〔今回は、「待合室」の第438回として、2011年8月27日から同年9月8日まで掲載したものです。写真撮影日である2011年4月7日当時の様子をお伝えしたく、文章に修正の手を加えておりません。〕
旗の台駅の南口に着こうとしています。これから大井町線に乗ろうと考えていますが、その前にもう少し撮影を続けます。ちょうど、池上線の踏切が鳴りました。
池上線と東急多摩川線の車両である2代目7000系です。日本最初のオールステンレスカーである名車が初代7000系で、こちら2代目は新5000系をベースとして18メートル車として開発され、2007年にデビューしました。全編成が3両編成です。池上線と東急多摩川線には、初代7000系の改造車である7700系、7200系の改造車である7600系、そして1000系が走っていますが、2代目7000系はこれらの代替車として登場しました。そのために、平成になってからデビューした1000系の一部も廃車となり、上田交通や伊賀鉄道に譲渡されています。また、7700系は、初代7000系から数えると50年近く走っている車両もあるのですが、一部が十和田観光電鉄に譲渡されています。
旗の台駅の南口です。以前はこんなにきれいではなかったのですが、大井町線の急行運転に合わせて改築されました。これで大井町線の下りと池上線との乗り換えも楽になりました。以前は階段を上がったり下ったりを繰り返さなければならなかったのです。
大井町線の急行の停車駅は、大井町、旗の台、大岡山、自由が丘、二子玉川、溝の口です。その中で最も乗降客が少ないのが、この旗の台ではないでしょうか。駅前商店街の小ささでは旗の台が突出しています。大岡山駅前の商店街も小さいほうですが、東京工業大学があるためか、人通りは多いのです。旗の台駅の場合は、池上線と大井町線のそれぞれに改札口があり、池上線の改札口のほうがにぎわっていると感じられます。
南口の改札の前です。節電対策ということで、自動改札機の一つは電源を切られており、ロープを張られています。3月11日の大地震の後、首都圏の各駅では日中、何台かの自動改札機の使用を中止しており、この駅でも同様である、ということです。
大井町線は使い勝手のよい路線で、2000年8月5日までは東急の鉄道線の全てと接続していました。翌日からは、目蒲線の分割により、東急多摩川線との乗換駅がなくなったのですが、この旗の台で池上線と、大岡山で目黒線と、自由が丘で東横線と、二子玉川および溝の口で田園都市線に乗り換えることができますので、渋谷、目黒、五反田、蒲田、横浜へ向かうには非常に便利なのです。なお、線内に車庫がないため、一部の列車が田園都市線の鷺沼か長津田まで走ります。
また、1980年代まで、大井町線には様々な車両が走っており、我々を楽しませてくれました。初代5000系、5200系、初代6000系、初代7000系、7200系、8000系も走っていました。営業で走っていないのは1000系と2000系と2代目7000系くらいでしょう(これらも回送としては走っています)。VVVF車が東急で最初に走ったのも大井町線でして、初代6000系の一部が改造され、6両で運用されました。また、現在は池上線と東急多摩川線で運用されている7600系と7700系も、当初は大井町線で6両編成として運用されていました。
現在は、急行専用として新6000系が6両編成で、各停専用として8500系、8090系、8590系、そして9000系が5両編成で運用されており、とくにここ数年は9000系が多くなっています。
大井町線の旗の台駅は、急行運転開始前は2面2線でしたが、現在は2面4線となっており、急行は必ずこの駅で各駅停車と連絡をするようになっています。大井町線が溝の口まで運行されるようになった2009年7月11日からは、平日の日中、下りは青各停(B各停。二子新地と高津に停車する)が急行の待ち合わせを行い、上りは緑各停(G各停、高津と二子新地を通過する)が急行の待ち合わせを行うようになっていました。
しかし、地震の影響により、2011年3月12日から、上記のパターンが維持されていません。東急で節電対策の影響を最も強く受けているのがこの大井町線で、早朝の上りと夜の下り(いずれも田園都市線との直通運転)を除き、青各停が走らなくなりました。また、平日の日中と土休日は緑各停が大井町~二子玉川の運転となっています。さらに、急行の運転区間が度々変わっており、旗の台駅を訪れた4月7日は日中に急行が運転されておらず、その後は大井町~二子玉川になったり大井町~長津田になったりしています。7月1日からは、平日の日中、急行が大井町~長津田、各停が大井町~二子玉川となっており、土休日は急行、各停ともに大井町~二子玉川となっています(但し、一部は鷺沼か長津田まで走ります)。
奥に見えるのは荏原町駅です。駅間距離の短さを象徴するような光景です。荏原町でいったん地上に降り、再び高架となって中延に着き、再び地上に降りて戸越公園、再び高架となって下神明と、忙しいような路線となっています。
こちらは北千束側で、少し走ると中原街道を越える橋があります。東洗足駅は、その橋の辺りにあったようです。起点の大井町駅から旗の台駅まで品川区にありましたが、次の北千束駅と大岡山駅は大田区です。東急線で品川区を所在地とする駅は、この旗の台の他、大井町線の大井町、下神明、戸越公園、中延、荏原町、池上線の五反田、大崎広小路、戸越銀座、荏原中延、目黒線の目黒、不動前、武蔵小山、西小山です。そのほとんどが旧荏原区の領域にあります。
急行運転前は、上り線のホーム(当時は4番線)に北口改札口がありました。今は、その痕跡をたどるのが難しくなっています。
おまけのようなものですが、二子玉川駅の2番線に到着した大井町線緑各停の8500系と、3番線に停車中の緑各停8090系です。8090系は、日本最初の軽量ステンレスカーであった8000系のデハ8400形(後にデハ8200形に編入)を基礎とした初の量産車です。この系列はブルーリボン賞もローレル賞も受賞していませんが、後の鉄道史に与えた影響は(初代7000系や8000系ほどではないとしても)大きなものと言うべきでしょう。これまでステンレス車を導入してこなかった鉄道会社も、国鉄→JRグループを筆頭に、軽量化がきっかけとなってスレンレスカーを導入していくのです。まさに全国へのステンレスカーの本格的な普及の先鞭をつけたとも言える8090系は、元々、東横線の急行用として登場したものですが、今や大井町線の主力となっています。なお、一部が秩父鉄道に譲渡されています。
さて、今回は東急池上線途中下車シリーズの第4回目、東急大井町線途中下車シリーズの第2回目として、旗の台駅を取り上げました。田園都市線もありますし、東急多摩川線も残していますので、次はどこを取り上げようかと悩むところです。とくに難しいのは池上線です。ここで、池上線、大井町線の全部の駅を、所在区とともに記しておきましょう。赤字は急行停車駅です。また、駅名の後にある( )と数字は、それぞれのシリーズで取り上げた順番などを示します。
1.池上線
品川区:五反田、大崎広小路(3)、戸越銀座、荏原中延、旗の台(4)
大田区:長原、洗足池(1)、石川台、雪が谷大塚、御嶽山、久が原、千鳥町、池上(2)、蓮沼、蒲田
2.大井町線(二子玉川~溝の口は田園都市線途中下車シリーズで取り上げました)
品川区:大井町、下神明、戸越公園、中延、荏原町、旗の台(2)
大田区:北千束、大岡山(東急目黒線途中下車シリーズで取り上げました)
目黒区:緑が丘、自由が丘(4の予定)
世田谷区:九品仏、尾山台(3の予定)、等々力、上野毛、二子玉川(1)
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