大石橋を渡り、旧大山街道を歩きます。橋から高津交差点までが溝口三丁目です。かつてはこの辺りが中心地でしたので、現在も名残が多く、歴史の歩みを感じさせてくれます。
まずは溝の口駅側からであれば右側にある岩崎酒店です。1944(昭和19)年までは清酒を醸造していたのですが、それ以降は小売りのみとなっています。
最近では、酒屋以上に5階にある糀ホールのほうが有名かもしれません。クラシック音楽専門の小ホールです。地元でありながら、実はまだ私は入ったことがないのですが、近所に貼られるポスターなどを見ると、有名な演奏家も訪れているようです。「田園クラシック音楽の会」という組織があり、この糀ホールを拠点としています。
ホール名の由来は、酒造りには欠かせない糀、そしてcozyという言葉を掛けたものだということです。
また、ギャラリー糀が2階にあります。
糀ホールがオープンした頃には、この辺りで最も高い建物でした。今では周囲にマンションなどが建ち並んでいますので、高さという点ではそれほどでもなくなったのですが、風格という点ではやはり一番でしょう。
近くに住んでいながらまだ入ったことがないというのもどうかと思われます。幸いにして、私はクラシック音楽に慣れ親しんでおりますので(3月14日にもフィリアホールで千住真理子さんと藤井一興さんの演奏を聴いてきました)、今年中には三丁目で聴きたいものです。
糀ホールから少しばかり、高津交差点のほうへ進みます。程なく左側に、川崎市の大山街道ふるさと館が現れます。「川崎市大山街道ふるさと館条例」(平成4年3月30日川崎市条例第20号)なるものがありますので、条文を引用しつつ紹介しましょう(但し、原文にあるルビは省略します)。
「(目的及び設置)
第1条 川崎市における脇往還の一つである大山街道に係る歴史、民俗等に関する資料及び郷土にゆかりのある人の美術、文学等の作品等(以下「資料等」という。)の展示を行うとともに、市民に学習の場を提供し、もって市民の文化の発展に寄与するため、川崎市大山街道ふるさと館(以下「ふるさと館」という。)を設置する。
(位置)
第2条 ふるさと館の位置は、川崎市高津区溝口3丁目13番3号とする。
(事業)
第3条 ふるさと館は、次の事業を行う。
(1)資料等の展示に関すること。
(2)施設及び設備(以下「施設等」という。)の利用に関すること。
(3)その他設置目的を達成するために必要な事業に関すること。」
一度だけ、私も入ったことがあります。展示コーナーがあり、民具、古文書、古い新聞記事などが置かれているのですが、ここ溝口で生まれた陶芸家、濱田庄司の解説には特に力が入れられているように感じられました。
それにしても、何故、ふるさと館がここにあるのでしょうか。公式サイトを見ても記述がないのですが、どうやら、ここに高津村役場があったらしいのです。厳密にこの場所と言えるのかどうかはわかりませんが、何かの曰くがなければ、三丁目のこの場所に市の施設を建てたりしないでしょう。
ちなみに、高津区役所は、長らくの間、現在の溝口一丁目、てくのかわさきや神奈川県高津合同庁舎のある場所に置かれていました(おそらく、てくのかわさきの場所です)が、現在は下作延二丁目にあります。
高津交差点を右折し、府中街道(国道409号)を高津駅のほうへ向かいます。右側が三丁目ですが、程なく灰吹屋薬局に着きます。どう見てもノクティプラザ2(マルイや高津市民館がある棟)の地下1階にある店舗や、溝口中央商店街にある店舗のほうが大きいのですが、実は高津バス停の前にあるここが本店です(高津本店といいます)。現在は調剤薬局のみですが、ドラッグストアもありました。或る年の12月に、突然、年末のかき入れ時というのにドラッグストアのほうが閉まり、翌年1月の中旬になって高津駅のそばに高津西口店としてオープンしました。以前は丸三証券高津支店でした(現在は二子玉川ライズに移転しています)。
高津交差点から高津駅にかけて、同じ三丁目に帝京大学溝口病院があるためなのか、短い距離の間に調剤薬局が集中しています。まず、灰吹屋薬局は、三丁目の高津本店の他、四丁目のほうに高津駅前店があります。他には、三丁目に稲垣薬局溝口店、二子薬局高津店、カバヤ薬局高津警察前店があり、四丁目に日本調剤溝口薬局があります。
ただ、近い将来、帝京大学溝口病院は田園都市線の反対側、二子五丁目に移転します。そうなると、何らかの変化があるかもしれません(現在、二子四丁目・五丁目には調剤薬局がないようです)。
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