ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

大学院生の奨学金、一部返還免除への方向転換か

2024年03月21日 22時00分00秒 | 社会・経済

 昨日(2024年3月20日)付の朝日新聞朝刊31面14版に「大学院奨学金 教員になれば返済免除 文科省方針」という記事が掲載されていました。気になったので、ここで取り上げておきます。

 目が止まった理由は、私自身が大学院法学研究科博士後期課程に在籍していた時のみ、当時の日本育英会の奨学金を受けていたからです。現在はどうなのかよくわかりませんが、当時は、学部生、大学院修士課程(博士前期課程)学生、博士後期課程学生の別によって月額が異なっており、博士後期課程学生が最も高い額を受けていました(10万円を超えていました)。大学教員として就職したので支給されたのは2年間のみでしたが、返還免除が完全に認められるまで15年を要しました。日本育英会が指定する職種にて15年間在職する必要があるからです。この制度は2003年度か2004年度まで存在していましたが、廃止されてしまいました。ただ、「優れた業績を残した院生向けの既存の返還免除制度を活用して対応する」と書かれていますので、大学院生については返還免除制度が全く存在しないという訳でもないようです。

 さて、上記記事の話です。この記事に登場する「教職大学院」という言葉について説明がないのでよくわからなかったのですが、文部科学省のサイトにおいては次のように説明されています。

 「【教職大学院の概要】

 近年の社会の大きな変動の中、様々な専門的職種や領域において、大学院段階で養成されるより高度な専門的職業能力を備えた人材が求められています。教員養成の分野についても、子供たちの学ぶ意欲の低下や社会意識・自立心の低下、社会性の不足、いじめや不登校などの深刻な状況など学校教育の抱える課題の複雑・多様化する中で、こうした変化や諸課題に対応しうる高度な専門性と豊かな人間性・社会性を備えた力量ある教員が求められてきています。このため、教員養成教育の改善・充実を図るべく、高度専門職業人養成としての教員養成に特化した専門職大学院としての枠組みとして『教職大学院』制度が創設されました。

 教職大学院では、以下の人材を養成することを目的としています。

 1.学校現場における職務についての広い理解をもって自ら諸課題に積極的に取り組む資質能力を有し、新しい学校づくりの有力な一員となり得る新人教員

 2.学校現場が直面する諸課題の構造的・総合的な理解に立って、教科・学年・学校種の枠を超えた幅広い指導性を発揮できるスクールリーダー」

 教職大学院を修了し、かつ、正規教員に採用された者について、日本学生支援機構の奨学金の返済を全額免除するという方針を文部科学省が固めたのは3月19日のことです。2024年度に正規教員に採用された者から返済免除を適用するということです。随分と急な動きですが、国立大学で教育関係の学部を有する大学であれば教職大学院があるのに対し、公立大学には教職大学院がなく、私立大学でも聖徳大学、創価大学、玉川大学、帝京大学、早稲田大学、常葉大学および立命館大学にのみ教職大学院がないということが、何か意味するところがあるのだろうと思われるのですが、そこは脇に置いておきましょう。

 今回の方針は、あくまでも教職大学院在学中の奨学金についてのみを対象とするようで、その点にも注意を要します(学部生時代に受けた奨学金は対象外であるということです)。その一方、教職大学院以外の大学院の修了者であっても、教育活動に関して実習経験があれば返済免除となるようです。

 事実などがよくわからないので何の論評(というほどのものでもありません)を加えることはしませんが、上記記事には「23年度の採用者数でみると、教職大学院から国公私立学校の正規教員に採用されたのは753人。教職以外の大学院を加えれば、年間1千数百人が対象になる見通しだ」と書かれており、さらに「一方、正規教員に採用された大学・短大の学部卒業者も免除とするかは今後の検討課題とする。23年度採用で1万4794人(公立のみ)と人数の規模が大きく、他の職種とのバランスも考慮する必要があるためだ」とも書かれています。

 この方針が現実のものとなった場合に、教職大学院の立ち位置はどのように変化するのでしょうか。

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学校タブレット故障多発問題に関する徳島県監査委員からの厳しい意見

2024年03月19日 00時00分00秒 | デジタル・インターネット

 2023年10月31日に「学校タブレット故障多発問題」という記事を載せました。今回はその続篇です。

 2024年3月17日の10時30分付で、共同通信社の47ニュースに「後藤田知事も激怒、高校生に配備のタブレット「3年もたず半数超が故障」の異常 後手に回る教育委員会、中国メーカーからは返答なし」(https://nordot.app/1138751085466010550?c=39546741839462401)という記事が掲載されています。

 「学校タブレット故障多発問題」においては「単純に計算すれば1台が48000円超であったということになります」と書きましたが、上記47ニュース記事には「1台あたりの価格は4万8950円だった」と書かれています。2021年に発売された第9世代のiPadは、仕様にもよりますが最低で39800円(64GBモデル。ちなみに、私は256GBモデルを買いました)でしたし、2020年に販売された第8世代のiPadは最低で34800円でした(アップル社の場合は学校関係者に関して割引があります)。どう考えても徳島県で問題になったタブレットは高すぎると思えます。安物買いの銭失いといいますが、その言葉が当てはまっているとも言えないだけに、問題となっているタブレットの仕様は一体いかなるものであったのかが気になります。

 1万6500台が調達されたタブレットの半数超が故障するというのは異常な事態です。2021年4月から使用されているというので3年が経過しようとしていますが、その間に半数超が使えなくなるということは、あまり例がないでしょう。「修理したり予備機を使ったりして対応しているが追い付かず、現在も7千台以上が不足する。正常な状態に戻るのは9月ごろになるという」と書かれていて、そんな状態だったら新しい機種でも入れたほうがよいのではないかとすら思えてきます。予算の都合もあるでしょうが、早く対応すべきでした。「学校タブレット故障多発問題」でも書きましたし、上記47ニュース記事にも書かれていることですが、2021年5月24日、徳島県立城ノ内中学校で、ツーウェイ社のHi10Xというタブレットが焼け焦げた状態で見つかっており、バッテリーから傷が見つかったとのことです。この段階では他の端末に不具合が見つからなかったらしいのですが、一歩誤れば火災につながりますから、何らかの対策をとるべきでした。しかし、徳島県教育委員会は消費者安全法に基づいた消費者庁への通知を怠っていました(ちなみに、この通知は義務付けられています)。実際に連絡されたのは2023年11月のことです。

 現在問題となっているのは、同じくツーウェイ社のUBOOKというモデルです。何時頃から導入されたのかわかりませんが、2023年7月に故障が急増したようです。上記47ニュース記事には「厳しい暑さが原因とみられるバッテリーの膨張が各校で続出した。約850台の予備機を投入しても間に合わず、1台の端末を複数の生徒で共有するなどしてしのいだ」と書かれていますが、この時点でいくつもの疑問が生じたはずです。大体、猛暑あるいは酷暑がバッテリー膨張の原因であれば、UBOOKに限らず、iPadなどでも同様の症状が多数発生するはずですし、徳島県だけではなく、例えば神奈川県に住んでいる私のiPadもおかしくなっていたかもしれないはずです。

 ともあれ、故障が急増したのであれば、と考えるところですが、徳島県教育委員会が何かをしたのかといえば「県の知事部局に代替機を確保するための予算措置の相談をしていなかった」というのです。「約850台の予備機を投入しても間に合わ」なかったのであれば、授業などに支障を来していたことになるはずですが、教育委員会の担当者曰く、「学校が夏休みに入ってしまい、故障台数の集計に時間がかかった。故障の全体像が見えてきたのが9月下旬だった」。台数の把握や集計は後の問題だろうと言えるでしょうし、夏休み云々以前の話だろうとも考えられるのですが、11月27日に故障台数が6301となったというのも或る意味で凄い話です。

 2023年11月30日、徳島県議会は補正予算を可決しました。その内容に「代替機6500台をリース方式で調達する費用7200万円」が入っていました。その上で「今年3月末までに納入業者の無償提供も含めて7千台を調達し、新年度が始まる4月には1人1台が配備できる算段だった」とのことですが、その算段は甘かったようです(上記47ニュース記事からの引用が多くなることを御容赦ください)。2024年に入ってからも「1月下旬、充電後にバッテリーが1時間未満しかもたない新たなトラブルの報告があった。教育委員会は充電器に接続しながらであれば使用できるため、外付けバッテリーの確保などで対応できないか検討している」。2月29日には県議会文教厚生委員会において県議会議員からの怒りが爆発しました。「納入業者やメーカーの責任を追及すべきとの声が相次いだ」のは当然の話です。

 泥沼という言葉が当てはまるような話になっていますが、調達に何らかの問題があったのでしょうか。県の支出額からして入札が行われるのは当然であり、一般競争入札が行われたようです。ただ、その入札に参加したのは四電工徳島支店のみだったそうで、「四電工が複数の代理店に調達を依頼したところ、想定する仕入れ価格に見合うのがツーウェイ社の製品のみだったと説明する」と記事には書かれていますが、ここにも私は問題の所在を感じます。さらに、ツーウェイ社からは何の反応もないとのことです。

 2月、徳島県監査委員が監査結果を公表します。徳島県のサイトを参照すると、2024年2月9日付の徳島県監査委員公表第3号が掲載されています。そこには、次のように記されています(引用文の後のかっこ書きは私によるものです)。

 「県立高校分の入札は、令和2年9月28日に実施しており、1社のみ((株)四電工徳島支店)の参加で落札し、契約を締結した。県のアプリ調達が、入札不調により業者決定に3週間の遅れが生じたため、納入期限日を当初の令和3年3月31日から、4月30日に変更する契約を締結し、令和3年4月28日に徳島市との共同調達分を含めた17,500台のうち、県分の16,500台が納品された。」(県立中学校の分は省略しました。)

 「県立高校分の端末の仕様については、文部科学省の標準仕様書に示されているストレージ容量『64GB以上』に対し、教育委員会教育政策課が作成した仕様書では『128GB以上』とされている。同課によれば、「納入後にOSの大型アップデートが想定されたことや多数のアプリを保存する必要があること等から、容量を増やした。』との説明があった。/この点については、その意思決定がなされた過程が分かる書類が不存在であったため、書面で確認することはできなかった。ただ、本県以外の3県がストレージ容量を『128GB以上』としていることから、ストレージ容量を増やしたこと自体が必ずしも適正さを欠いていたとは言い切れない。」(/は原文における改行箇所。求められるストレージ量のためにiPadが外されたということでしょう。しかし、私が第6世代iPadを2018年5月12日から2022年1月28日まで使用し、同日から現在に至るまで第9世代iPadを使っている経験からすると、タブレットのOSの大型アップデートがあるとしても128GB以上というのは高すぎる要求であるように思えてきます。iOS以外のものは相当に仕様や性能などが違うようです。)

 「県立高校分の予定価格については、先に実施された県立中学校分の予定価格に加えて、県立中学校分の国庫補助額の算定には含まれていない『ネットワーク設定やウイルス対策ソフトのインストール及び動作確認等の初期設定を含めたものである。』との説明を受けたが、その積算根拠及び事前の参考見積りの徴収については書類で確認できなかった。また、本県と同様に128GB以上のストレージ容量に設定した3県の予定価格は確認できなかった。」(書類で確認できないというは不思議な話です。また、県立中学校と県立高校とでネットワーク設定、ウイルス対策ソフトなどの点で違いがあるのは、どういう理由に基づくのでしょうか?)

 「なお、次の3点を意見として述べることとする。

 1点目は、物品の調達手続についてである。

 全国の自治体による学習用端末の一斉確保やコロナ禍における部材の高騰などに より需給がひっ迫する中で、最低価格落札方式を採用したことから、発注者にとっては、製品の品質よりも価格を優先した物品納入がなされる恐れが生じていた。今回の物品調達においては、その危惧されたリスクが発現したと言えなくもない。タブレット端末製品は、一般の物品に比べ、その品質や耐久性について、本来は配慮が求められるものであるが、その対策が不十分であった。

 なお、タブレット端末に限らず、今後の物品調達にあたっては、事前の市場調査を徹底するとともに、従前の仕様要件では必要とはされていなかった『製品の耐久性』を担保する第三者機関の認証を追加するなど、調達内容に応じた『品質の担保』 や『故障リスクの回避』に向けた対策を十分に検討すべきである。

 2点目は、調達物品の保守管理についてである。

 県立高校において、令和5年12月11日現在、納入台数の約39.3%に当たる6,487台(うちバッテリー膨張によるもの5,510台)の端末で故障が発生している(下表参照)が、落札業者との間で、納入後1年間しか無償の修理はできない契約となっている。教育委員会教育政策課によれば、『端末の調達を検討する段階において、 当初は保守契約付リース契約を考えていたが「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を財源とした「危機管理調整費」から費用を捻出することとなり、複数年にまたがる保守契約料を支出することができなかった。』との説明を受けた。

 本来であれば、無償の保証期間が終了する前に、保守契約に係る検討を行うべきであるが、当時の状況を書面で確認することはできなかった。無償の保証期間の終了後の端末の故障が増加していた令和4年度において、『保守契約に係る予算措置の検討は行ったが、結果的に、保守契約は締結せず、その都度修繕費の予算措置で対応することとなった。』との説明を受けた。 このように対症療法的な対応は行っているものの、令和3年1月に策定された『徳島県GIGAスクール構想』には、『機器導入後5年間端末を利用する必要がある ことを考えると、機器保守契約を締結し、教育活動に支障を生じさせない必要がある。』と記載されていることに対し、それを着実に履行する努力を怠っていたと判断せざるを得ない。

 3点目は、危機管理意識の徹底についてである。

 令和3年5月に県立中学校において端末の不具合が発生した際には、『県立高校分の端末は、同メーカーの製品とはいえ機種が異なることから、同様の不具合は想定されなかった。』との説明を受けた。国内で流通している主要メーカーや第三者機関の認証を受けた製品であるならまだしも、国内での納入実績の乏しいメーカーの端末であったことを鑑みれば、通常以上に危機管理意識を持って一斉点検を行うべきであった。

 以上の3点について、今後の物品調達事務や保守管理業務がより適正なものとなるよう期待する。」(なお、下表は省略しました。)

 監査委員の意見の妥当性はここで問いませんが、かなり厳しい意見であることは確かでしょう。とくに3点目については「その通り」と言わざるをえません。ただ、私は、やはり教育委員会における仕様の設定や機種の選定(最終的には納入業者側が行ったとしても、教育委員会も或る程度は選定なり想定なりはしていたでしょう)に問題があったと考えざるをえません。それとともに、ギガスクール構想そのものの問題点はなかったのか、冷静に検証することが必要でしょう。

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いつまで走るか 東急9020系9023F

2024年03月18日 00時00分00秒 | 写真

 今回も9020系です。田園都市線で2000系として運用されていた頃はなかなか見ることが難しかったのですが、大井町線に移って9020系となった現在は、9000系ほどではないとはいえ、見る機会が多くなりました。少なくとも、2編成しかない6020系よりは見たり乗ったりする機会は多いでしょう。

 二子玉川駅(DT07、OM15)の2番線に、大井町線G各停溝の口行き(「田園都市線経由」ではないので二子新地駅および高津駅には停まりません)の9023F(元2000系2003F)が停車しています。上の写真は1号車のクハ9023(元クハ2003)をとらえたものです。

 「2000系改め9020系」、「かつては東京メトロ半蔵門線に乗り入れた東急2000系、今は大井町線用の9020系」などで記したように、2000系は1992年に田園都市線の輸送力増強用として登場したのですが、2003Fだけは1993年に8両編成で東横線に登場しました。理由はよくわからないのですが、どうやら暫定的な措置であったようで、同年中に10両編成化されて田園都市線に移り、田園都市線および半蔵門線で活躍しました。しかし、2018年、2000系の中では最初に田園都市線・半蔵門線の運用から外されます。そして、5両編成化されて同年の秋に大井町線で運用されるようになりました。この時はまだ2000系でしたが、2019年に9020系と名を改めます。

 終点の溝の口駅に向かって発車するところです。

 2000系から9020系に改められる際に変更された点のいくつかを「いつまで走るか 東急9020系9022F」にて記しましたが、重要な点が二つ抜けていました。

 第一に、VVVF制御の重要な要素である素子です。2000系はGTO素子で、9000系や1000系と同じです(ただ、変調音などは全く違っていました)。これに対し、9020系はSIC-MOSFET素子です。西武鉄道に譲渡される編成の中には、おそらく9020系が入るはずです。GTO素子はVVVF制御車でも初期のもので採用されているからです。

 第二に、2000系は1C8M制御でしたが、9020系は1C4M制御に変えられています。

 この他にも変更点がありますし、重要な点が抜けている可能性はあります。私がただの鉄道ファンであって東急電鉄の従業員でもなければ技術者でもないということで、お許しを。

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いつまで走るか 東急9020系9022F

2024年03月17日 00時00分00秒 | 写真

 「あまり類例のない譲渡 大手私鉄から大手私鉄へ」において記したように、東急9000系は2025年度より西武多摩川線、多摩湖線、西武秩父線および狭山線に導入されることとなっています。つまり、少なくとも一部は東急電鉄から西武鉄道に譲渡される訳です。小田急8000形と東急9000系を合わせて100両が西武鉄道に入ることはわかっていますが、それ以上の詳細は不明です。

 今回登場する東急9020系も、9000系の中に入れられています。従って、現在運行されている9000系15編成75両、9020系3編成15両のうちの何編成・何両かは西武鉄道に譲渡されるため、東急電鉄を離れます。一体、どの編成になるのでしょうか。

 高津駅(DT09)2番線(ホームなし)を大井町線G各停溝の口行きの9020系9022Fが通過します。元は2000系の2002Fで、1992年に10両編成で田園都市線に登場し、同線および半蔵門線で活躍していました。

 しかし、2000系は、2003年3月から始まった東武伊勢崎線・日光線への乗り入れに使われることがなく、田園都市線と半蔵門線でのみ使われていました。従って、東武伊勢崎線・日光線のための機器が積まれることはなかったのです。おかげで、平日の朝夕ラッシュ時以外の時間帯に見ることが難しい車両となってしまいました。そもそもが田園都市線および半蔵門線の輸送増強用として製造されたものであったため、少数系列に甘んじざるをえなかったのでした。

 2018年秋までには、2000系が田園都市線・半蔵門線から撤退しました。2020系の登場のためで、同系によって置き換えられる予定の8500系や8590系よりも先に外されたのです。結局、5両編成化され、2019年に9020系と改められました。田園都市線・半蔵門線で運用されていた時代には急行および準急にも使用されましたが、大井町線に移ってからは各駅停車用として運用されます。

 1枚目の写真は5号車(溝の口・中央林間側先頭車)のクハ9122(元はクハ2102)で、2枚目の写真がは1号車(大井町・渋谷側先頭車)のクハ9022(元はクハ2002)です。5両編成化された際にクーラーキセの形が変えられており、中間の電動車のパンタグラフがシングルアーム式に変更された上に4号車のデハ9422に2基が取り付けられました(2000系時代には2基のパンタグラフが取り付けられた車両はありません)。こうした改造は9020系のどの編成にも共通する点です。

 また、田園都市線時代にはドアカットが行われていなかったのですが、大井町線に移ってからは行われるようになりました。御存知の方も多いと思いますが、九品仏駅のホームの長さが4両分しかないため、5号車の扉が開きません(ドアが踏切の真上にあったりします)。そのため、9020系および9000系の全編成にドアカットのための装置が付けられています。なお、9000系であれば戸越公園駅でのドアカットの時代がありましたが、9020系にはありません。

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町田市の鶴間公園

2024年03月16日 00時18分40秒 | まち歩き

東急で最も長い駅名である南町田グランベリーパーク駅から歩いて数分、南町田グランベリーパークの隣に、鶴間公園があります。そこに、世界で最も有名なビーグル犬と謎の鳥が……。

昨年秋から使用しているiPhone15 Proで撮影しました。この写真(加工済み)の他に何枚か撮影していますが、15倍ズームでもかなり良いものが撮れました。

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東武東上線沿線サミット10周年記念カード

2024年03月15日 00時00分00秒 | 日記・エッセイ・コラム

昨日、このようなカードを入手しました。

 東武東上線の沿線自治体のうち、豊島区、川越市、坂戸市、東松山市、寄居町および越生町が東武東上線沿線サミットを形成しています。カードの裏には、これらの市町が「相互に緊密な協調と連携を図り『観光・文化・教育・産業・環境』など幅広い分野で交流するとともに、東武鉄道株式会社の協力のもと、沿線地域の魅力を発信し、地域の活性化を推進することを目的に様々な事業を展開しています」と書かれています。

 上の写真は東松山市のカードで、切り絵となっており、東松山市の花であるボタン、東松山市を代表する神社である箭弓稲荷神社、そして東上線はもとより伊勢崎線系統でも運行される10000系(型)が描かれています。

 お送りいただいた方に、この場で改めて御礼を申し上げます。

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熱海市が宿泊税の導入を決める

2024年03月14日 22時55分00秒 | 国際・政治

 テレビ静岡が、今日(2024年3月14日)付で「静岡・熱海市『宿泊税』2025年4月から導入へ 満足度高い観光地へ…1人1泊200円」として報じていました(https://www.sut-tv.com/news/indiv/26020/)。

 今日、熱海市議会が宿泊税条例案(正式名称は書かれていません)を全会一致で可決しました。同市は、2025年4月から施行することを目指しています。これから総務大臣との事前協議に入りますが、おそらく総務大臣は同意するでしょう。

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芸備線について、JR西日本社長が困難性を主張した。

2024年03月14日 00時45分00秒 | 社会・経済

 連投になりますが、このブログでこれを取り上げない訳には参りません。

 非常に短い記事ですが、共同通信社のサイトに、2024年3月13日20時47分付で「芸備線『今のまま持続難しい』 再構築協議会初会合へ見解―JR西社長」(https://www.jiji.com/jc/article?k=2024031301188&g=eco)が掲載されました。

 見出しだけで内容がわかりそうなものですが、3月13日の記者会見でJR西日本社長が芸備線の存続について「難しい」と語ったというものです。あまりに記事が短いので誤解を招きそうですが、あくまでも芸備線の一部区間についての話です。

 このブログでも芸備線の問題は何度も取り上げていますし、再構築協議会の件も記しています。3月26日に初の会合が広島市で行われるとのことで、地域公共交通活性化再生法の2023年改正法の下で初めて再構築協議会の会合が開かれることになります。おそらく、その場でJR西日本から存続の困難性が主張されることでしょう。

 たしかに、平均乗車人員数からして、芸備線の存続は難しいでしょう。何せ、芸備線全線の平均通過人員(2022年度)は1170であり、それも下深川駅から広島駅の区間の8529という数値によるところが大きいのです。この区間を除外し、備中神代駅から下深川駅までの区間を見れば、平均通過人員が1000を下回ることでしょう。よく覚えていませんが、東城駅か備後庄原駅から広島市へのバス路線があり、そちらのほうが芸備線よりも本数が多いということなので、2024年問題があるとしてもバス転換が望ましいという結論が容易に導かれるところでしょう。

 JR西日本社長は、おそらく芸備線の備中神代駅から備後落合駅までの区間について「全ての考えが案としてある。バス転換を否定するものではない」という趣旨を語ったそうです。それはそうでしょう。このように話すはずです。

 再構築協議会での対立の構図が見えてきたような気もします。行方が気になるところです。

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ニセコ町で宿泊税

2024年03月14日 00時00分00秒 | 国際・政治

 昨日(2024年3月13日)付の日本経済新聞朝刊5面12版に「ニセコ 宿泊税11月から 総務相が同意 1泊最大2000円」という記事が掲載されていました。

 北海道にあるニセコ町は、地方自治に携わる方々やスキー愛好者の方々には御馴染みの場所でしょう。とくに、スキーという点では海外からの観光客が多いことも知られています。そこに町は目を付けたのでしょう(このようなことは上記日本経済新聞には露骨に書かれていませんが、「高級ホテルが多く立地する」ことは書かれています)。最大2000円と高額であることも説明が付きます。

 「最大2000円」と書かれているように、税額は宿泊料金によって異なります。次の通りです。

 宿泊料金5000円未満:税額は100円。

 宿泊料金5000円以上2万円未満:税額は200円。

 宿泊料金2万円以上5万円未満:税額は500円。

 宿泊料金5万円以上10万円未満:税額は1000円。

 宿泊料金10万円以上:税額は2000円。

 既に条例は2023年12月のニセコ町議会で可決されており、地方税法の規定によって総務大臣との協議に入っていました。一昨日、つまり3月12日に総務大臣が同意したということです。上記日本経済新聞には明確に書かれていませんが、これまでの宿泊税の導入例と同じく法定外目的税でしょう。

 施行は今年の11月からです。最近はビジネスホテルでも宿泊料金が上昇する傾向にあるようですから、宿泊地と宿泊料金には注意しましょう。

 今や、宿泊税は法定外税のトレンドになっています。東京都では増税の方向で見直すようです。

 ただ、このブログでも記したように、北海道、札幌市、倶知安町が宿泊税の導入を検討しています。ニセコ町も北海道にあるので、北海道が宿泊税を課すようになれば、ニセコ町に宿泊する際にはニセコ町の宿泊税と北海道の宿泊税の双方が宿泊料金に上乗せされることとなります。一種の二重課税に当たるのではないかとも考えられます。また、以前にも記しましたが、私は、然したる根拠はないとはいえ、現在大きな問題とされているオーバーツーリズムなどは短期的なものと予想しています。この予想が当たれば、宿泊税で税収を稼げる期間も短くなり、むしろ国内の観光業などを阻害する可能性も出てきます。こういうことは考えられていないのでしょうか。

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横浜市交通局10000形10151F

2024年03月13日 00時00分00秒 | 写真

 およそ7年5か月ぶりとなってしまいましたが、横浜市営地下鉄グリーンラインを利用しました。

 グリーンラインは、日本にいくつかあるリニア地下鉄の一つで、正式には4号線といい、現段階では中山駅から日吉駅までの路線となっています。ブルーラインが軌間1435mm、第三軌条式の直流750Vであるのに対し、グリーンラインは軌間こそブルーラインと同じであるものの、架線集電式の直流1500Vとなっています。また、リニア地下鉄には、少なくとも営業区間においては地上の部分がないという路線が多いのですが、グリーンラインの川和駅、センター南駅およびセンター北駅は高架駅であり、センター南駅からセンター北駅までの区間は完全な高架線となっています。

 グリーンラインで運用される車両は全て10000形です。当初は4両編成でしたが、現在、一部が6両編成化されています。実際に利用してみると、港北ニュータウンの重要な公共交通機関であるからか、乗客は多いようです。

 起点の中山駅は緑区にあり、JR横浜線と接続します。川和町駅、都筑ふれあいの丘駅、センター南駅、センター北駅、北山田(きたやまた)駅および東山田(ひがしやまた)駅は都筑区にあり、センター南駅およびセンター北駅で横浜市営地下鉄ブルーラインと接続します。そして、高田(たかた)駅、日吉本町駅および日吉駅は港北区にあり、日吉駅で東急東横線、東急目黒線および東急新横浜線と接続します。

 しかし、グリーンラインは、あくまでも一部が開業しているに過ぎません。

 横浜市のサイトに「横浜環状鉄道の新設(日吉~鶴見、中山~二俣川~東戸塚~上大岡~根岸~元町・中華街)」というページがあります。見出しだけでグリーンラインの本来の予定区間がわかります。総延長が34.4kmとされており、現在の開業区間は13km程度ですので、実は38%しか開業していないという訳です。横浜市は全線整備にかかる総事業費をおよそ7700億円と想定していますので、壮大な計画であると言えるでしょう。しかも、横浜市は「累積収支は黒字化が困難と考えられるため、事業性の確保に課題があります」と認めています。

 これ以上に詳しいことは上記ページに書かれていませんが、今後の横浜市の人口動態によっては全線開業が実現しないままに終わることでしょう。日吉駅から鶴見駅までの区間、あるいは中山駅から二俣川駅までの区間であれば開業の可能性もありますが、莫大な予算、長期間の工期を必要とする事業であるだけに、利用客を見込めないのではマイナスの意味しかありません。事実上、グリーンラインが現在の開業区間のみで終わる可能性は非常に高いと言えるのではないでしょうか。

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