ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

この記事は読んで欲しい(とくに経済学者などに)

2012年04月17日 01時24分16秒 | 社会・経済

 4月15日付の朝日新聞朝刊39面14版に「町工場が消える  東京・大田区 30年で半減」という記事が掲載されています。デジタル版には、同日の3時付で「大田区の町工場、30年で半減   生産の海外シフト響く」として掲載されています(http://digital.asahi.com/articles/TKY201204140485.html?id1=2&id2=cabcaebf)。

 この記事は、とくに消費税増税論者によく読んで欲しいと思っています。また、経済学者などに熟読して欲しいものです。いつも思うのですが、日本の経済学者のうち、どれだけの人が、日本の産業を本当の意味で支えてきたものが何であるのかを知っているのか、という疑問があるからなのです。

 最近はあまり言わなくなりましたが、私は「部品屋の息子」を自称しています。とくに大分大学教育福祉科学部に勤めていた時は、弁護士や税理士、さらには公務員などに対し、口頭で、あるいはメーリングリストで「部品屋の息子」という言葉を使っていました。その理由は、私の出自によります。小学生時代(など)に医療機器の部品の運搬を手伝ったことがありますし、その部品への塗装も手伝ったことがあります。上手く行っていたら、私も部品屋になっていたかもしれません。あいにく、あまり器用ではなく、図画工作も美術も苦手なために、私は最終的に法律屋となったのでした。

 大学院を出て、28歳で大学の専任講師となり、法律屋とか経済屋とかの人々と接したりしたのですが、こうした人たちは、接する機会が多いはずなのに、意外なほどに中小企業や零細企業のことを知らないので、川崎市に生まれ育った私は何度も驚かされ、呆れさせられました。川崎市は町工場の多かった所なのです。今住んでいる溝口の周辺はとくに多かったのですが、ここ20年ほどでかなり少なくなってしまいました。

 そんな私は、川崎市や東京都大田区から町工場が少なくなっていることを真剣に憂えている者の一人です。日本人の多くは、自分たちを優れた技術や知恵などを持つ国民だと、過剰なほどに思い込んでいますが(本当にそうであれば、どうしてインボイス方式の消費税に反対するのでしょうか?)、少なくとも一部分については当たっています。困ったことに、その当たっている部分は大企業が持っていると思い込んでいる人があまりに多いのです。たしかに、大企業は知識をたくさん抱えているでしょう。しかし、本当の技術と知恵は中小企業や零細企業が持っている。こういうことが多いのです。それは、東京都大田区や川崎市に多かった町工場が実証しています。

 電器製品を分解すればわかりますが、東芝、日立、松下、ソニー、シャープ、などの大手企業の製品の部品は、同じ会社が作っていたりします。どうかすると同じ型番です。そんなことも知らない人が多いので、私は驚いたのです。

 「これでよく経済屋をやっているな」

 「トウシロでもわかることがトウクロにわからないとはね」

 それはともあれ、先程記した記事は、現在の日本、今後の日本を考えるためには必読です。

 〔注〕

 法律屋:世間で言う法曹や法律家を意味する、私自身の言葉で、講義などで多用しています。かなりの部分で卑称となっています。

  経済屋:経済学者、経済アナリスト、公認会計士、税理士などの稼業を漠然と指す私自身の用語。

 トウシロ:いわゆる逆さ言葉で、素人のこと。トウシロー、藤四郎などとも記します。

 トウクロ:これも逆さ言葉で、玄人のこと。これは私自身の言葉ではないかと思います。藤九郎と書いてもよいかもしれません。

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これ(ら)は読んでみたい

2012年04月15日 11時13分10秒 | 本と雑誌

 うちでは朝日新聞と日本経済新聞を購読しています。朝日新聞のほうでは、月に2回、GLOBEという日曜版が入っていますが、今日のG-13に「Bestsellers in Munich  ミュンヘンの書店から  ドイツ大統領は『盲腸』か象徴か」という記事が掲載されていて、3月19日付の雑誌Der Spiegelに掲載されたというノンフィクション部門のベストセラーが紹介されています。

 この中で、読んでみたいと思う本がいくつかありました。書名からして「読んでみたい」と思ったのが、Martin Wehrle, Ich arbeite in einem Irrenhausです。直訳すると「私は精神病院で働いています」という意味のタイトルで、記事には「雰囲気が悪くて神経のまいる職場についての警告の書」と紹介されています。日本でも同様の本が何冊か出ていますが、ドイツでも同じような問題があるのでしょう。

 また、その名もずばり「死について」という、Gian D. Borasio, Über das Sterbenは、終末期医療についての本だそうです。著者名からするとスペイン人かと思ったのですが、ミュンヘン大学教授だそうです。

 他にも、Rolf Dobelli, Die Kunst des klaren Denkens(訳せば「明晰な思考の術」)、先頃、Christian Wulff氏(日本では「ウルフ」と書かれることが多いのですが、ドイツ語の発音になるべく忠実に書くなら「ヴルフ」です)に代わってドイツ大統領に就任したJoachim Gauck氏のFreiheit、「健康食品とされているものの効果や安全性に疑問を投げかける」というHans-Ulrich Grimm, Vom Verzehr wird abgeraten、などが紹介されています。読みたくなるものばかりでした。

 ただ、東京でもドイツ語の書籍を購入できる店は限定されます。少しばかりは立ち読みしてからでないと、つまらない本を買わされることにもなるので、読んでみたいのですが、難しいかもしれません。何年か前まで神保町の北沢書店に寄っては目を通したりすることもできましたが、古書だけを扱う本屋になってしまいました。丸善などになるでしょうか。

 また、この中の何冊かは、おそらく日本語訳が出版されるだろうと予測しています。でも、原語で読んでみたいという思いもあるのです。

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何を聴こうかと迷った時には……(2)

2012年04月12日 00時10分54秒 | 音楽

 2011年12月23日付で「渋谷のBUNKAMURA地下1階で購入した2枚組CDがなかなか良い(妻がすぐに気に入りました)」として記事を書いた。取り上げたのは、渋谷のナディッフ・モダンで購入した2枚組CD、Dustin O'Halloran, Piano Solos Vol. 1 and 2である。渋谷区宇田川町にあるインパートメントが発売している。

 このピアノ曲集は、ぼくはもちろん、妻も気に入った。或る時、NHK総合テレビの番組(おそらく震災関係であったと記憶する)に、この2枚組CDに収録されている曲がバックに使われており、「さすがNHKだ」と感心したが、先に気づいたのは妻だった。

 You Tubeを見ていると、彼のコンサートかライブの映像も見ることができる。Opus 28が、ピアノと弦楽合奏で演奏されているというものである。他にも、美しい写真や動画とともに流れるというものがあり、ファンが少なくないということを知った。もっとも、ぼくが知る限り、日本人がアップした動画はない。

 また、ダスティン・オハロランは、日本ではあまり有名でないため、Piano Solos Vol. 1 and 2を初めとした作品の入手は難しいようである。ぼくもこの2枚組CDしか持っていないし、購入まで全く知らなかった。先月であったか、HMVのオンラインストアを見たらPiano Solos Vol. 1 and 2を購入することが可能であったようであるが、元々あまり出回っていないためか、今は入手困難らしい。iTunes Storeでは購入不能である(iTunesにCDを入れると「トラック1」などとしか表示されなかった)。

 しかし、有名でないということと、作品のグレードとは別の問題である。以前、ナクソスのCDの販売モットーにもあったように、有名な音楽家の演奏だから良いという訳ではなく、むしろ逆のことも少なくない。

 少し音量を落として、静かに流れるという感じで聴いてみるとよい。邪魔にならないBGMでもあり、深く聴きこむことができる芸術作品でもある。番号順に収録されていないのが難点と言えるかもしれないが、佳曲揃いの逸品として推薦できる。

 ここで、2枚組CDの収録曲を記しておこう。

  Disc 1: Piano Solos Vol. 1

  1. Opus 12

  2. Opus 13

  3. Opus 9

  4. Opus 14

  5. Opus 16

  6. Variazione Di Un Tango

  7. Opus 7

  8. Opus 15

  9. Opus 11

10. Opus 17

11. Opus 18

12.Fine

13. Opus 24 (Bonus Track)

  Disc 2: Piano Solos Vol. 2

1. Opus 20

2. Opus 22

3. Opus 21

4. Opus 23

5. Opus 26

6. Opus 34

7. Opus 28

8. Opus 35

9. Opus 30

10. Opus 38

11. Opus 37

12. Prelude N. 3 (Bonus Track)

13. Opus 54 (Bonus Track)

 先程記したように、どれも佳曲である。あえてぼくがとくに気に入った曲を番号順に記すと、Opus 7、12、17、20、28、30、35である。望むところを記せば、せっかくなので、Opus 1から番号順に並べて聴いてみたい、と思っている。

 こういう音楽がメジャーレーベルから販売されないから、日本の音楽業界が衰退するのも当然であろう。間章が1970年代に書いたように、日本の音楽業界は必要以上に音楽ファンを馬鹿にしている。今、どこかの集団が一人勝ちであるらしいが、大体、一人勝ちというのは繁栄の時期に生じない。一つの業界で一つの会社なり集団なり個人なりだけが勝利するということは、全体的に見れば確実に衰亡期の深みに入り込んでいるのである。

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何を聴こうかと迷った時には……(1)

2012年04月11日 22時52分20秒 | 音楽

 何か聴きたいけど、どれを聴こうか迷っている。

 こんなことがあるだろう。

 こういう時のために、ぼくは、2台のパソコンに入っているiTunesですぐに聴けるようにしておいた曲がある。それは、愛車の5代目ゴルフでも聴けるようにしてある。

 職業などからして意外に思われるかもしれないが、マヌエル・ゲッチング(Manuel Göttsching)の、あの名作、E2-E4である。

 大分大学に勤務していた時代に、どういうきっかけであったかを全く覚えていないが、あのマヌエル・ゲッチング(Manuel Göttsching)の名作、E2-E4を購入した。あまりに聴き過ぎて(とくに車の中で)CDを傷めてしまい、買いなおしたほどで、はまってしまった。

 不思議な音楽もあるもので、E2-E4は基本的に2つのコードのみで成り立っている。1小節で2コードなのか1コードなのかわからないが、2つのコードの循環パターンが延々と続く(1時間弱!)。まさしくテクノミニマルと言ってよい。後半にはゲッチングのブルース風味のギターソロが聴ける。

 1981年にベルリンで録音された。発売当初は酷評されたらしいが、今やテクノ、ハウスなどの元祖として、非常に高い影響力を誇っている。

 昨年の文化の日に、妻と東京タワーに行き、そこの店でE2-E4 LIVE IN JAPANという、CDとDVDのセットを買った。録音から25年後に日本で録音・録画されたもので、1時間を超える。Power BookかMacBook Proが中心で、シンセサイザー、そしてギブソンのギター。全てゲッチング一人の演奏である。これにも見事にはまってしまい、うちにいる時にはよく聴いており、少なくとも一週間に一度は部屋で流れている。

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坂戸橋

2012年04月10日 22時14分10秒 | まち歩き

 川崎市高津区の北のほうには、二ヶ領用水が流れています。川崎市の歴史を語るに欠かせない存在であり、私が小学生であった1970年代には、小学校で使用する副読本にもかなりの頁を割いた上での解説などが書かれていました。

 田園都市線高津駅から国道409号線、通称府中街道を東のほうへ向かい、東二子バス停の近くにある交差点を右に曲がりますと、坂戸橋に着きます。この辺りは、坂戸二丁目、北見方一丁目、二子六丁目の境界です。

2012030301

 この辺りでは改修が行われており、水路のコースも変えられています。昔の用水は、上の写真で右側に見える道をコースとしていました。現在は二子坂戸緑道となっています。

 ちょうど緑道の入口に、石橋供養塔があります。寛政5年と言いますから、西暦に直せば1793年、ここに石橋が架けられました。昭和16年、つまり1941年、用水の流路が変えられ、石橋のあった場所より少し北側に流れるようになった、と案内板には書かれています。それと同時に、流路は直線的になった訳です。

 実際に歩いてみるとわかりますが、二子坂戸緑道はかなりカーブの多い道で、これには当時の様々な事情が背景にあるものと思われますが、多雨による溢水も多かったために用水の流路が変わったのではないでしょうか(但し、二子坂戸緑道を歩き切り、かながわサイエンスパーク方面から府中街道に抜ける道路へ出てみると、案内板の記述には疑問も出てきますが)。

 緑道は坂戸一丁目へ抜けます。昭特製作所、川崎電線など、大小問わず工場の多い所です。東証一部に上場している、精密機械で有名なミツトヨの従業員住宅も近くにあります(本社が坂戸一丁目にあるのです)。久本三丁目に東芝玉川工場、NEC東京第二工場などがあったこと、坂戸三丁目に池貝鉄工の工場があったこともあり、坂戸や久本は町工場の多い場所でした。現在も、二子坂戸緑道の周囲では町工場を見ることができます。

2012030302

 歩道の形状から、ここが橋であったことがわかるようになっています。昔からの住宅、工場、マンションが並存する場所で、農地も残っていますので、新しさと懐かしさが共存する、一種独特の雰囲気を持っているのです。小学生時代から、私はこの辺りを好んでおり、自転車でよく走っていました。

2012030303

 町の境界が、地図でも少しわかりにくくなっていますが、大まかに言えば、手前の電信柱から奥の左側が二子六丁目、右が北見方一丁目です。現在の橋が中央に写っています。

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桜の花 歩きながら、身近な場所で花見

2012年04月08日 11時51分29秒 | まち歩き

 先週から桜の花が満開になり、見頃です。まだ少し寒いですが、花見のシーズンということで、名所では多くの人が集まって賑わっていることでしょう。

 今回は、極私的な花見の話です。桜の花が美しいところは、何も名所と限らないということで、田園都市線沿線を中心に私が知っている場所を記していきます。なお、写真はありません。

 (1)田園都市線たまプラーザ駅周辺

 昨日、妻と久しぶりにたまプラーザへ行きました。この駅の周辺の桜と言えば、車で走ると少しばかり贅沢な気分になれるのです。

 川崎市宮前区との境、東名高速道路の付近から坂を下り、大坪バス停を経由してたまプラーザ駅前に出る道が、隠れた名所の一つです。昨日も、たまプラーザテラスと東急百貨店との連絡道から桜並木を眺めている人たちが多かったのでした。実際に見ると、なかなか「圧巻」という感じがします。

 車が往来する道路の並木ですから、茣蓙を敷いて酒盛りという訳にはいきません。歩道もそれほど広くないので、まさに歩きながら楽しむというところでしょう。それが良いところなのです。

 この桜並木は、たまプラーザ駅から少しばかり東のほう(鷺沼駅方面)に歩いたところにある、郵政宿舎とCOGGEYの交差点から美しが丘東小学校前交差点の辺りまでも続いています。この通りもなかなかのものです。そして、その交差点のすぐそばに美しが丘公園があり、ここにも桜の木があります。昨日は桜祭りが行われていました。

 土日の渋滞が難点ではありますが、歩きながら愛でるのであれば一押しと言えます。

 (2)二ヶ領用水

  川崎市の歴史を語る際に外すことはできないこの用水路は、多摩区から幸区まで伸びています。私が小学生であった1970年代は水質の汚濁がひどく、どぶ川と化していましたが、1980年代から徐々に浄化され、現在では鯉なども棲み着くようになりました。

 桜ということでは、私が知る限りではありますが、溝の口駅と高津駅との間がおすすめです。とくに、溝口二丁目と三丁目との間、旧大山街道から国道246号線までの区間でしょうか。短い間ですが、ここも歩きながら愛でるということであればおすすめです。

 ちなみに、二ヶ領用水沿いの道路は、幅が狭く、自動車が通行できない箇所も多いので、注意が必要です。

 (3)高津小学校

 高津区で最も伝統のある小学校では、溝口四丁目と五丁目との境界の辺りがとくに美しい場所です。ここも、茣蓙を敷くような場所ではないのですが、散歩をするにはうってつけのところです。

 (4)緑ヶ丘霊園

 この名称は霊園に多いような気もしますが、JR南武線の津田山駅のそばにある霊園です。昔からの名所で、花見のシーズンとなると多くの人が訪れ、茣蓙を敷いて酒盛りをしたり、お弁当を広げたり、中には焼肉をやったりする人もいます。お墓の中で花見というのも変な話ではありますが、死者の霊とあれこれ語り合い、歌って踊って騒いで精進落とし、ということなのでしょうか。

 それはともあれ、手頃な場所なのがよいのでしょう。霊園の入口のそばにはマックスバリュもあります。但し、曜日によっては駐車場がすぐに満車になりますので、御注意を。

 (5)梶ヶ谷第一公園

 地元ではよく知られているのですが、或る意味で隠れた名所でもあります。近くにコジマNEW梶ヶ谷店があり、ドアーズ梶ヶ谷店であった時代から何度も行っていますので、私もこの公園を知っています。シーズンになると花見客が多く、屋台が出たりすることもあるのです。

 梶が谷駅の改札を出たら目の前の道路を右へ進みます。高津郵便局の前を通り、姿見台交差点を直進すると下り坂になります。次の信号を右折し、少し歩くと着きます。

 この公園は、南西のほうが丘になっています。かなり起伏のある地形であるため、花見にはうってつけの場所ともなっています。近くの道路が狭いため、車で行くことはおすすめできませんが、健康のためのウォーキングには最高のコースですので、ぜひ、歩いて行ってみてください。

 他にもたくさんあるのですが、今回はこの辺で。「花の命は短くて」という言葉の通り、もうじき、シーズンも終わります。

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新玉川線開通35周年

2012年04月07日 11時30分28秒 | 写真

 今日は新玉川線開通35周年の日です。朝、渋谷で講義をしたので、終わってから田園都市線渋谷駅で記念入場券セットを買いました。東急の記念乗車券などはこれまでにも色々と購入しましたが、今回は久しぶりに買いました。

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 全て硬券です。渋谷駅と二子玉川園駅(現在の二子玉川駅)の券は使用できませんが、池尻大橋駅、三軒茶屋駅、駒沢大学駅、桜新町駅および用賀駅の券は利用できます。

 しかも、この5駅の券にはそれぞれのステーションカラーも使用されています。池尻大橋駅はオレンジ、三軒茶屋は黄色、駒沢大学は緑、桜新町は桜色、用賀駅は水色です。

 35年前と言えば1977(昭和52)年です。その年の4月と言えば、私は小学校3年生になったばかりでした。時の流れは速いものだと実感しています。

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 1977(昭和52)年4月7日、渋谷~二子玉川園の路線が開通しました。1969(昭和44)年に廃止された、やはり渋谷~二子玉川園の玉川線を継承しつつ、地下路線として生まれ変わったということで、新玉川線という名称になりました。

 開通後、11月には田園都市線と新玉川線との直通の快速が運転を開始します(当時、田園都市線は大井町~つきみ野の路線でした)。1978年8月には半蔵門線の渋谷~青山一丁目が開業すると同時に新玉川線との直通運転を開始します。車両は全て東急8500系でした。1979年8月2日には田園都市線・新玉川線・半蔵門線の直通運転が開始されます。これが現在まで続いている訳です。

 渋谷~二子玉川園が新玉川線、二子玉川園~中央林間(1984年4月9日開業)が田園都市線と分かれていましたが、ほとんどの電車は直通していたこともあり、2000年8月6日、新玉川線は田園都市線に編入されます(それと同時に二子玉川園駅も改称され、二子玉川駅となりました)。2003年3月19日からは、半蔵門線を経由して東武伊勢崎線・日光線への直通運転も開始されています。

 大学生時代に神保町などへ行くために利用する機会が増え、大学院生時代は通学路線として利用していました。そして、2010年4月からは通勤路線として利用しています。これからも利用し続けたいものです。

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法律学の勉強の仕方(その5) 六法の話

2012年04月06日 08時56分27秒 | 法律学

 昨年の12月3日付で「法律学の勉強の仕方(その2) まずは条文を読む」という記事を掲載しました。今回は、その続編のような内容です。

 今年度も1年生の講義を担当します。教科書はもちろん、六法も持参するように言います。小テストでは、六法を持参していないと解けないような問題も出します。そうでなくとも、必ず六法を持参し、講義が始まる前に机の上に出し、開いておくくらいの心構えが必要です。

 さて、その六法ですが、元々、憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法の六つが日本の法体系の基本であることから名づけられています。従って、一般的な六法であれば、必ずこの六つが掲載されています。

 そうは言っても、六法をどこで入手すればよいのかわからない、あるいは、どのような六法を入手すればよいのかわからない、という方もおられることでしょう。実際、六法が置かれていない、つまり売られていない書店も少なくありません。町の小さな書店では置かれていないことのほうが多いでしょう。大学生であれば、大学生協の書籍コーナーで購入すればよいということになりますが、法学部のない大学の生協には、もしかしたら置かれていないかもしれません。置かれているとしてもすぐに売り切れることも少なくないでしょう。生協のない大学などでは入手することが難しいかもしれません。

 大学生協や最寄の書店に置かれていない場合は、大きめの書店に行ってみてください。田園都市線を通勤路線として利用している私が例を示しますと、渋谷のジュンク堂、ブックファースト、紀伊国屋、二子玉川の文教堂、紀伊国屋、溝口の文教堂本店、たまプラーザの有隣堂、青葉台のブックファースト、そして半蔵門線神保町の三省堂書店、書泉グランデ、東京堂書店、といったところです。

 さて、こうした書店に行くと、今度は、六法と一口に言っても様々なタイプのものが売られていることに驚かされるかもしれません。小型のものもあれば大型のものもあり、特殊な分野の六法もあります。私も、そのようなものを何種類か持っていますが、学生の場合、特殊な分野を学んだりするのでない限り、必要はありません(但し、講義や演習を担当する教員の指示に従ってください)。

 まず、大学に入ったばかりの学生、つまり1年生の場合です。法学部であっても他の学部であっても同じことですので、注意して読んでください。

 大学によってカリキュラムが異なりますが、おそらく、どの大学であっても1年生で法学(これにも様々な名称があります)や憲法の講義はあるでしょう。法学部であれば民法総則や刑法総論の講義があるはずですし、教育学部であれば憲法の講義は必修となっているはずです。私が大分大学教育福祉科学部に勤務していた時には、1年生向けとして日本国憲法と法律学概論(社会科教員免許取得のための科目)、法学(社会福祉コースなどの科目)を担当しており、憲法は勿論、民法と刑法、場合によっては刑事訴訟法、内閣法、国会法などの参照も指示しておりました。おそらく、多少の違いはあれ、憲法、民法および刑法は、憲法や法学の講義で参照する必要が出てくるでしょう。

 そのために、1冊の六法が必要となります。1年生ですから、いきなり大型の六法(たとえば有斐閣から刊行されている『六法全書』)など使いこなすことなどできません。分厚くて重く、持ち歩けませんし、条文を探すのも一苦労です。どうかすると分冊になっているので面倒です。こういうものは勉学が進んでから選ぶものです。また、中型の六法(かつて有斐閣から刊行されていた『小六法』、現在刊行されている『判例六法Professinal』、三省堂から刊行されている『模範六法』、岩波書店の『岩波基本六法』)も、書籍としてはかなり分厚いものですから、或る程度は学習が進んだ人向けです。法学部で言えば3年生以上に向いています。従って1年生では無理です(但し、法科大学院の場合は別です。後に述べます)。

 以上から、1年生の場合は小型の六法ということになります。実はこのタイプでも様々なものが刊行されており、非常に薄いものもあれば横書きのものもあります。判例の要旨を示す六法(これを判例六法と言っています)もあれば解説が付されているものもあります。最近ではiPadやIPhoneなどで利用できるように電子データによる六法も発売されています。

 しかし、法律学を基礎から習得するという観点からすると、私を初めとして法学部の教員の多くは、有斐閣の『ポケット六法』、岩波書店の『セレクト六法』、三省堂の『デイリー六法』のいずれかを選ぶように指示するはずです。この三点の中のどれかを選んでいただきたいものです。書店で一読して(これは必要なことです)、読みやすい六法を選んでください。

 何故、この三点を推薦するかと言えば、長い間の実績や評価による部分もあります。しかし、それだけではありません。収録されている法律の数が、1年生や2年生の段階にとって適切であるというのが大きなところですが、その他にも理由はあります。

 まず、あまりに薄い六法では学習に支障を来します。憲法、民法、刑法を学習するとは言っても、講義では、先程も記したように国会法などの法律を参照することもあります。内閣法、国家公務員法、地方自治法、不動産登記法、軽犯罪法、刑事訴訟法、民事訴訟法、などです。薄いということは、収録されている法律の数が少ないということですから、肝心の条文を参照することができないということにもなりかねません。同じような理由で、あまりに小さなサイズの六法もお勧めできません。

 次に、横書きの六法もお勧めできません。最近では横書きの書籍も多いですし、パソコンなどでは横書き表示なので、そちらのほうが読みやすくなっていることは事実です。裁判所の判決ですら横書きになっています。しかし、講義の場では、六法は縦書きのものを選べと強調しています。

 そもそも、日本語は本来、縦書きの言語です。漢数字を使ってみればすぐにわかります。これを受けて、日本の法律は、正式な表記としては現在も縦書きであり、漢数字を使います。将来、法律も横書きになれば話は別ですが、縦書きが正式である以上、慣れていただかなくてはならないのです。1年生の段階から横書きの六法しか使っていないのでは、いつまでたっても正式な表記の条文を読めないということになりかねません。

 さて、前に示した三点は、いずれも判例六法ではなく、解説も付されていません。1年生の段階では、判例六法を選ばないように指導している教員も多いはずです。その理由の一つは法律の収録数にあります。判例の要旨や解説がついているということは、それだけ収録数が少なくなるということを意味します。もう一つの理由は、試験で六法の参照を可としている科目が多いことで、判例の要旨や解説がついていたのでは最初からカンニングを許しているようなものであるからです。さらに、もっと重要な理由をあげれば、法律学の学習の第一歩は条文を読むことであって、何が書かれているのかということを条文そのものから情報として得る能力を養わなければなりません。そのためには、始めに文理解釈が求められます。判例の要旨も解説も、解釈の一つにすぎません。他にも解釈があり得るから判例などがある訳です。素読には判例の要旨も解説も不要なのです。判例六法は非常に便利で、私も使っているのですが、これは学習が進み、或る程度は判例や学説のことがわかるようになる2年生以上になってからでよいでしょう。

 最後に、電子データによる六法は、1年生の段階では絶対に避けてください。法令を示すサイトの利用についても同様です。これについては、少し詳しく記すこととします。

 理由のその一は、電子データの場合、CDーROMであれサイトであれ、横書きであることです。先程記したように、日本の法令は縦書きを大原則としておりますので、横書きでは学習の意味が弱まります。

 その二は、内容が正確でない可能性が高いという点です。実は私自身も電子データを利用することがありまして、よく使うのはぎょうせいから刊行されている税務六法や自治六法のCD-ROM(データはPDF版です)、e-govの法令検索ですが、出版社から発行されるCD-ROMは信頼性が高いとしても、とくにサイトの場合は不正確なものが多く含まれているということです。この点については、e-govの法令検索サイトにも次のように記されています。

 「本システムで提供する法令データは、総務省行政管理局が官報を基に、施行期日を迎えた一部改正法令等を被改正法令へ溶け込ます等により整備を行い、データ内容の正確性については、万全を期しておりますが、官報で掲載された内容と異なる場合は、官報が優先します。

 総務省は、本システムの利用に伴って発生した不利益や問題について、何ら責任を負いません。」

 官庁のサイトは、比較的信頼性の高いものです。PDFファイルを活用することが多いためです。しかし、法令を所管する官庁のサイトですら官報優先ですから、その他のサイトについては推して知るべしです。実際、私的なサイトなどをみていると、スキャナで読み取ったものを使っているためか、誤記や誤表示が目立ちますし、改正に対応していないものもあります。校閲が徹底していないものは、利用しないほうがよいのです。あくまで、最近改正された法律の条文を確認する程度に留めておくのが無難でしょう。

 理由のその三は、クロスレファレンスなどのしにくさです。条文が多い、あるいは一つの条文が長いというような法律の場合、書物であればせいぜい頁をめくる程度で、一目で見ることができるのに対し、電子データの場合は、どのような機械を使うにせよ、スクロールなどをしなければなりません。これでは内容の理解に時間がかかります。また、同じ法律の他の条文を参照する場合は楽であるとしても、他の法律の条文を探すのには時間がかかります。多少の慣れは必要であるとしても書物の六法のほうが楽に素早く参照できます。

 理由の第四は、紙データのほうが電子データより目に優しいという点です。これは当然のことでしょう。また、充電する必要もなければ、スイッチを入れたりする必要もありません。一時期、電子メモ帳(たとえば、10年ほど前に大流行した、シャープのザウルス)がもてはやされ、あっという間に廃れましたが、私は便利というよりかなり不便であることがわかっていましたので、買ったことがありません。それで大正解でした。メモは紙のほうが楽で使い勝手がよいのです。

 理由の第五は、紙ならば書き込みが簡単にできるということです。逆に、電子データでは書き込みなどを楽に行うことができません。教員によって指示が異なるので何とも言えない部分もあるのですが、六法であれ教科書であれ、紙の冊子の場合であれば書き込みをしたり付箋を貼ったりして、自分だけのものにすることができます。これが重要なのです。私は、講義の際に、「ここは重要であるから、下線を引くなりマーカーで塗るなりしておきなさい」と言うことがあります。紙ならば簡単にできます。最近では消しゴムで消せるボールペンなども発売されていますし(私も愛用しています)、ただ電子データを見るより、教科書や六法を読んで下線を引いたり書き込みを加えたりするほうが、記憶に良いという訳です。こうしておくと、後で読み返す際にチェックをすることもできます。学習の際には手を動かすこと、字を記すことが大切なのです。

 以上は、主に学部の1年生を念頭に置いて記しました。法科大学院の学生の場合も、基本的な部分は同じです。但し、六法については若干異なります。私自身は大東文化大学の法務研究科の講義のみを担当しているので(しかも前期だけですので)、詳しいことはわかりませんが、大東の法科大学院の期末試験では司法試験六法が貸与されますし、講義でもその六法を参照することが多いでしょう。従って、司法試験六法を用意すれば十分です。但し、科目によっては税務六法など、特殊な分野の六法を参照する必要がありますので、講義担当者の指示に従ってください。

 講義時期の開始に合わせて、六法に関して長く記しました。参考になれば幸いです。

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東京都杉並区が学校選択制を廃止する方向

2012年04月01日 18時51分09秒 | 受験・学校

 2011年12月28日付で「学校選択制の効果はどの程度なのか?」と題して投稿しました。そこで、学校選択制の問題などについて記しました。

 今日(4月1日)付の朝日新聞朝刊39面14版に「学校選択制 廃止へ  杉並区、23区で初めて」という記事が掲載されています。それによると、杉並区教育委員会が、学校選択制を2016年度に廃止する方針を固めたとのことです。

 東京の特別区では、杉並区、品川区をはじめ、16区で学校選択制が導入されています。杉並区は、最初に廃止を決めたことになります。

 廃止の理由ですが、やはり、一部の学校に人気が集中するという問題があります。しかも、必ずしも教育と関係のない部分で学校が選ばれるという傾向もあるようです。これでは選択制の意味がないでしょう。

 杉並区では、いつのことか記事に書かれていませんが、PTA役員、学校長を対象にアンケートを行いました。その結果、3分の2が学校選択制の廃止または見直しが必要と回答したようです。

 このブログでも何度か記しておりますように、学校選択制は公立学校に競争原理を入れ、活性化を目指すという制度です。従って、競争原理がある限り、希望校や人気校が一部に偏るのは当然のことです。そうでなければ競争になりません。

 しかし、競争が成立するためには一定の条件が必要です。第一に、教育の方針や内容に関する情報が正確に、児童、生徒、保護者などに示されることです。適切な情報提供、情報公開がなければ、最初から競争は歪められてしまいます。朝刊の記事にも「事実に基づかないうわさで希望者が激減したりする」ことがあるという趣旨が書かれていました。

 第二に、地理的条件、人口条件があります。これまでは記していなかったのですが、よく考えてみれば、学校選択制が成立しうるのは、或る程度の地理的条件と人口条件を満たさなければならないことがわかります。もっとも、厳密にどの程度の要件を満たす必要があるかということはわかりませんが、たとえば人口が1000人程度の村では無理であることは自明です。また、面積が広大に過ぎれば無理です。つまり、都市でなければ、導入するなどということはできない相談なのです。小学校および中学校は原則として市町村立であることを念頭に置いていただければ、どの程度の規模であれば学校選択制が可能か、考えることは可能です。

 また、政令指定都市の場合、人口だけで言えば選択制を導入することは可能なのですが、地理的条件という別の問題があります。大阪市では地理的条件を無視しているようですが、公立学校と私立学校とでは話が違ってきます。横浜市を例に取ると、たとえば、金沢区の小学生が青葉区の小学校へ通うというのは、通学時間からしても無理でしょう。

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