ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

Peter Brötzmann氏が死去

2023年07月13日 00時29分00秒 | 音楽

 今日(2023年7月13日)になってから知ったのですが、6月22日にPeter Brötzmann氏が死去していました。

 日本のメディアでどの程度報じられていたのかは知りませんが、御存知ない方のほうが多いと思われます。ドイツ出身のリード奏者で、サックス、クラリネットなどを演奏していました。フリー・ジャズ、あるいはフリー・ミュージックの分野で活躍していた人です。

 私は、10代後半から20代前半にかけて、六本木WAVEでFMP(Free Music Production)のLPを探しては買っていました。最初に買ったのはAlarm(FMP 1030)で、これには近藤等則氏も参加していました。それからしばらくして、少なくともヨーロッパのフリー・ジャズでは最高傑作であるといえるMashine Gun(FMP 0090)を購入しました。CDで再発された時も購入したくらいで、一体何度聴いたことでしょう。一時期は車を運転する時に流していたくらいでした。この他、FMP 0130なども繰り返し聴いていたくらいです。

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阿武隈急行の現状

2023年07月10日 00時00分00秒 | 社会・経済

 7月8日にJR東日本の平均通過人員(厳密ではないですが輸送密度と同じと考えてよいでしょう)の話を記しました。そこで見たように、東北地方の路線に見られる惨状とも言える状況が存在するのですが、これは別にJR東日本に限られたことではなく、私鉄(第三セクターを含む)も同様です。

 今回は阿武隈急行を取り上げます。2023年7月9日の6時付で、河北新報社のサイトに「阿武急、膨らむ財政支援 負担割合巡りザワつく宮城の沿線3市町」という記事(https://kahoku.news/articles/20230708khn000053.html)が掲載されており、他に2023年5月24日5時付で「阿武急の輸送人員、過去最低128万人 2022年度」(https://kahoku.news/articles/20230523khn000065.html)、2023年4月11日5時付で「阿武隈急行経営改善策 宮城県が沿線3市町と協議へ 検討会での意見すり合わせ」(https://kahoku.news/articles/20230410khn000056.html)という記事が掲載されていますが、いずれも有料記事で、会員でない私は参照できませんので、7月9日付記事を参考にし、引用も行いつつ記していきます。

 まず、阿武隈急行とはどこの鉄道路線であるかを書かなければなりません。この会社は福島県伊達市に本社を置く第三セクターで、福島県、宮城県および福島交通が大株主というところでしょうか。他に福島市などが株主として名を連ねています。運営している鉄道路線は阿武隈急行線で、東北新幹線と山形新幹線(奥羽本線)の分岐点である福島駅から、梁川駅、丸森駅を経由して東北本線の槻木駅までを結ぶ約55キロメートルの路線です。

 第三セクターであることについては理由があります。阿武隈急行線は、元々、鉄道敷設法別表第27号の「福島県福島ヨリ宮城県丸森ヲ経テ福島県中村ニ至ル鉄道及丸森ヨリ分岐シテ白石ニ至ル鉄道」と同第21条ノ2の「宮城県槻木附近ヨリ丸森ニ至ル鉄道」として予定されていたものです。より正確には、第27号のうちの福島駅〜丸森駅と第21条ノ2の槻木駅〜丸森駅とを合わせた路線です。福島駅から槻木駅までは既に東北本線が通っていましたが、勾配区間があったことから東北本線の輸送力増強のための迂回路として1957(昭和32)年に調査線となり、1959(昭和34)年に着工されました。槻木駅から丸森駅までの区間は、1968(昭和43)年に丸森線として開業します。

 しかし、1961(昭和36)年には東北本線の福島駅から仙台駅までの区間が電化され、1967(昭和42)年には福島駅から槻木駅までの区間が複線化されました。こうなると、福島駅から丸森駅までの区間を開業させる意味が薄れてきます。東北本線の電化と複線化が進められているのであれば、早く丸森線などの建設をやめればよかったのですが、実際には進められており、福島駅から丸森駅までの区間は1974(昭和49)年に竣工していたようなのですが、国鉄は引き受けなかったようです〔川島令三『全国未成線徹底検証国鉄編』(2021年、山と溪谷社)67頁によります〕。結局、丸森線は第一次特定地方交通線に指定され、国鉄の路線としては廃止されることとなりました。

 こうして、福島駅〜丸森駅〜槻木駅は、第三セクターの阿武隈急行に引き継がれました(丸森線の部分が先行)。1988(昭和63)年には交流電化の上で全線が開業しました。既に電化されていた国鉄またはJRの路線を引き継いだIRいわて銀河鉄道、青い森鉄道(いずれも東北本線の一部)、IRいしかわ鉄道、あいの風とやま鉄道、えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン(いずれも北陸本線の一部)などのようなところは別として、交流電化された私鉄・第三セクターの普通鉄道は珍しいのですが、東北本線への乗り入れのためであるとは言え、交流電化が阿武隈急行の経営に負担を強いるものになっているのではないかと考えられます。

 さて、阿武隈急行の経営に関する話となりますが、第三セクター鉄道らしい問題であると言えるものであり、財政支援をめぐる問題です。2022年度決算では、輸送人員が128万9741人であり、経営損失が5億6421万円、累積赤字が14億2963万円であるとのことです。上記河北新報社記事には、2019年の台風19号による豪雨、2021年および2022年の福島県沖地震という災害が示されており、COVID-19による影響が上乗せされたことが書かれていますが、おそらくもっと前から赤字が続いていたものと思われます。今年の3月に、阿武隈急行線在り方検討会なる組織が設置され、上下分離方式の導入も含めた経営方式の変更なども合わせて、経営改善について議論を進めていますが、ここで沿線自治体の負担額および負担割合が争点となっています。

 上記河北新報社記事によると「阿武隈急行への財政支援の地元負担割合」は次の通りです。

 宮城県側 宮城県50%、県内3市町(柴田町、角田市、丸森町)50%

      県内3市町の負担のうち、25%を3市町で均等割、残りの25%を定期券利用者によって分割する(柴田町が16%、角田市が65%、丸森町が19%)。

 福島県側 福島県50%、県内2市(福島市、伊達市)50%

      県内2市町の負担のうち、25%を営業距離で分割し(福島市が35%、伊達市が65%)、残りの25%を駅利用者で分割する(福島市が64%、伊達市が36%)。

 以上の負担割合に対して異議を申し出たのが柴田町です。同町には槻木駅と東船岡駅があり、同町が問題として掲げたのが、東北本線との乗換駅である槻木駅の定期券利用者数でした。乗り換えと言っても、改札口が全く別になっていない限り、改札を通ることなく乗り換えることができる訳ですから、実際にどれだけの人が純粋に駅を利用しているのかがわからないということになります(余談ですが、例えば私のように東急田園都市線の電車に乗ってそのまま東京メトロ半蔵門線の永田町駅、神保町駅あるいは大手町駅まで乗るか、表参道駅で銀座線に乗り換えて銀座駅や上野駅に行く場合、私は実際に渋谷駅で降りたりしなくとも渋谷駅の改札口を通ったものとして勘定されます。一方、表参道駅を利用したものとはみなされません)。そこで、やや漠然とした感じがしなくもないのですが「このため、槻木駅発着の定期券購入者の5分の1を駅利用者と見なす運用が1997年から行われている」とのことです。正直なところ、意味不明な点もあるのですが、それは脇に置くとして、「これにより、2021年10月~22年9月の柴田町内2駅(槻木、東船岡)の定期券利用者数は7万9492人となったが、滝口町長は『実際はもっと少ない』と言い切る。町が23年2月に行った高校や主要企業への調査で、2駅の定期券利用者は年間3万6000人程度と推計されたという」。槻木駅がJR東日本の管轄下にある業務委託駅であり、阿武隈急行の駅係員はいないので、みなし運用が行われているのかもしれず、定期券利用者数についての曖昧さの原因となっているのかもしれません(これは私の勝手な想像です)。

 また、柴田町からは、利用者数の比率と負担割合とが釣り合っていないことが指摘されています。やはり上記河北新報社記事によると「21年10月~22年9月の角田市の定期券利用者数は31万3058人。柴田町とは約4倍の差があるが、均等割りを加えた負担額(22年度)になると角田市が約2億3600万円、柴田町が約1億1900万円と2倍差にとどまる」とのことです。そこで、均等割をやめるという提案がなされたのでした。

 そもそも均等割を導入した理由が上記河北新報社記事にも書かれていないのですが、合理的なのでしょうか。利用者数や営業距離の割合で負担額を決めるのが通例でしょう。

 しかし、柴田町が見直しを訴えるとしても、他の市町が受け入れるとは考えにくいでしょう。いかに柴田町の負担が増え、2018年度には約1300万円であったのが2022年度または2023年度には10倍以上になっているとしても、長らく均等割で行われていた以上、慣例のようになっていることから、変更するのは難しいのです。

 阿武隈急行の経営状態を見直すためには、まず出資者の出資割合などを見直すことが必要であるということになるようです。沿線自治体の足並みが揃わなければ、経営再建が進まないこととなるでしょう。そればかりでなく、存続か廃止かが問題となる場面において大いなる紛糾が容易に想像されます。

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東急5000系5120Fを車両別に撮影してみた

2023年07月09日 08時00分00秒 | 写真

高津駅(DT09)で東急5000系5120Fを撮影してみました。今回は車両別です。

まずは10号車のクハ5020です。

9号車のデハ5920です。

 8号車のサハ5820です。車体のステンレスの色が他の車両と異なることが一見でわかりますが、これはかつて6扉車が編成中に3両組み込まれていており、ホームドアの設置のために6扉車が4扉車に置き換えられたことを意味します。この5120Fは、6扉車が入っていた編成のうち、最も早く全て4扉車化されて営業運転を開始したものです。

 輸送形態の変化のために、5000系では度々編成替えが行われており、東横線で運用されている5050系の一部の編成にも5000系であった車両が組み込まれています。

7号車のデハ5720です。

6号車のデハ5620です。

5号車のサハ5520です。この車両も6扉車に代わるものとなっています。

4号車のサハ5420です。この車両も6扉車に代わるものとなっています。

3号車のデハ5320です。

2号車のデハ5220です。

1号車のクハ5120です。

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JR東日本が輸送密度を公表

2023年07月08日 12時45分00秒 | 社会・経済

 昨日(2023年7月7日)の20時27分付で、読売新聞社のサイトに「JR東日本が『輸送密度』公表、路線の3割が『存廃検討』レベルの厳しい実態」という記事(https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230707-OYT1T50203/)掲載されていました。インターネットの記事であるためなのか、あまり詳しい記事とは言えず、「政府が存廃検討の目安とする1000人未満の路線は全体の3割弱の30路線55区間だった。ローカル線の厳しい利用実態が改めて示された」と書かれていても、どこがそうなのか、よくわかりません。久留里線の久留里駅から上総亀山駅までの区間は明示されていましたが、これまでに何度も取り上げられているところであり、新味はありません。

 そこで、JR東日本のサイトを参照してみます。「路線別ご利用状況」(https://www.jreast.co.jp/rosen_avr/)というページがあり、そこから「路線別ご利用状況(1987~2022年度(5年毎))」というPDFファイル(https://www.jreast.co.jp/rosen_avr/pdf/rosen_all.pdf)などに移ることができます。

 2020年度および2021年度はCOVID-19のために鉄道各社の輸送人員が極端なまでに減少しており、2022年度は多少回復の兆しが見られたという程度であると言える状況です。これは私の体感的な印象でもありますが、JR東日本で最も平均通過人員が多い山手線(正式の区間である品川駅から新宿駅を経由しての田端駅までの区間)の2017年度の平均通過人員は112万4463人、2022年度の平均通過人員は87万2143人となっており、同社による別の資料(グラフ)を参照すると2020年度における落ち込みが激しいのです。また、意外なことですが、JR東日本発足年度である1987年度を100とした指数で見ると、2020年度でも100を超えている路線があります。京葉線(この路線のみ1990年度を100とする)、武蔵野線、横浜線、南武線、埼京線(但し、正式には赤羽線および東北本線の一部)、東北本線、相模線、川越線です。一方、東北地方の在来線は、やはり1987年度の平均通過人員の指数を100とした場合の変化を見ると同年度から一貫して低下している、または1992年度にピークを迎えてから低下しているという傾向が見受けられます。いずれにしても慎重な検討が必要であると考えられますが、とりあえず、JR東日本が公表したデータを見ておくこととします。

 まず、上記読売新聞記事で「全体のほぼ半分に相当する、44路線99区間はすでに、国鉄時代に廃線してバスに転換する基準とされた輸送密度4000人未満となっている」と書かれているので、2022年度で平均通過人員が4000人未満となっている路線・区間をあげていきます。比較のために、かっこ書きで2017年度の平均通過人員もあげておきましょう。路線名の前に付した数字は「路線別ご利用状況(1987~2022年度(5年毎))」に従ったものであり、路線別での平均通過人員の順となっています。

 9.中央本線 全体〔神田〜代々木および新宿〜塩尻(みどり湖経由、辰野経由):124,981(159,548)

        岡谷〜辰野:2,512(2,952)

        辰野〜塩尻:433(592)

 12.東北本線 全体〔東京〜盛岡(王子および仙台経由、尾久経由)、赤羽〜大宮(武蔵浦和経由)など〕:69,654(83,778)

        黒磯〜新白河:3,402(2,410)

        小牛田〜一ノ関:2,571(2,187)

 13.青梅線  全体(立川〜奥多摩):52,972(63,266)

        青梅〜奥多摩:3,420(3,979)

 14.常磐線  全体〔日暮里〜岩沼(土浦経由)など〕:52,808(71,631。2017年度には一部区間で運転見合わせが続いたので参考値)

        いわき〜原ノ町:1,592(2017年度には一部区間で運転見合わせが続いたので数値が示されていない)

         原ノ町〜岩沼:3,690(3,499)

 17.外房線  全体(千葉〜安房鴨川):28,606(34,947)

        勝浦〜安房鴨川:1,295(1,703)

 21.内房線  全体〔蘇我〜安房鴨川(木更津経由)〕:17,307(20,335)

        君津〜館山:3,090(3,988)

         館山〜安房鴨川:1,327(1,871)

 24.成田線  全体(佐倉〜松岸、成田〜我孫子、成田〜成田空港):11,221(14,867)

         佐原〜松岸:2,617(3,165)

 27.両毛線  全体(小山〜新前橋):9,592(11,272)  

                        足利〜桐生:3,858(4,677)

 28.仙山線  全体(仙台〜羽前千歳):7,641(9,036)

         愛子〜羽前千歳:2,796(3,553)

 29.信越本線  全体(高崎〜横川、篠ノ井〜長野、直江津〜新潟など):7,528(9,266)

          直江津〜犀潟:2,924(4,155)

          犀潟〜長岡:2,632(3,596)

          高崎〜横川:3,682(4,429)

 30.八高線  全体(八王子〜倉賀野):7,485(9,021)

         高麗川〜倉賀野:2,389(3,103)

 33.越後線  全体(柏崎〜新潟):4,905(6,097)

         柏崎〜吉田:639(806)

 35.上越線  全体〔高崎〜宮内(水上経由)、越後湯沢〜ガーラ湯沢〕:4,754(5,365)

         渋川〜水上:3,359(3,685)

         水上〜越後湯沢:976(727)

         越後湯沢〜六日町:2,249(2,840)

         六日町〜宮内:3,189(3,552)

         越後湯沢〜ガーラ湯沢:751(810)

 36.日光線  全体(宇都宮〜日光):4,543(5,787)

         鹿沼〜日光:3,304(4,298)

 37.奥羽本線  全体〔福島〜青森(秋田経由)など〕:3,645(5,012)

          新庄〜湯沢:262(438)

          湯沢〜大曲:1,448(1,841)

          追分〜東能代:2,285(3,100)

          東能代〜大館:1,056(1,595)

          大館〜弘前:790(1,171)

 38.左沢線  全体(北山形〜左沢):2,946(3,358)

         寒河江〜左沢:791(901)  

 39.大糸線  全体(松本〜南小谷):2,625(3,185)

                              信濃大町〜白馬:666(840)

          白馬〜南小谷:188(279)

 40.弥彦線  全体(弥彦〜東三条):1,959(2,363)

         弥彦〜吉田:442(504)

 41.吾妻線  全体(渋川〜大前):1,932(2,376)

        長野原草津口〜大前:263(379)

 42.羽越本線  全体(新津〜秋田):1,592(2,211)

          新津〜新発田:1,221(1,413)

          村上〜鶴岡:1,171(1,803)

          鶴岡〜酒田:1,527(2,195)

          酒田〜羽後本荘:723(1,033)

          羽後本荘〜秋田:1,907(2,428)

 43.男鹿線  追分〜男鹿:1,438(1,951)

 44.水郡線  全体(水戸〜安積永盛、上菅谷〜常陸太田):1,334(1,697)

         常陸大宮〜常陸大子:720(1,001)

         常陸大子〜磐城塙:143(236)

         磐城塙〜安積永盛:811(1,043)

 45.磐越西線  全体(郡山〜新津):1,293(1,803。2022年度の数値は参考値)

          郡山〜会津若松:2,283(3,114)

          会津若松〜喜多方:1,491(2,082)

          喜多方〜野沢:357(624。2022年度の数値は参考値)

          野沢〜津川:70(163)

          津川〜五泉:394(652)

 46.烏山線  宝積寺〜烏山:1,120(1,459)

 47.鹿島線  香取〜鹿島サッカースタジアム:1,085(1,157)

 48.磐越東線  全体(いわき〜郡山):1,077(1,431)

          いわき〜小野新町:203(320)

          小野新町〜郡山:1,847(2,410)

 49.石巻線  小牛田〜女川:958(1,213)

 50.小海線  全体(小淵沢〜小諸):930(1,213)

         小淵沢〜小海:359(517)

         小海〜中込:983(1,342)

 51.久留里線  全体(木更津〜上総亀山):770(1,147)

         木更津〜久留里:1,074(1,591)

         久留里〜上総亀山:54(103)

 52.陸羽東線  全体(小牛田〜新庄):687(925)

          古川〜鳴子温泉:708(1,073)

          鳴子温泉〜最上:44(104)

          最上〜新庄:254(394)

 53.八戸線  全体(八戸〜久慈):647(907)

         八戸〜鮫:2,167(2,707)

         鮫〜久慈:309(507)

 54.釜石線  全体(花巻〜釜石):573(785)

         花巻〜遠野:739(945)

         遠野〜釜石:399(619)

 55.大船渡線  一ノ関〜気仙沼:572(836)

 56.飯山線  全体(豊野〜越後川口):488(607)

         豊野〜飯山:1,445(1,777)

         飯山〜戸狩野沢温泉:410(541)

         戸狩野沢温泉〜津南:76(124)

         津南〜越後川口:355(421)

 57.五能線  全体〔東能代〜川部(五所川原経由)〕:407(659。2022年度の数値は参考値)

         東能代〜能代:681(1,103)

         能代〜深浦:160(350。2022年度の数値は参考値)

         深浦〜五所川原:354(604。2022年度の数値は参考値)

         五所川原〜川部:1,230(1,637)

 58.大湊線  野辺地〜大湊:392(572)

 59.津軽線  全体(青森〜三厩):325(463。2022年度の数値は参考値)

         青森〜中小国:516(740。2022年度の数値は参考値)

         中小国〜三厩:80(106。2022年度の数値は参考値)

 60.花輪線  全体(好摩〜大館):294(383。2022年度の数値は参考値)

         好摩〜荒屋新町:346(441)

         荒屋新町〜鹿角花輪:55(89)

         鹿角花輪〜大館:448(579。2022年度の数値は参考値)

 61.只見線  全体(会津若松〜小出):257(290)

         会津若松〜会津坂下:944(1,191)

         会津坂下〜会津川口:182(190)

         会津川口〜只見:107(113)

         只見〜小出:107(113)

 62.北上線  全体(北上〜横手):250(297)

         北上〜ほっとゆだ:368(424)

         ほっとゆだ〜横手:90(126)

 63.米坂線  全体(米沢〜坂町):246(384。2022年度の数値は参考値)

         米沢〜今泉:573(856)

         今泉〜小国:161(270。2022年度の数値は参考値)

         小国〜坂町:105(175。2022年度の数値は参考値)

 64.気仙沼線  前谷地〜柳津:200(245)←BRT利用客も合わせて計上

 65.陸羽西線  新庄〜余目:148(401)

 66.山田線  全体(盛岡〜宮古):79(195)

         盛岡〜上米内:217(375)

         上米内〜宮古:64(124)

 BRTの区間も示しておきましょう。

 1.気仙沼線  前谷地〜気仙沼:185(264)

 2.大船渡線  気仙沼〜盛:183(254)

 勿論、各路線に特有の事情があります。例えば、上越線の越後湯沢〜ガーラ湯沢は実質的に上越新幹線の支線として扱える区間なので、スキー場の経営状態如何でしょう。常磐線の場合は福島第一原子力発電所事故の影響も考えなければなりません。また、津軽線の青森〜中小国は、1987年度に10,813、1992年度に8,947でしたが、2012年度に4,779、2017年度に740と急激な落ち込みを見せています。これは、2016年に北海道新幹線が開業したことによるものです。

 しかし、羽越本線が典型的ですが、人口の減少やモータリゼイションの進展(深化)による平均通過人員の低下は長期的傾向にあり、路線の存続の意味が問われかねない事態となっています。貨物輸送が行われている路線であれば、直ちに廃止が議論されることにはならないでしょう。しかし、赤字で示した区間については、只見線のように上下分離を行って復旧したところは別としても、地元の強力な支援なり、存続のためのよほどの強力な理由がない限り、存続は難しいでしょう。観光の需要云々と言われますが、観光はあくまでも観光であり、路線の存在意義を高めるものではないことは、COVID-19の拡大で明らかになりました。いかに地元の通勤通学のために利用されるかが重要であり、通勤通学の需要が高ければ、COVID-19のような重大事が起こって乗客数が激減しても、回復は早いものです。

 それにしても、本線を名乗る路線の長期低落傾向には驚かされます。1980年代に国鉄改革の一環として幹線、地方交通線の区分けが行われましたが、2020年代の現在、見直しは必要でしょう。幹線から地方交通線に降格すべき路線は多いでしょう。幹線と地方交通線とでは運賃体系も異なりますから、見直しは収益の改善に役立つ可能性もあります。もっとも、平均輸送人員が低いのであれば、運賃体系が変わったとしても焼け石に水でしょう。

 久留里線のみならず、平均輸送人員が100未満となっている路線については、もう存続の意味が問われる状態となっています。赤字の鉄道路線が存続することがSDGsへの取り組みと矛盾する形になっていることは、ここに記しておいてもよいでしょう。そして、少なからぬ地域の住民は、もう何十年も前に、鉄道路線を見捨てているのです。このような地域あるいは市町村から鉄道の存続が叫ばれることには、むしろ怒りの気分が湧き上がります。そのような市町村に対しては、我々国民が「ふざけやがって!」という声をかけるべきでしょう。

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Ich bin fünfundfünfzig Jahre alt. / J'ai cinquante-cinq ans.

2023年07月05日 08時15分00秒 | 日記・エッセイ・コラム

 「いつだって人生後半」。以前からこう思い続けていますが、55歳となるとそれは強くなるのでしょうか。

 「生の限定性に直面した今、これまでとは違った角度から考え直す必要があるのではないかと感じています。単なる哲学的なアプローチだけではなく、より現実的に、本気で向き合わねば、時間というものの持つまやかしに騙されてしまうのではないか?」

 最近読んだ、坂本龍一『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』に書かれていたことです。直感的ではありますが、納得できる言葉でした。

 この本は、とにかく文体に品の良さが溢れています。

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東急9000系9012F

2023年07月03日 07時00分00秒 | 写真

かつては東横線の主力、今では大井町線の主力である東急9000系の9012Fを高津駅で撮影しました。

 東急9000系は、東急で初の本格的なVVVF制御車として1986年にデビューしました(それ以前に初代6000系の一部がVVVF制御に改造されています)。最初から5両編成として大井町線に登場した9007Fを除き、8両編成で東横線で活躍し続けていましたが、2009年から徐々に、5両編成に変更された上で大井町線に転属し、2013年には全ての編成が大井町線に所属することとなりました。

 ちなみに、東急9000系の運転台を見ると、一度も営団日比谷線や営団南北線、都営三田線で運用されたことがないにもかかわらず、マスコン投入キーの差し込み口には「東急」と「営団」と書かれています。これは、元々、南北線および三田線への直通運転にも対応した車両として製造されたためです。9000系の特徴である、車端部のクロスシートも、南北線および三田線との直通運転で想定されていたようで、東京メトロ(かつての営団)9000系や都営6300形の一部でも見られます。

 東横線時代には急行および各駅停車、さらに特急および通勤特急でも活躍しましたが、大井町線では各駅停車専用となっており、急行として運用されることは非常に稀です(私は見たことがありません)。

 今年(2023年)1月に8500系が東急線から完全に引退したことにより、9000系は東急で最古参の系列となりました。登場から35年以上が経過しており、そろそろ新系列への置き換えが気になるところです。実際に、東急は2023年度より9000系および9020系(かつての2000系)に代わる車両の製造に着手することを発表しています。今のうちに9000系を撮影しておくことが薦められるかもしれません。

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JR西日本の美祢線が気になる

2023年07月01日 23時59分40秒 | 社会・経済

 昨日(2023年6月1日)からの大雨により、山口県の厚狭駅から長門市駅までの路線である美祢線が不通になっています。これは、四郎ヶ原駅と南大嶺駅との間で橋と線路が崩落した、などの被害を受けたためです。

 この路線は、2010年の7月にも大雨のために全線が不通となりました。この時は約1年2か月をかけて復旧しています。鉄道ファンなどの間ではよく知られている話ですが、美祢線は1980年代の国鉄改革の際に、旅客輸送は振るわないものの、石灰石輸送などの貨物運輸が活発であったために幹線として位置づけられました。2010年7月の被害の際には既に大規模な石灰石輸送が廃止されていたものの、貨物輸送は続けられていたので、復旧に結びついたのかもしれません(この辺りの事情を知らないので、御教示いただければ幸いです)。

 しかし、今回は事情が異なります。美祢線の貨物列車は2014年4月1日に廃止されており、旅客運送しかありません。同線ではキハ120形の単行、つまり1両編成で間に合う程度となっており、厚狭駅の時刻表を見ると美祢線の列車は1日9本、長門市駅の時刻表でも同様です。途中の駅は全て無人駅となっていますから、旅客輸送だけであれば地方交通線のレヴェルであることは推測できます。果たして、以前このブログでも参照した「区間別平均通過人員および旅客運輸収入(2018年度)」(JR西日本)を見ると、美祢線の平均通過人員は1987年度に1741となっており(当時は営業されていた南大嶺駅から大嶺駅までの区間を含みます)、貨物運送がなければおそらく第2次特定地方交通線に指定されていたことでしょう。それから30年以上が経過して、同線の2018年度の平均通過人員は541にまで低下しています。また、同年度の旅客運輸収入は8000万円となっていますが、支出はわかりません。

 このような状況において大雨による路盤流出などの被害を受けて不通となってしまうと、存続か廃止かという話につながる可能性があります。実際に、JR九州の日田彦山線のうち、2017年の九州北部豪雨により被災した添田駅から夜明駅までの区間は、鉄道路線ではなくBRTとして復旧されることとなっています。また、同じくJR九州の肥薩線は、2020年7月の豪雨で大きな被害を受けたことにより、八代駅から吉松駅までの区間が不通となって現在に至っています。大雨などによる被害ということでは、JR北海道の根室本線のうち、富良野駅から新得駅までの区間が廃止されることとなっています。

 今回の美祢線の不通に話を戻すと、被害の詳しい状況が明らかになれば、復旧に必要な費用の概算が示されることでしょう。その上で、復旧を断念して廃止になるという可能性は低くないものと考えられます。

 これは、2018年4月1日に廃止された三江線の例があるためです。同線は、2013年8月24日に大雨のために全線が不通となり、2014年7月に全線で運転を再開しました。この際に10億円以上の費用がかけられています。しかし、収益の改善などがないまま、結局廃止されています。何のために大金をかけて復旧したのかがわからなくなった訳でして、美祢線についても同じ轍を踏むことになるのではないかという懸念も、JR西日本の中にはあるのではないか、と考えられるのです。

 

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