昨日(2025年1月4日)になってから知ったのですが、2024年12月12日19時40分付で、 NHKが「名鉄広見線の県内一部区間 名鉄が財政支援協定更新せず」(https://www3.nhk.or.jp/lnews/gifu/20241212/3080014776.html)として報じていました。
名古屋鉄道、略して名鉄は、かつて日本で2番目に営業キロ数が長い私鉄でしたが、断続的に鉄道路線の廃止を行っており、現在は3番目の私鉄となっています(1番目が近鉄、2番目が東武)。その分、採算が合わない鉄道路線をたくさん抱えていると言えます。また、関東の大手私鉄を見慣れている者からすれば「何故?」、「本線でこんなに編成が短いの?」、「利便性が低いんじゃないの?」と首を傾げたくなるようなことも少なくありません(鉄道ファンの間でよく取り上げられる名鉄名古屋駅など、私に言わせれば利便性の低さを象徴している大規模駅です。私は何度か利用しましたが、これほどわかりにくくて面倒な駅は他にないと感じました。これではJR東海道本線を使うか自動車を運転するかのどちらかを選択したくなる気持ちも理解できます)。さらに言えば、日本の大手私鉄でもとくに無人駅が多いことも注目すべき点です。
さて、現在、名鉄の中でも存廃問題の渦中にあるのが、広見線の新可児駅から御嵩駅までの区間です。同線は犬山駅から御嵩駅までの路線ですが、歴史的経緯によってスイッチバックとなっている新可児駅を境に、実質的には犬山駅から新可児駅までの区間と新可児駅から御嵩駅までの区間は別の路線と言ってもよいでしょう。やはり、末端区間が廃止の瀬戸際にあるということです。
原因は様々でしょう。名鉄の路線網は、大手私鉄の中では飛び抜けて高度な自動車社会となっている地域にあります。また、名古屋市やその近郊は良いとして、その他の地域では人口減少が進んでいると考えられます。また、広見線の末端区間の場合、明智駅から分岐して八百津駅までの路線であった八百津線の廃止も理由になっているかもしれません。八百津線は、富士重工製のLE-Carの試運転が行われ、そのままLE-Carを使い続けていたほどの鉄道路線でしたから、相当の赤字路線であった訳ですが、それでも八百津線が廃止されることで広見線の新可児駅から明智駅までの区間の乗客も減少したことでしょう。
ともあれ、新可児駅から御嵩駅までの区間は典型的な赤字ローカル線です。そのため、名鉄は沿線自治体(市町村としては可児市および御嵩町)から年間で1億円の財政支援を受けていました。これは2010年度以降、名鉄が可児市から年間3000万円、御嵩町から年間7000万円の財政支援を受けるという協定が結ばれていたためです。しかし、名鉄は、2024年夏に、2025年度限りでこの協定を更新しない旨を可児市および御嵩町に伝えていました。このことは、12月11日に開かれた御嵩町の定例議会で町長が明らかにしたのでした。
名鉄が協定を更新しないと伝えたということは、おそらく、名鉄はこの区間を廃止する意向であるということでしょう。しかも、御嵩町に対して、仮に新可児駅から御嵩駅までの区間を維持とするならば、15年で17億6000万円という追加支援が必要であると説明していたらしいのです。
それでは、今後の広見線の末端区間はどうすべきなのでしょうか。選択肢としては、上記NHK記事の表現を借りるならば「名鉄が土地や車両の所有権を保有したまま、沿線の自治体が維持管理費を負担する方式」とするか(これは現在とほぼ同じである、またはあまり変わらないと言えます)、上下分離方式を採用して鉄道路線として維持するのか、鉄道路線の存続を断念してバス路線化するか、ということになるでしょう。可児市と御嵩町の意向は鉄道路線の存続ということでしょうが、そうなると財政の問題が浮上します。住民の意向にもよりますが、維持しうるのでしょうか。名鉄は、2025年6月に結論を出すようです。
困ったことに、名鉄には、存廃問題が他にもあります。西尾線の西尾駅から吉良吉田駅までの区間と蒲郡線の全線(吉良吉田駅から蒲郡駅まで)です。この付近では三河線の碧南駅から吉良吉田駅までの区間が2004年4月1日に廃止されており、鉄道離れが顕著だと感じさせる地域になっています。
もう少し書きましょう。存廃論議にはなっていませんが、知多新線も失敗路線として話題になることもあり、今後、議論の対象となりうるのではないかと考えています。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます