このブログでは度々JR北海道の10路線13区間問題を取り上げています。新型コロナウイルスの影響が公共交通機関にも大きく現れている中で、この問題に対する処理が加速されるのではないかと思われます。
念のため10路線13区間を再掲しておきましょう。
1.札沼線の北海道医療大学〜新十津川(79人/4億円)⇐2020年5月7日に廃止(但し、最終運行日は4月17日)。
2.石勝線の新夕張〜夕張(夕張支線)(118人/2億円)⇐2019年4月1日に廃止。
3.根室本線の富良野〜新得(152人/10億円)
4.留萌本線の深川〜留萌(183人/7億円)⇐同線の留萌〜増毛は2016年12月5日に廃止。
5.日高本線の苫小牧〜鵡川(298人/4億円)
6.日高本線の鵡川〜様似(298人/11億円)⇐長期運休中。2021年3月に廃止か。
7.宗谷本線の名寄〜稚内(403人/25億円)
8.根室本線の釧路〜根室(通称「花咲線」)(449人/11億円)
9.根室本線の滝川〜富良野(488人/12億円)
10.室蘭本線の沼ノ端〜岩見沢(500人/11億円)
11.釧網本線の東釧路〜網走(全線)(513人/16億円)
12.石北本線の新旭川〜網走(全線)(1141人/36億円)
13.富良野線の富良野〜旭川(全線)(1477人/10億円)
今回は、上から4番目、留萌本線の話です。昨日(2020年8月20日)の10時30分付で、朝日新聞社のサイトに「北海道)留萌線一部廃止で合意 沿線4市町」という記事が掲載されていました(https://digital.asahi.com/articles/ASN8M6S7FN8MIIPE01C.html)。「一部廃止」が引っかかるので、取り上げてみようという訳です。以下、都合により、留萌本線、留萌線の表記が混在します。
留萌本線は、2016年12月5日に留萌〜増毛が廃止されたことにより、JR九州の筑豊本線から国鉄・JRの最短距離「本線」の地位を譲り受けて現在に至っています。しかし、乗客の少なさなどは変わらず、経営が困難な路線にあげられています。1980年代には特定地方交通線に指定されるはずが、指定除外要件に該当したために存続したという歴史もあります。
現在残っている深川〜留萌について、JR北海道はかねてから廃止の方針を出しています。これに対し、沿線自治体である深川市、秩父別町、沼田町および留萌市が18日に会議を開き、深川〜石狩沼田については存続を求め、石狩沼田〜留萌については廃止に同意することで合意したようです。バス転換に前向きであったのは留萌市でした。一部廃止であれ全部廃止であれ、留萌振興局管内の市町村から鉄道路線が消滅することになりますが、路線の存続が困難であるということを見極めた上での結論であるようです。他方、深川市、秩父別町および沼田市は存続を求めています。これは、高校生の通学や高齢者(など)の通院に欠かせないという理由によるものです。たしかに、バス路線に転換されたら運行時間や運賃がどうなるかという問題があり、過去の例を見ると、運賃が上昇したことも多かったようです。
留萌本線の2019年度の収入は3800万円ほどで、経費は7億円近くとなっていますので、大幅な赤字です。深川〜石狩沼田を存続するとして、収支がどうなるという予測はあるのでしょうか。やはり過去の例をみても、一部廃止が結局は全線廃止につながる場合が少なくありません。
なお、JR北海道の2020年4月〜6月期決算によると、売上高は207億円、営業損益は239億円の赤字、純損益は126億円の赤字でした。2019年度同期と比較すれば、いずれも悪化しています。
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