猫大好き人間、父のお話第二弾
今日は2月22日、何の日か?
ニャンニャンの日だと、何かで見た。
そこで、昔にあった猫と父の絆を思い出した。
* ~ ~ *
私も父に似たのか、小さい頃から猫が好き、野良猫を見ると放っておけなくて
おやつや煮干しを食べさせたり、牛乳を飲ませたりして可愛がっていたことがあった。
父がそのことを知ると必ず「野良猫は汚いから、放っておきなさい!」と言っていた。
だけど、おなかを空かしてニャーニャー鳴いているのを聞くと可哀想でたまらなくて
やっぱり、こっそりと食べ物を運んで、空地の隅に保護したりしていたのである。
ところが、私の知らぬ間に家に猫がいたことがあった。
多い時には三匹いて、その子達は毛色によってシロにミケにチコと呼ばれていた。
一匹ずつ来たのか、三匹一度に来たのか、家にその猫達が何故いるのか分からなかったが
幼い私は猫がいるのが嬉しくって、そんなことはどうでもよかった。
今思えば、あの黒猫のように、やはり父がもらってきた猫達なのだろう。
* ~ ~ *
ところが、ある時から一匹ずつ姿が見えなくなった。
父に聞くと「シロはお風呂でおぼれて死んだ」と言い、
「ミケはどこかに行ったまま帰って来ない」と言った。
そしてチコは父が遠くに捨てて来たようだった。
私はもちろん「ひどいことをして!なんで!」と泣いた。
「いたずらして近所に迷惑をかけたから、、」と父が言い訳をした。
それからずいぶん経って、猫のことを忘れかけた頃
外で「ニャーゴ~、フニャーゴ~」とガラガラに喉がつぶれた猫の声がした。
段々こちらに近付いて来る。
もしや!と思って外に出て見ると、ボロボロで汚い猫がこちらに向かって来ていた。
「チコー、チコー」と呼ぶと「ニャーゴ~、ニャーゴ~」と鳴いた。
「お父さーん、チコが帰って来たー!」と叫んで呼ぶと
父はボロボロのチコを抱いて頬ずりしながら「よく帰って来た!よく帰ってきた!」と泣いた。
* ~ ~ *
犬は遠くからでも家に戻って来る能力があるが、猫にはその能力がないと聞いていたので
まさか20Kmも離れたところから帰って来れるとは、父も思っていなかったようだった。
辛かっただろうに、あきらめずに、ひたすら父の顔を思い浮かべながら戻ってきたのだろう。
父も、自分で捨てて来ながら、心の中では「帰って来てくれ!」と思っていたのだと思う。
きっと、お互いの気持ちが強い絆となって結びついていたのだろう。
その互いの念にも似た思いが、チコの帰還という、奇跡にも近い出来事を生んだのだと思っている。
2015-02-22
* * *
2月8日から始まった思い出深い記事再掲載の第六回目です。
2016-02-13
今日は2月22日、何の日か?
ニャンニャンの日だと、何かで見た。
そこで、昔にあった猫と父の絆を思い出した。
* ~ ~ *
私も父に似たのか、小さい頃から猫が好き、野良猫を見ると放っておけなくて
おやつや煮干しを食べさせたり、牛乳を飲ませたりして可愛がっていたことがあった。
父がそのことを知ると必ず「野良猫は汚いから、放っておきなさい!」と言っていた。
だけど、おなかを空かしてニャーニャー鳴いているのを聞くと可哀想でたまらなくて
やっぱり、こっそりと食べ物を運んで、空地の隅に保護したりしていたのである。
ところが、私の知らぬ間に家に猫がいたことがあった。
多い時には三匹いて、その子達は毛色によってシロにミケにチコと呼ばれていた。
一匹ずつ来たのか、三匹一度に来たのか、家にその猫達が何故いるのか分からなかったが
幼い私は猫がいるのが嬉しくって、そんなことはどうでもよかった。
今思えば、あの黒猫のように、やはり父がもらってきた猫達なのだろう。
* ~ ~ *
ところが、ある時から一匹ずつ姿が見えなくなった。
父に聞くと「シロはお風呂でおぼれて死んだ」と言い、
「ミケはどこかに行ったまま帰って来ない」と言った。
そしてチコは父が遠くに捨てて来たようだった。
私はもちろん「ひどいことをして!なんで!」と泣いた。
「いたずらして近所に迷惑をかけたから、、」と父が言い訳をした。
それからずいぶん経って、猫のことを忘れかけた頃
外で「ニャーゴ~、フニャーゴ~」とガラガラに喉がつぶれた猫の声がした。
段々こちらに近付いて来る。
もしや!と思って外に出て見ると、ボロボロで汚い猫がこちらに向かって来ていた。
「チコー、チコー」と呼ぶと「ニャーゴ~、ニャーゴ~」と鳴いた。
「お父さーん、チコが帰って来たー!」と叫んで呼ぶと
父はボロボロのチコを抱いて頬ずりしながら「よく帰って来た!よく帰ってきた!」と泣いた。
* ~ ~ *
犬は遠くからでも家に戻って来る能力があるが、猫にはその能力がないと聞いていたので
まさか20Kmも離れたところから帰って来れるとは、父も思っていなかったようだった。
辛かっただろうに、あきらめずに、ひたすら父の顔を思い浮かべながら戻ってきたのだろう。
父も、自分で捨てて来ながら、心の中では「帰って来てくれ!」と思っていたのだと思う。
きっと、お互いの気持ちが強い絆となって結びついていたのだろう。
その互いの念にも似た思いが、チコの帰還という、奇跡にも近い出来事を生んだのだと思っている。
2015-02-22
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2月8日から始まった思い出深い記事再掲載の第六回目です。
2016-02-13