ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

寿司離れ ラーメン離れ 本当かどうかわかりませんが

2019年08月29日 08時00分00秒 | 社会・経済

 近頃では若者の車離れ、酒離れなどと言われておりまして、それが消費の低下につながるなんて心配されているところでございます。大学教員をやっている私にしてみれば、車なんぞを持っていたらガソリン代だの駐車場代だの保険だのとお金がかかりますから車離れも仕方のないところだろうと思いますし、酒離れはむしろよいことではないか、俺達の若い頃みたいに一気飲みなんていう馬鹿なことをやって急性アルコール中毒で倒れて死んだりなんかする、なんてこともありませんから、むしろ○○離れにはいいこともあるだろう、と思うこともある訳です。まあ、車離れは学生を見ていてわかるところでして、運転免許を持っていない学生、卒業が決まったので慌てて免許を取る学生も多いのでございます。酒離れはというと、これも当たっているのかな、なんて思うこともよくあります。それにしても、○○離れという記事の多いこと。そんなに○○から離れる人が多いのかなと、頭の中には「?」ばかりが浮かんでくるのでございます。

 さて、たまたま、東洋経済オンラインを見たら、8月28日の5時付で「日本人男性の『寿司・ラーメン離れ』」という記事が掲載されていました(https://toyokeizai.net/articles/-/298396)。書かれた方は、博報堂生活総合研究所の上席研究員にしてコピーライターの前沢裕文氏です。

 私は、麺類ということであれば蕎麦、うどん、パスタなどを好みますが、ラーメンを食べません(食べたとしても数年に1回です)。一人で、あるいは妻と食事に行く時には最初からラーメン(屋)が候補に入りません。単純にラーメンを好まないのです。そのため、ラーメン屋しかないような街や通りに出ると困ったことになります。定食があるかどうかを見なければなりません。

 しかし、色々な街に行ってみると、ラーメン屋がない所などまずお目にかかりません。そのため、この東洋経済オンラインの記事の内容は本当かと思ったのです。

 また、寄せられたコメントなどを見てもわかるように散漫という印象を受ける記事でして、食生活の話なのかと思っていたら終わりのほうに「不倫離れ」、「プレイボーイ・プレイガール離れ」、「超能力離れ」などが登場します。「だから何?」(ジャズの名曲に引っ掛けてSo what?)という言葉が出てもおかしくありません。

 結局は我々庶民の懐具合が寂しくなっている一方なだけではないか、という気もします(その趣旨のコメントもあります)が、ともあれ、記事の内容を見ていきましょう。

 最初に登場するのは「和食離れ」です。とくに漬物を好む人の割合の落ち込みが激しいそうです。理由が書かれておらず、分析もされていないのですが、漬物を作る家庭が少なくなったということもあるかもしれません。私の実家では数年前まで白菜やなすの漬物を作っていました(糠味噌に漬けておく訳です)が、今はしていません。そう言えば、神保町一丁目のすずらん通りに古くからある洋食屋の南海では漬物を見たことがありません(私は学部生時代から何度も入っています)。

 次に寿司です。前沢氏によれば、「生活定点」(何も断り書きなどがないのですが、博報堂生活総合研究所が行っている定点調査のことです)において「好きな料理ベスト3は何ですか?」という質問が毎年行われているようで、不動のベスト3は寿司、焼肉、ラーメンなのだそうです。「そうですか」としか言いようがないのですが、定点調査で、この2、3年、30代男性の「寿司離れ」が見られるそうです。2016年の36.3%→2018年の24.1%で、たしかに落ち込んでいます。

 しかし、問題はその理由でしょう。近世の江戸において寿司はファストフードのような存在であり、一旦は高級化したものの、回転寿司や持ち帰り寿司の普及によって再び大衆化しましたし、うちの近所のスーパー(東急ストア、マルエツ、まいばすけっとなど)でも寿司は売られています。贅沢さえ言わなければ……ということでしょう。そうなると、寿司にありがたみがなくなるのもわかります。

 続いてラーメンです。同じ調査の同じ質問について、20代女性で「ラーメン離れ」が起こっているそうで、2016年の25.5%→2018年の13.0%と落ち込んでいるそうです。

 この記事では珍しく理由らしいものが少し書かれているのですが、健康のため、という訳でもなさそうです。単純に高価だからではないかと思うのですが、よくわかりません。「ラーメン離れ」は20代女性のみならず、40代男性、30代男性、20代男性でも見受けられるのですが、20代女性ほどの落ち込みようでもないようです。

 これから連載でも始まるのか、詳細な分析が書かれた記事が掲載されるのか、それはよくわかりませんが、先程記したように「○○離れ」を出し過ぎて散漫なものになってしまったのが惜しいところです。ラーメンならラーメン、寿司なら寿司に絞ったほうがよかったのではないでしょうか。もしかしたら、それでは記事を書けなかったのかもしれませんが。

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