ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

北海道新幹線の赤字額が倍増?

2018年04月28日 10時25分52秒 | 社会・経済

 昨日(4月28日)も少しばかり読みましたが、北海道新幹線の赤字額が増えたようです。昨日の9時42分付で、朝日新聞社が「新幹線、赤字倍増103億円」(https://www.asahi.com/articles/CMTW1804270100004.html)として報じています。

 現在、北海道新幹線は新青森駅から新函館北斗駅までの区間となっています。札幌まで延長するのはまだかなり先のことですから、正直なところ、地元の方々には申し訳ないのですが、利用客が少ないのは仕方のないところでしょう。しかも、この新幹線がJR北海道の足を引っ張っているとすれば、存在意義が疑われてもおかしくありません。在来線が犠牲になるだけだからです。

 財務省に財政制度等審議会という諮問機関があります。ここで国土交通省鉄道局が提出した資料に、北海道新幹線の赤字額が示されていました。開業年度である2016年度で54億円でしたが、2017年度には103億円となる見通しなのです。2倍近くになったということです。

 また、財務省は、国土交通省鉄道局とは別の資料を出しています。どのような資料かは記事にも具体的に書かれていませんが、JR北海道の経営状況が一段と悪化することは明らかでしょう。むしろ、赤字が拡大しなかったらJR北海道の経営状況が改善する可能性もあった、というのが財務省の解説であったということです。勿論、この解説(仮定に基づいてはいますが)は、2016年秋にJR北海道が発表した維持困難線区による損失(2015年度で158億円の赤字)が解消されるという前提に基づいています。

 これに対し、JR北海道は、北海道新幹線の赤字額は整備新幹線計画でも織り込み済みであるという趣旨の反論を行ったとのことです。一体、どのような前提で整備新幹線計画が策定されたのかという疑問を拭えませんが、元はと言えば国鉄時代のものですから、この程度なら許されるということであったのでしょう。しかし、現在はJR各社が運営しています。

 また、JR北海道は、北海道新幹線の車両基地、10両編成での運行などによる固定費用が過大であるとも主張しています。ただ、札幌延伸が実現しなければ収支改善が難しいとも受け取れる説明も行ったようです。

 整備新幹線計画がどのような性質なのか、つまり、JR各社に対してどの程度の拘束力を持つのかという問題がありますが、妥当性には強い疑念が生じてもおかしくありません。おそらく、本当に必要なのは東海道新幹線など一握りでしょう。

 

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