第193回国会法律案(「格差是正及び経済成長のために講ずべき給付付き税額控除の導入その他の税制上の措置に関する法律案」)の第4条は、「消費税に関する措置」という見出しの下に、大別して二つの事柄を定めています。このうち、第1項は「消費税の軽減税率制度及び適格請求書等保存方式は、導入しない」としています。軽減税率の不採用には賛同できますが、適格請求書等保存方式の不採用には疑問が生じます。
適格請求書等保存方式とは聞き慣れない言葉かもしれませんが、インボイス方式(の一種)と理解してよいでしょう〔国税庁の「平成31年10月1日〜 消費税の軽減税率制度が実施されます」(https://www.nta.go.jp/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/01.pdf)が参考になります〕。現在は単一税率ですので請求書等保存方式(アカウント方式)が採られていますが、これは日本だけのものであり、消費課税の仕組みとしては問題が多いものです。軽減税率など複数税率が採用されるようになると、請求書等保存方式では仕入税額の計算が適切に行われない恐れがあります。そもそも、EU諸国を初めとして、消費税(付加価値税)を採用している国々の圧倒的多数はインボイス方式を採用しておりますから、極端な表現かもしれませんが日本人以外は誰でもできる訳です。
2月16日の地方財政セミナーでも言った記憶がありますが、消費税についても日本はガラパゴス化しているということになります。そのガラパゴス化現象が消費税の導入以来、30年近く続いてきた訳ですから、世界標準に変えることは難しいでしょう。しかし、改めなければならないと考えています。長い目で見れば納税義務者である事業者のためでもありますし、短い目で見ても実質的な担税者(私は「最終的な担税者」と表現するほうが適切であると考えています)である消費者のためでもあります。消費課税の場合、消費者は(外国貨物の個人輸入の場合を除けば)納税義務者でないために、税をめぐる法律関係において「蚊帳の外」に置かれます。つまり、消費課税においては国と事業者の間に租税債権債務関係が生ずるのであって、消費者には生じないので第三者的な立場に追いやられるのです。それでいて最終的な負担が押しつけられるのが消費者ですから、ここは当然、消費者に法律上の保護、とまでは言えなくとも何らかの保護をする必要があります。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます