条第1項とした上でXの主張を退けた。最高裁第三小法廷も、次のように述べてXの上告を棄却した。

 判旨:「警察法2条1項が『交通の取締』を警察の責務として定めていることに照らすと、交通の安全及び交通秩序の維持などに必要な警察の諸活動は、強制力を伴わない任意手段による限り、一般的に許容されるべきものであるが、それが国民の権利、自由の干渉にわたるおそれのある事項にかかわる場合には、任意手段によるからといつて無制限に許されるべきものでないことも同条2項及び警察官職務執行法1条などの趣旨にかんがみ明らかである。しかしながら、自動車の運転者は、公道において自動車を利用することを許されていることに伴う当然の負担として、合理的に必要な限度で行われる交通の取締に協力すべきものであること、その他現時における交通違反、交通事故の状況などをも考慮すると、警察官が、交通取締の一環として交通違反の多発する地域等の適当な場所において、交通違反の予防、検挙のための自動車検問を実施し、同所を通過する自動車に対して走行の外観上の不審な点の有無にかかわりなく短時分の停止を求めて、運転者などに対し必要な事項についての質問などをすることは、それが相手方の任意の協力を求める形で行われ、自動車の利用者の自由を不当に制約することにならない方法、態様で行われる限り、適法なものと解すべきである」。

 

 ●最二小判平成3年3月8日民集45巻3号164頁

 事案:千葉県浦安町(現在は浦安市)を流れる某河川に、河川法および漁港法による占用許可を受けずにヨット係留施設が設置された。そのため、船舶の航行にとって危険な状態が続いた。浦安町長は、千葉県葛南土木事務所長に撤去を要請したが、撤去はなされなかった。そこで、浦安町長は、本来の河川の管理者である千葉県知事の措置を待たず、このヨット係留施設の鉄杭を独自に撤去した。 本来、このような場合には、漁港法に基づいて漁港管理規程(条例)が制定されるべきであったが、浦安町は(漁港管理者であるが)漁港管理規程を制定していなかった。そのため、千葉県知事は河川法に違反する施設の撤去命令を発する権限を有するが、浦安町長はその権限を有していなかった。

 判旨:最高裁判所は、次のように述べて浦安町長(引用文中では上告人)の主張を認めた。

 (1)「本件鉄杭は、本件設置場所、その規模等に照らし、浦安漁港の区域内の境川水域の利用を著しく阻害するものと認められ、同法39条1項の規定による設置許可の到底あり得ない、したがってその存置の許されないことの明白なものであるから、同条六項の規定の適用をまつまでもなく、漁港管理者の右管理権限に基づき漁港管理規程によって撤去することができるものと解すべきである」が「当時、浦安町においては漁港管理規程が制定されていなかったのであるから、上告人が浦安漁港の管理者たる同町の町長として本件鉄杭撤去を強行したことは、漁港法の規定に違反しており、これにつき行政代執行法に基づく代執行としての適法性を肯定する余地はない」。

 (2)しかし、「浦安町は、浦安漁港の区域内の水域における障害を除去してその利用を確保し、さらに地方公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全を保持する(地方自治法2条3項1号参照)という任務を負っているところ、同町の町長として右事務を処理すべき責任を有する上告人は、右のような状況下において、船舶航行の安全を図り、住民の危難を防止するため、その存置の許されないことが明白であって、撤去の強行によってもその財産的価値がほとんど損なわれないものと解される本件鉄杭をその責任において強行的に撤去したものであり、本件鉄杭撤去が強行されなかったとすれば、千葉県知事による除却が同月9日以降になされたとしても、それまでの間に本件鉄杭による航行船舶の事故及びそれによる住民の危難が生じないとは必ずしも保障し難い状況にあったこと、その事故及び危難が生じた場合の不都合、損失を考慮すれば、むしろ上告人の本件鉄杭撤去の強行はやむを得ない適切な措置であったと評価すべきである」。従って、「上告人が浦安町の町長として本件鉄杭撤去を強行したことは、漁港法及び行政代執行法上適法と認めることのできないものであるが、右の緊急の事態に対処するためにとられたやむを得ない措置であり、民法720条の法意に照らしても、浦安町としては、上告人が右撤去に直接要した費用を同町の経費として支出したことを容認すべきものであって、本件請負契約に基づく公金支出については、その違法性を肯認することはでき」ない

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする